交通事故で被害者が死亡したとき、遺族が損をしないためには?

慰謝料・損害賠償
交通事故で被害者が死亡したとき、遺族が損をしないためには?

交通事故の中でも、被害者が死亡する死亡事故が起こったら、結果は重大です。当然遺族の精神的苦痛も非常に大きくなります。
当然多額の損害賠償請求をすることができるのですが、具体的に、死亡事故と通常の人身事故とはどのような点が異なるのでしょうか?
死亡事故のケースで相手に損害賠償請求をするとき、注意すべき点についても知っておくべきです。
そこで今回は、死亡事故の場合の損害賠償について、通常の人身事故との違いや特徴、ポイントを詳細に解説します。

目次
  1. 死亡事故とは
  2. 死亡事故で示談交渉を進める方法
    1. 相続人が示談交渉をおこなう
    2. 誰が相続人になるのか確認する
    3. 遺族の代表者を決める
    4. 示談交渉開始のタイミング
    5. 受けとった示談金の分け方
  3. 死亡事故で請求できる損害賠償金の種類
    1. 即死の事案
    2. 事故後しばらくしてから死亡した事案
  4. 死亡事故特有の損害とは
    1. 葬儀関係費の相場
    2. 死亡慰謝料の相場
    3. 死亡逸失利益
  5. 死亡事故では過失割合が問題になりやすい
  6. 死亡事故で不利益を受けずに示談交渉を進める方法
  7. まとめ

死亡事故とは

交通事故の中でも、死亡事故が発生すると、「人が死ぬ」ということですから通常の人身傷害事故とは違うということは誰でもわかることでしょう。

ここで、死亡事故というと即死した場合のみをいうと考えられていることが多いです。


確かに、事故現場で即死した場合は明らかに死亡事故ですが、事故後に治療を続けたけれども治療の甲斐なく死亡した場合にも、やはり死亡事故となります。

死亡事故には以下の2つのパターンがあるので、まずは押さえておきましょう。

✔ 交通事故現場で即死

✔ 交通事故後、しばらく存命して治療を続けた後に死亡

そこで、交通事故後3ヶ月後に死亡した場合でも「死亡事故」になることはあります


即死した事故と、しばらく存命してから死亡した場合とでは、発生する賠償金の種類も変わってきます。

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死亡事故で示談交渉を進める方法

通常の傷害事故では、被害者自身が相手の保険会社と示談交渉をして賠償金の請求手続を進めます。


これに対し、死亡事故では被害者が死亡しているので、被害者自身が示談交渉を進めることができません。

それでは、誰がどのようにして示談交渉を進めることになるのでしょうか?以下で見てみましょう。

相続人が示談交渉をおこなう

交通事故で被害者が相手に対して賠償金を請求できるのは、相手に対して「損害賠償請求」ができるためです。


過失で交通事故を起こし、相手を死亡させたことは「不法行為」となります。


そこで、被害者は加害者に対し、不法行為にもとづく「損害賠償請求権」という権利を取得します。

そして、この損害賠償請求権という権利は、相続の対象になるので、被害者の死亡と同時に、被害者の相続人に相続されます。

そこで、死亡事故が起こると、被害者の相続人が加害者に対し、被害者に代わって損害賠償請求をおこなうことができるのです。

誰が相続人になるのか確認する

相続人になる範囲の人が誰なのか、確認しておきましょう。

まず、被害者に配偶者がいたら、配偶者は常に相続人となります。


第1順位の相続人は子どもなので、被害者に子どもがいる場合には子どもも必ず相続人になります。配偶者と子どもがいる場合には、配偶者と子どもが相続人となります。

子どもがいない場合には、第2順位の相続人である親が相続人です。親と配偶者がいる場合には、親と配偶者が相続人となります。


子どもも親もいない場合には、第3順位の兄弟姉妹が相続人となります。配偶者と兄弟姉妹がいる場合には、配偶者と兄弟姉妹が相続人です。

そこで、死亡事故が起こったら、まずは誰が相続人になるのかを確定して、それらの人が連携して相手の保険会社と示談交渉を進めていく必要があります。

遺族の代表者を決める

死亡事故で被害者の遺族が示談交渉をするときには、遺族の代表者を決めることが通常です。相手の保険会社とのやり取りの窓口となる人が必要だからです。

また、代表者を決めると弁護士に相談に行くときなどにもスムーズです。代表者を選ぶときには、被害者との関係や年齢、普段の生活の忙しさなどの観点を考慮して決定すると良いでしょう。


通常は、配偶者などの被害者ともっとも近しかった人が代表となることが多いです。

示談交渉開始のタイミング

死亡事故ではいつ示談交渉を開始するのでしょうか?

