適正な休業損害を受け取りたい!正しい休業損害証明書の書き方とは?

慰謝料・損害賠償
適正な休業損害を受け取りたい!正しい休業損害証明書の書き方とは?

交通事故に遭い、加害者側に休業損害を請求するときに、休業損害証明書が必要になることがあります。今回は、休業損害を請求できるケースや休業損害証明書が必要になるケースを紹介したうえで、休業損害証明書の正しい書き方について解説します。

目次
  1. 交通事故で仕事を休んだら休業損害を請求できる
    1. 仕事を休んだことによる財産的損失が休業損害
    2. 有給取得した場合でも休業損害を請求可能
    3. 職場復帰後の再度の休業でも休業損害となる
  2. 休業損害として請求できる金額
    1. 自賠責保険基準
    2. 任意保険基準
    3. 弁護士(裁判所)基準
  3. 休業損害を請求するためには金額を証明する書類が必要
    1. サラリーマンの休業損害は休業損害証明書で証明
    2. サラリーマン以外が休業損害を請求する場合の必要書類
  4. 休業損害証明書作成の流れ
    1. 書式を入手する
    2. 勤務先に提出して記入してもらう
    3. 保険会社に提出
  5. 休業損害証明書の正しい書き方
  6. 休業損害証明書の提出前に注意しておくべきこと
    1. 被害者請求するなら自賠責に休業損害証明書を提出
    2. 提出前に記載に不備がないかどうか確認
    3. 休業損害証明書を書いてもらえなくてもあきらめない
  7. まとめ

交通事故で仕事を休んだら休業損害を請求できる

仕事を休んだことによる財産的損失が休業損害

交通事故にあった後、ケガの治療や入通院のために仕事を休まなければならないことがあります。

仕事を休むと収入が減り、財産的損失となってしまいます。仕事を休んだことによる財産的損失は、ケガの治療費などとは別に休業損害として加害者側の保険会社に請求できます

有給取得した場合でも休業損害を請求可能

会社を欠勤すると給与が支払われません。ですから、ケガの治療のために有給休暇を取得する人は多いと思います。

実は有給休暇を取得した場合でも休業損害を請求できます

交通事故のケガで有給休暇を使ったら他の目的のために有給休暇を使えません。そのため財産的損失があったと考えられるからです。

職場復帰後の再度の休業でも休業損害となる

交通事故の後、一度は職場に復帰したものの、ケガの状況によっては再度休まなければならなくなることもあります。

職場復帰後の再度の休業についても、交通事故との因果関係がある限り休業損害を請求できます

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休業損害として請求できる金額

では、休業損害はいくらもらえるのでしょうか。 休業損害の計算方法には以下の3つの算出基準があります。

自賠責保険基準

自賠責保険 自賠責保険で休業損害として支払いを受けられる金額は1日につき5,700円と決まっています。

自賠責保険基準の休業損害=5,700円×休業日数

ただし、この金額を超える休業損害があることを証明すれば、1日につき1万9,000円までを自賠責から払ってもらえます

任意保険基準

1日1万9,000円を超える休業損害が発生している場合、自賠責ではカバーされないため、任意保険会社から支払いを受けることになります。

任意保険会社から支払いを受けられる休業損害についても上限がありますが具体的な金額は公表されていません

休業損害として適切な金額を払ってもらうには、休業損害を証明しつつ保険会社と交渉する必要があります

弁護士(裁判所)基準

弁護士(裁判所)基準では、1日当たりの基礎収入を使用して休業損害を算出します。

弁護士(裁判所)基準の休業損害=1日あたりの基礎収入×休業日数

つまり、休んだ日数分の給料が休業損害として支払われることになります

この弁護士(裁判所)基準は弁護士が損害賠償の計算をする際に使用する算出基準です。弁護士基準(裁判所)基準で休業損害を計算するには休業損害の請求を弁護士に依頼する必要があります。

