交通事故でむち打ちに!具体的な症状と治療を受ける際の注意点とは。

交通事故にあったとき、最もよく現れる症状がむち打ち症です。むち打ち症は首に衝撃を受けることで起こりますが、首以外の部位に症状が出ることもあります。そのため、交通事故が原因の症状と気付かないこともあります。
ここでは、むち打ち症の症状について説明します。交通事故との因果関係を知る手がかりにしていただければと思います。
- 目次
交通事故で多いむち打ち症とは
むち打ち症はどのようにして起こるのか
むち打ち症(むちうち損傷)とは、車の追突事故やスポーツ時の事故の際、首に不自然な力が加わったことが原因で出現するさまざまな症状の総称です。
首には、背骨のなかを通り手足へと続く脊髄や、脊髄の枝である神経根が通っています。
そのため、首に衝撃が加わると、首の組織を傷つけるだけでなく神経を傷つけてしまい、全身に症状が出ることがあります。
むち打ち症というのは正式な傷病名ではなく、病院では「頸椎捻挫」「頸部挫傷」「外傷性頸部症候群」などと診断されます。
人間の頭部は重たいため、追突により衝撃が加わると首から上は胴体に引っ張られるようなS字型の動きをします。
このS字型の動きが鞭を打ったときの動きに似ていることから、むち打ち症と呼ばれるのです。
交通事故でむち打ち症が起こるのはどのような場合か
むち打ち症は交通事故が原因で起こるケガのなかで最も多いものになります。車に乗っているとき後方から別の車に追突された場合には、むち打ち症になる可能性が高くなります。
出会い頭の衝突や前方から後退してきた車両に追突された場合にも、むち打ち症が起こることがあります。
むち打ち症の主な症状とは
むち打ち症では、多くの場合首の痛みが現れます。首の痛みは事故直後から起こることもありますが、事故から数日経ってから現れることもあります。
首は安静にしていても痛むことがありますが、動かしたときに痛みが顕著になります。肩こりや頭痛も、むち打ち症の代表的な症状です。
このほかに、むち打ち症では、吐き気・めまい・耳鳴りなど自律神経の症状が出ることもあります。
自律神経の症状は、事故後は緊張しているため気付きにくいことが多いですが、時間が経つと気になるようになってきます。
むち打ち症が治るまでの期間とは
むち打ち症になった場合、ほとんどのケースでは半年以内に治癒します。
しかし、症状がおさまらず長期化するケースもあります。むち打ち症は長期間治療を続けても症状が改善しないこともあり、後遺症となってしまうこともあります。
むち打ち症は事故後時間が経ってから発症することがある
むち打ち症は、事故直後はこれといった自覚症状がないのに数日程度経過してから症状が出ることがあります。
交通事故に遭った直後は目立ったケガがなくても、後でむち打ち症の症状が出る可能性があります。追突の衝撃を受けたなら病院を受診しておくのが安心です。
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むち打ち症の4つの種類と特徴
むち打ち症というのは、首に衝撃を受けたときに起こるさまざまな症状をまとめた呼び方です。むち打ち症は、主に次の4つのタイプに分けられます。
頸椎捻挫型
交通事故が原因で起こるむち打ち症の7~8割は頸椎捻挫型といわれています。頸椎捻挫とは首を支えている筋肉や靭帯が傷つくことをいいます。
これにより首の痛みやコリ・こわばり・肩こりなどの症状が起こります。頸椎捻挫ではなく頸部挫傷と診断されることもあります。
バレー・ルー症候群
首の損傷により、自律神経(交感神経)が過度に緊張して起こるさまざまな症状をバレー・ルー(バレー・リュー)症候群と呼びます。
主な症状は、頭痛・めまい・耳鳴りなどになります。ただし、全身の倦怠感や注意力の低下など、一見事故と関係がなさそうな場所に症状が出ることもあります。
神経根症状型
首に通っている神経根が圧迫されて起こるタイプのむち打ち症です。首の痛みのほか、腕の痛み・倦怠感・顔面の痛みなどの症状が出ることがあります。
首の骨は7つの骨でできています。この首の骨が交通事故の衝撃で本来の位置からずれ、骨のなかの神経を引っ張ったり圧迫することで症状が出るのです。
神経根症状型は骨が本来の位置からずれることが原因ですので、放っておくと悪化する可能性があります。
脊髄症状型
脊髄が傷つくことにより起こる症状で、むち打ち症の症状では最も重いものになります。
脊髄が損傷すれば、下肢のしびれ・歩行障害・知覚障害などの症状が起こることがあるほか、膀胱・直腸障害により排尿や排便機能に支障をきたすこともあります。
