交通事故で支払われた慰謝料や示談金に税金はかかるのか

交通事故が起きたとき、まずは示談交渉をおこなうのが一般的です。そして示談が成立すると保険会社から示談金が支払われます。このとき支払われる示談金や、そのなかに含まれる治療費、慰謝料などには税金はかかってくるのでしょうか。税金の詳しい説明の前に、まずは示談金の内訳について解説します。
交通事故の被害者側と加害者側の保険会社の対応の違い
一般的に、交通事故を起こした際、当事者の保険会社は以下の対応をします。
1.加害者側の保険会社による後遺障害等級認定請求
2.被害者側の保険会社による治療費請求
3.保険会社双方による示談交渉
4.保険金支払い
1.加害者側の保険会社による後遺障害等級認定請求
交通事故で後遺障害を負った場合、後遺障害の申請をおこなう必要があります。この後遺障害の申請の方法には被害者が自分で請求する方法と、相手側の保険会社が請求をおこなう方法があります。
前者のことを「被害者請求」、後者を「事前認定」といいます。
後者の「事前認定」で請求をおこなった場合、相手側の保険会社は最低限の書類だけで処理をおこないます。したがって被害者側が不利にならないためにも、「被害者請求」でおこなうことをお勧めします。
この「被害者請求」は自分で請求をおこなうことになるため、保険会社との示談を待つ必要がなく、先に保険金を受け取ることができるという時間的な利点もあります。
2.被害者側の保険会社による治療費請求
交通事故により怪我を負って通院を余儀なくされた場合、通院している病院を保険会社に連絡することで、保険会社が治療費の対応をおこないます。通院するために交通費がかかった場合や、仕事を休まなければならなくなった場合の休業損害などを請求する際は、それぞれに必要な書類を揃え、担当の保険会社に提出します。
3.保険会社双方による示談交渉
一般的に、示談交渉は当事者双方の保険会社の担当者間でおこなわれます。保険会社は専門知識も豊富ですし、なにより交通事故の当事者は負傷している場合もあります。
こういった場合においても示談交渉を保険会社に任せるのが安心といえるでしょう。
4.保険金支払い
賠償額の金額に納得がいけば、基本的に請求後30日以内に、保険会社から賠償金が支払われます。
交通事故で加害者から支払われた慰謝料には税金がかかるの?
交通事故で加害者から支払われた慰謝料や治療費は、非課税のため、確定申告も不要です。
考え方として、慰謝料や治療費といった損害賠償金は、給与などの所得ではなく、交通事故で受けた損害を埋め合わせるために受け取ったものとされています。
したがって、慰謝料や治療費だけでなく、働けなくなった際に支払われる休業損害についても、所得税は非課税となります。
交通事故を起こしたときの保険会社とのやりとりポイントは?
保険会社は加害者側・被害者側に関わらず、自社が支払う保険金の額を低く抑えたいと考えることがあります。その結果、自賠責保険基準程度の示談金を提示されることもあります。
また、被害者にあまりに知識がない場合、示談金を低く抑えようとしてくる可能性もあります。
そこで、保険会社と交渉する際のポイントをご紹介します。
1.被害者側も損害賠償金についてある程度調査しておく
2.賠償額に納得できない場合は示談に応じない
3.弁護士など専門家に相談する
1.被害者側も損害賠償金についてある程度調査しておく
保険会社は自社が支払う保険金の額を低く抑えたいと考えることから、示談金を低く抑えようとしてくる可能性もあります。このとき、被害者がある程度賠償額について知識を持っておくと、保険会社から提示された賠償額が適正なものか判断でき、被害者側の損失を抑えることができます。
2.賠償額に納得できない場合は示談に応じない
示談の場面では、最終的に示談書あるいは免責証書を取り交わします。このとき、提示された内容で示談に応じてしまい、書面を交わすと、原則的にそれ以降の請求は不可能になります。
したがって、提示された示談内容に納得できないようなときは、決してその提示内容では示談に応じていけません。
3.弁護士など専門家に相談する
保険会社から提示された示談内容に納得できないときや、賠償金額について腑に落ちない点があるときなど、自分ひとりでは解決が困難な場合、専門知識を持った弁護士などに依頼することもお勧めです。
保険会社とは異なり、被害者の立場に立って正当な示談内容、賠償額が得られるための交渉をしてくれます。
まとめ
保険会社は専門知識が豊富で、当事者に代わって示談交渉をおこなってくれますが、自社の支払い額を低く抑えようとしてくる可能性もあり、結果として被害者に不利な示談内容を提示してくる可能性もあります。
もし、提示された示談内容や賠償額に納得ができない場合は、決して示談に応じてはいけません。
ひとりでの解決が困難なときは専門知識を持った弁護士に相談することを強くお勧めします。
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