交通事故の損害賠償は、損害の内容が確定した段階で開始することができます。


死亡事故の場合には、葬儀が終わったら損害額が確定するので、葬儀が終了したら示談交渉を開始することができます。

しかし、葬儀が終わってすぐに示談交渉、という気持ちにはなれないことが普通ですし、そのようなことは社会常識にも反します。

そこで、普通は49日の法要が済んだ頃から示談交渉を開始することが多いです。

遺族から連絡を入れなくても、その頃になると、相手の保険会社から「示談はどうされますか?」と聞いてくることもあります。


そこで、49日の法要が終わった頃から、遺族で話合いをして誰を代表にして示談交渉を進めていくのかを決めておくと良いでしょう。

受けとった示談金の分け方

相続人が複数いる場合、相手から受けとった示談金をどのように分配するのでしょうか?


これについては、原則的には法定相続分に従って分配します。

遺族の代表として示談交渉をしたからといって、その人の取り分が増額されるというものではありません。


ただ、遺産分割をすることができるので、相続人が全員合意をすれば、法定相続分とは異なる割合で賠償金を分けることは可能です。

たとえば、配偶者と兄弟姉妹が相続人になっているときに、配偶者が全額受け取ることにしても良いですし、配偶者と子どもが相続人になっているときに、全額を子ども名義の貯金にしておくことも可能です。

死亡事故で請求できる損害賠償金の種類

死亡事故が起こったとき、相手に対してはどのような種類の損害賠償金を請求することができるのでしょうか?


死亡事故の損害は、即死の事案と事故後しばらくしてから死亡した事案とで異なります。

即死の事案

即死した場合に発生する損害は以下の通りです。

葬儀関係費用

被害者の葬儀などに関してかかった費用です。遺体運搬費用、葬儀社への支払、僧侶への支払、仏壇購入費用、墓石購入費用などが認められることが多いです。

死亡慰謝料

死亡慰謝料とは、被害者が死亡したことによって被害者が受けた精神的損害に対する慰謝料です。


死亡すると同時に被害者が強い精神的損害を受け、それがそのまま相続人に相続されると考えられています。

死亡逸失利益

死亡逸失利益とは、被害者が死亡したことにより、それまでのように働けなくなるため、得られなくなってしまった将来の収入のことです。


死亡逸失利益が認められるのは、事故前に働いて収入があった人です。ただ、主婦や学生、子ども、年金生活者などにも死亡逸失利益が認められます。

事故後しばらくしてから死亡した事案

事故後しばらくしてから被害者が死亡したときには、上記の3つの損害に足して、以下のような損害が認められます。

治療費、付添看護費用、入院雑費などの積極損害

即死しなかった場合には、死亡するまでの間、病院で入院治療を受ける(場合によっては通院治療)ことが普通です。そこで、病院に対する治療費が発生します。


また、付添看護費用や入院雑費などの損害も発生します。計算方法は、通常の人身傷害事故のケースと同じです。

休業損害

被害者が生前仕事をしていて、事故後の治療中に働けない期間が発生した場合には、休業損害が発生します。休業損害についても、通常の人身傷害事故のケースと同じです。

入通院慰謝料

被害者が入通院治療を受けたら、その間入通院慰謝料が発生します。たとえば、被害者が1ヶ月入院してから死亡したら、1ヶ月分の入院慰謝料を相手に請求することができます。