むち打ち症と症状が似ている脳脊髄液減少症
むち打ち症と症状が似ているものに脳脊髄液減少症があります。
脳脊髄液減少症は、脳と脊髄を満たしている髄液が漏れ出すことにより脳の位置が下がり、さまざまな症状が起こるものです。主な症状は、頭痛・めまい・全身の倦怠感などになります。
脳脊髄液減少症は診断が難しく、交通事故が原因の症状と気付かれないこともあります。では、どうして診断が難しいのでしょうか。
脳脊髄液減少症を診断するには脳脊髄液が減少しているかどうかを調べる必要があります。しかし、脳脊髄液を測定することは非常に難しいのです。
さらに、脳脊髄液減少症の症状自体も個人差が激しいため、診断が難しいとされています。
脳脊髄液減少症はむち打ち症と同じような症状が出るため、間違って診断されたり混同して考えられることがあります。
また、むち打ち症がきっかけで脳脊髄液減少症を発症すると主張されることもあります。
しかし、脳脊髄液減少症は上記のように脳脊髄液が減少することによって発症します。したがって、むち打ち症とは別のものになります。
むち打ち症の治療でのポイントとは
むち打ち症は専門的な治療を受けて治す
むち打ち症の症状は辛いものです。軽いむち打ち症でも、専門的な治療を受けなければ、症状がなかなかおさまらないことがあります。
交通事故が原因のむち打ち症であれば、加害者に対して治療費を請求することができます。
むち打ち症の症状があるなら、自分で治そうとせず、医療機関で診断を受け、適切な治療をしてもらいましょう。
むち打ち症では整形外科を受診
むち打ち症の治療費を加害者側に請求する場合、前提として、むち打ち症と交通事故の因果関係が証明できなければなりません。
むち打ち症の症状が間違いなく交通事故が原因で起こったことを証明するためには、事故後できるだけ早く、病院の整形外科を受診する必要があります。
整形外科では、レントゲン(X線)・CT・MRIなどの画像検査をはじめ、むち打ち症の診断に必要な検査をおこなってくれます。
これらの検査結果が、加害者側に損害賠償請求するときの重要な証拠になります。
整形外科で受けられる治療とは
整形外科では、むち打ち症の治療のため、消炎鎮痛薬(痛み止め)の飲み薬や湿布剤などの外用薬が処方されます。
ブロック療法と呼ばれる神経付近に麻酔薬を注射する治療法もあります。症状が長引く場合には、首の周りを温める温熱療法やマッサージなどの理学療法がおこなわれることもあります。
接骨院・整骨院、鍼灸院でもむち打ち症の治療が受けられる
整形外科でのむち打ち症の治療方法は西洋医学にもとづいており、症状を改善する治療が中心になります。
こうした対症療法だけではむち打ち症が根本的に治ったと感じにくく、不満を感じてしまうこともあると思います。
むち打ち症の場合には、接骨院・整骨院、鍼灸院など東洋医学による治療と併用すれば症状が著しく改善することがあります。
接骨院・整骨院では、主に柔道整復師による整体・マッサージ・物理療法などがおこなわれます。
鍼灸院では、鍼灸師(はり師、きゅう師)がはりや灸でツボを刺激し、血液やリンパの流れを良くし、筋肉の緊張をほぐす治療をおこないます。
東洋医学による治療を組み合わせれば、自然治癒力が高まり、根本的な治癒に向かうことがあります。
接骨院・整骨院、鍼灸院で治療を受ける場合の注意点
接骨院・整骨院、鍼灸院でむち打ち症の治療を受ける場合には、事前に整形外科の医師の許可を得るようにしましょう。
医師に相談すれば提携している接骨院などを紹介してもらえる場合もあります。接骨院などでの治療でも、医師の指導にもとづくものであれば加害者側に治療費を請求できます。
もし医師に相談なく勝手に接骨院などで治療を受けたら加害者側の保険会社が治療費を払わない可能性があります。
なお、接骨院などでも健康保険は使えますが、同じ原因の症状で病院と接骨院などを併用する場合は、どちらか一方にしか健康保険は使えません。
整形外科で健康保険を使っている場合には接骨院などでの自己負担額が高くなってしまう点にも注意しておきましょう。
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まとめ
交通事故後に起こった不快な症状は、事故が原因のむち打ち症の可能性があります。
むち打ち症では全身にさまざまな症状が出ることを知っておき、異常を感じたらすぐに受診するようにしましょう。
交通事故にあった直後には、目立ったケガがなくても病院へ行き、必要な検査を受けておきましょう。
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