休業損害を請求するためには金額を証明する書類が必要

休業損害を請求するためには金額を証明する書類が必要

仕事を休んだことによる財産的損失は、事故に遭った人が得ている収入の額によって違ってきます。

そのため、保険会社に休業損害を請求するときには休業損害を証明する書類の提出が必要になります。どんな書類が必要になるかは職業や勤務形態などによって変わってきます。

サラリーマンの休業損害は休業損害証明書で証明

会社員やパート・アルバイトなど勤務先から給与をもらっている人(給与所得者)が休業損害を請求する場合には「休業損害証明書」の提出が必要です

休業損害証明書は自賠責保険で書式が用意されているため、これを使って作成します。 休業損害証明書には、

  • 休業した期間
  • 有給休暇の取得状況
  • 休業期間中の給与支払状況
  • 事故前3か月間の給与支払額

などを記入し、記載内容に間違いないことを事業者が証明して押印します。

サラリーマン以外が休業損害を請求する場合の必要書類

自営業者は確定申告書を提出

自営業者(事業所得者)の場合には休業損害証明書を書いてもらう勤務先がありません。

事業所得者は、休業損害証明書ではなく確定申告書で休業損害を証明します。前年分の確定申告書(控)の写しを用意し、保険会社に提出します。

専業主婦は診断書などにより家事労働ができなかった期間を証明

働いていない専業主婦でも交通事故により家事労働ができなくなったなら休業損害を請求できます。

専業主婦の場合には、賃金センサス(賃金構造基本統計調査)の女性の平均賃金のデータを使って計算します。

専業主婦の場合には、家事労働ができなかった期間を証明するために医師の診断書などが必要になります。

アルバイトの学生は休業損害証明書が必要

アルバイトをしていない学生は交通事故で収入が減るわけではありませんから休業損害を請求できません。

一方、アルバイトしている学生は事故によりアルバイトを休まなければならなくなったのなら休業損害を請求できます。

アルバイトの場合も給与所得者ですから休業損害を請求するには勤務先で休業損害証明書を書いてもらって提出する必要があります。

休業損害証明書作成の流れ

休業損害証明書を記入し、提出するまでの大まかな流れは次のようになります。

書式を入手する

休業損害証明書の書式は通常は加害者側の任意保険会社から送られてきます。保険会社のホームページでも休業損害証明書の書式をダウンロードできます。

勤務先に提出して記入してもらう

休業損害証明書は、被害者自身が記入するものではなく勤務先で必要事項を記入して作成してもらう書類です。休業損害証明書の書式を手に入れたら、勤務先の担当者に渡し、記入をお願いしましょう

保険会社に提出

勤務先から受け取った休業損害証明書を保険会社に提出します。

休業損害証明書の正しい書き方

休業損害証明書は勤務先で作成してもらう書類ですから、被害者が自分で必要事項を記入する必要はありません。

しかし、記載漏れや記載間違いがあると速やかに賠償金を受け取れなくなってしまいます。ですから被害者も正しい書き方を知っておきましょう。

  1. 事故前年度の源泉徴収票を貼ります。
  2. 職種・役職、氏名、採用年月日を記入します。
  3. 休業期間がいつからいつまでなのか、日付を書きます。
    遅刻・早退した日も休業期間に含みます。
  4. 休業期間のうち、欠勤した日数、有給休暇を取得した日数、遅刻・早退した回数を記入します。
  5. 休んだ日に○をつけ、勤務先の所定の休日には×をつけます。
  6. 休業期間中の給与の支払状況について該当するものに○をつけます。
    一部支給(減給)の場合には金額を記載します。本給、付加給の内訳も記載します。
    本給とは基本となる給与、付加給とはそれ以外の皆勤手当や残業手当などを指します。
  7. 事故前3か月間に支給された給与の金額を記載します。
    パート・アルバイトの場合には、所定勤務時間と時給などを記載します。
  8. 健康保険や労災保険から傷病手当金や休業補償などを受けている場合には、支払いを受けた健康保険組合などの名称と電話番号を記入します。
  9. 証明書の作成年月日を記載します。
  10. 勤務先の住所、電話番号、名称、担当者名、代表者名を記入し、代表者印を押印します。
    担当者連絡先がある場合には電話番号も記入します。

休業損害証明書の提出前に注意しておくべきこと

被害者請求するなら自賠責に休業損害証明書を提出

交通事故で自賠責から支払われる損害賠償金については、任意保険会社を通さず被害者が直接自賠責保険に請求することも可能です。

被害者が自賠責保険に損害賠償金を請求することを被害者請求と言います。

被害者請求すれば、任意保険会社との示談成立前に自賠責保険の分については被害者が直接受け取ることができます

被害者請求する場合には、他の必要書類と一緒に休業損害証明書を自賠責保険に提出します。

なお、被害者請求に必要な書類を被害者が自分でそろえるのは大きな負担になりますから、弁護士にサポートしてもらうのがおすすめです。

提出前に記載に不備がないかどうか確認

休業損害証明書に不備があった場合、保険会社から返却されることがあります。被害者請求する場合には自賠責保険の請求を受け付けてもらえないこともあります。

いずれにしろ、記載に不備があればお金を受け取れるまでに余計な時間がかかってしまいます。

勤務先から休業損害証明書を受け取ったら、記入漏れや記入間違いがないか確認したうえで提出しましょう

休業損害証明書を書いてもらえなくてもあきらめない

休業損害証明書は事業主が作成する書類ですから、休業損害の請求には勤務先の協力が不可欠です。

しかし、何らかの事情で勤務先で休業損害証明書を書いてもらえないこともあると思います。

休業損害証明書を用意できなくても他の書類から休業損害を証明できれば休業損害を請求できる可能性があります。この場合には、

  • 休業期間を証明できるタイムカードの写し
  • 現在の収入を証明できる給与明細書

などが必要になります。どんな書類を用意していいかわからない場合や書類を入手するのが困難な場合には、弁護士に相談して対処方法を考えてもらいましょう。

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まとめ

休業損害証明書は、交通事故が原因で会社を休まなければならなくなったサラリーマンが休んでいた期間中の給料(休業損害)を加害者側に請求するために必要な書類です。

交通事故のケガの治療で会社を休んだときには会社で休業損害証明書を書いてもらい、速やかに加害者側の保険会社に提出しましょう。

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