計算方法は、通常の人身傷害事故のケースと同じです。

死亡事故特有の損害とは

以下では、死亡事故特有の損害の相場や計算方法を確認していきましょう。

葬儀関係費の相場

死亡事故では葬儀関係費を請求することができます。金額は、だいたい150万円を限度として、かかった実費の額が支払われます。


事案によってはそれより高く、200万円近い金額が認められる例もあります。


ただし、高額な墓地や墓石を購入したからといって全額を認めてもらうことなどはできません。

死亡慰謝料の相場

死亡慰謝料の金額は、被害者が家族の中でどのような立場であったかにより大きく異なってきます。子どもなどの扶養していた人がいる場合、高額になります。


具体的には以下のとおりです。

✔ 被害者が一家の支柱であったケース:2,800万円〜3,600万円程度

✔ 被害者が母親や配偶者であったケース:2,000万円〜3,200万円程度

✔ 被害者が独身の男女であったケース:2,000万円~3,000万円程度

✔ 被害者が高齢者であったケース:1,800万円〜2,400万円程度

✔ 被害者が子どもであったケース:1,800万円〜2,600万円程度

幅がありますが、事案によって増減をして適切な金額を認定します。


なお、上記は弁護士基準による計算方法であり、自賠責基準や任意保険基準の場合、死亡慰謝料の金額は大きく下がります。

そこで、被害者が自分で相手の保険会社と示談交渉をするときには、上記の金額を支払ってもらうことは難しくなります。

死亡逸失利益

死亡逸失利益とは、被害者が死亡したことによって得られなくなってしまった将来の収入ですから、請求できるのは基本的に事故前に仕事をしていた人です。

たとえば、サラリーマンや個人事業者などは問題なく逸失利益を認めてもらうことができます。そのほか、以下のような人が死亡逸失利益を請求することができます。

主婦
専業主婦や兼業主婦、主夫などは外で働いて収入を得ているわけではありません。


しかし、家事には経済的な価値があると認められるので、これらの家事労働者が死亡した場合には死亡逸失利益を認めてもらうことができます。

その場合、基礎収入(逸失利益計算の際に基本とする収入)は、全年齢の女性の平均賃金を使って計算します。だいたい年収370万円程度です。

兼業主婦の場合には、実収入が女性の平均賃金を上回る場合にのみ実収入を基準とし、それ以外の場合には平均賃金を使って計算します。

主夫(男性)の場合にも、主婦と不公平にならないように、女性の平均賃金を使って基礎収入を計算します。男性の平均賃金は女性の平均賃金よりも高額になるためです。

学生、子ども
学生や子どもは働いていないので、収入がないことが普通です。


ただ、これらの人が死亡した場合にも死亡逸失利益が認められます。学生や子どもは、将来働いて収入を得る可能性が高いからです。

学生や子どもの逸失利益を計算するときにも、実際に収入がないため、どのようにして基礎収入を計算するかが問題となります。この場合、男女別の平均賃金を使うことが多いです。

学生の場合、就職の内定が決まっていたら内定先の給料が基準になることがありますし、大学生なら学歴別の平均賃金を使ってもらえることもあります。

小さな子どもの場合、男性の平均賃金と女性の平均賃金に差があり、男の子の方が女の子よりも死亡逸失利益が高額になるという不合理が発生します。


女性の平均賃金は370万円くらいですが、男性の平均賃金は550万円くらいになるためです。

そこで、女の子の場合に男女の平均賃金を使って計算することにして不均衡を是正することが多いです。男女の平均賃金は年収490万円くらいです。

死亡事故では過失割合が問題になりやすい

死亡事故で遺族が示談交渉を進めるとき、過失割合に注意しなければなりません。過失割合とは、交通事故の結果に対する被害者と加害者の責任の割合のことです。

被害者の過失割合が高くなると、被害者が相手に請求できる賠償金の金額が減ってしまいます。


相手は被害者になるべく高い過失割合を割り当てようとしてくるので、相手と示談交渉を進めるときには不当に高い過失割合を押しつけられないように注意しなければなりません。

たとえば通常の人身事故の場合、相手の保険会社が「~だから、あなたにも過失がありますね」などといってきたら、被害者自身が「いいえ、そんなことはありません。あのときは~でした」などといって反論することができます。

しかし、死亡事故の場合には被害者自身は死亡しているので、誰も事故現場を見ていた人がいません。そこで相手の言うなりに過失割合を決められてしまいやすいのです。

また、事故後の実況見分に被害者が立ち会えないことも問題です。


事故が起こると警察が実況見分をおこないますが、このとき普通は被害者と加害者双方の立ち会いのもと、双方から話を聞いて図面などを作成するものです。


しかし、死亡事故の場合には被害者が死亡しているので、被害者自身が説明をすることができず、加害者の言うなりの書面が作られてしまうおそれがあるのです。

このようなことから、死亡事故の場合、被害者に不当に高い過失割合を割り当てられて、賠償金を大きく減額されてしまうおそれが大きくなるので、注意しましょう。

死亡事故で不利益を受けずに示談交渉を進める方法

死亡事故では、通常の人身事故とは異なり、注意すべき事項や不利になる要素がたくさんあります。


遺族が自分たちで示談交渉を進めようとしても、なかなかスムーズに進まないことが多いでしょう。

そこで、そのようなときにはプロである弁護士に対応を依頼すると安心です。弁護士なら、遺族の気持ちに配慮しながら被害者の権利を最大限実現してくれることでしょう。

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まとめ

今回は、死亡事故の特徴や注意点を解説しました。死亡事故では被害者が死亡しているため、遺族が示談交渉をしなければならず、過失割合の認定でも不利になりやすいなどの問題があります。


適切に賠償金請求を進めていくには、弁護士に対応を依頼することが大切です。


死亡事故の遺族となって困っていることがあるなら、まずは一度、弁護士の無料相談を受けてみると良いでしょう。

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