交通事故の示談後に後遺障害!示談をやり直して損害賠償請求する方法

示談交渉
交通事故の示談後に後遺障害!示談をやり直して損害賠償請求する方法

交通事故でケガをしたり物が壊れた場合、多くの場合は示談で解決します。

しかし、「示談成立で解決した!」と安心したのも束の間、示談成立後に新たな後遺障害が発症するケースも稀ではありません。

この場合、改めて示談をやり直すことができるのでしょうか?新たに発生した後遺障害について賠償請求することはできるのでしょうか?

ここでは、示談後に発症した後遺障害について、改めて示談をやり直せるか、新たな示談はどうすればよいのかなどについて説明します。

目次
  1. 原則として示談はやり直せない
  2. 示談をやり直せる場合とは
    1. 示談書に条項を入れてある
    2. 示談のやり直しを認めた裁判例
  3. 示談のやり直し手順
  4. 示談後の後遺障害の賠償請求を容易にする方法とは
    1. 示談書の文言を工夫する
    2. 容易に示談に応じない
  5. 不利な条件で合意しないために弁護士に相談する
  6. まとめ

原則として示談はやり直せない

示談成立後、新たに後遺障害が発生しても、原則として示談をやり直すことはできません

なぜなら、お互い頑張って示談したのに、蒸し返すといつまでたっても紛争が解決しないからです。

また、示談の際に示談書免責証書を作成するのが一般的ですが、そこには 「そのほか、甲乙に一切の債権債務関係がないことを互いに確認する」 といった条項を記載するのがほとんどです。

これがいわゆる「清算条項」です。この清算条項は、先ほど説明したように、示談について蒸し返し、紛争が長期化することを防ぐため、大抵の示談書に記載されています。

では、この清算条項が記載されていれば、示談後に新たに後遺障害が発生しても何も請求できないのでしょうか?

いいえ、請求できる場合があります

具体的にどのような場合に請求できるのか、示談のやり直しが認められるケースについて、以下で説明します。

示談をやり直せる場合とは

2-1.示談書に条項を入れてある

示談書に「示談後に、新たに後遺障害が発生した場合は、再度協議する」といった文言を記載する場合があります。

このケースでは、示談後に後遺障害が発生しても、改めて示談をやり直すことが可能です。個人同士の示談の場合、このような条項を入れることも有効です。

しかし、多くの場合、保険会社との間で示談交渉することとなるため、このような事項を記載することは現実的には困難です

2-2.示談のやり直しを認めた裁判例

では、再度の協議について示談書に記載していない場合、新たに発生した後遺障害について示談をやり直すことはできないのでしょうか?

確かに示談書に清算条項がある場合、示談後に新たに後遺障害が発生しても、賠償請求できないようにも見えます。

しかし、最高裁(最判昭和43年3月15日・民集22巻3号587頁)は次のように考え、示談のやり直しを認めました。示談後の後遺障害について賠償を認めた判決の一部をみてみますと・・・

(一部抜粋)

このように、全損害を正確に把握し難い状況のもとにおいて、早急に小額の賠償金をもつて満足する旨の示談がされた場合においては、示談によつて被害者が放棄した損害賠償請求権は、示談当時予想していた損害についてのもののみと解すべきであつて、その当時予想できなかつた不測の再手術や後遺症がその後発生した場合その損害についてまで、賠償請求権を放棄した趣旨と解するのは、当事者の合理的意思に合致するものとはいえない。


難しい言葉が並んでいますが、簡単に言うと 「示談当時、予測できなかった後遺障害であれば、示談後に発生しても請求できる可能性がある」ということです。

示談において清算条項がある場合、「示談書に記載している内容以外、もう何も請求しませんよ」と、他の権利について放棄したことになります。

しかし、「示談のときに予測されなかった後遺障害については請求権を放棄したとは言えない」と裁判所は考えているのです。

この裁判例によれば、示談のときに予想できなかった後遺障害であれば、示談後に発症しても、賠償請求できる可能性は十分あります。

示談が終わったからとあきらめず、新たに賠償請求するために必要な手続きを行いましょう。

示談のやり直し手順

では、具体的にどのように示談をやり直すのでしょうか?新たな示談を行うには、示談後に発生した後遺障害が交通事故によるものと認められるかがポイントとなります。

示談後の後遺障害は、交通事故からかなりの時間が経過したあと発症します。したがって事故によるものかどうか証明することが難しくなります。

事故によるものかどうかを証明するためには、まず証拠集めをしましょう。最も集めやすい証拠として、医療機関の診断書があります。

示談後に少しでも身体の不調があれば、直ちに医療機関で診断を受けておいてください。

そして、医師に診断書の作成を依頼してください。そのうえで、保険会社に対して「新たに発生した後遺障害について賠償請求したい」と伝えてください。

事故から時間が経過すると、事故が原因で後遺障害が発症したことを証明することは難しくなります。後遺障害と思われる症状があれば、なるべく早く診療を受けてくださいね。

示談後の後遺障害の賠償請求を容易にする方法とは

示談後の後遺障害の賠償請求を容易にする方法とは

示談後、後遺障害が発症した場合、なるべく早くに医療機関に行くことは分かりました。

では、示談後の後遺障害の賠償請求を容易にするため、どのような方法があるのでしょうか?

示談後に発症した後遺障害の賠償請求を容易にするために、事前に対応できる方法として、

  • 示談書の文言を工夫する
  • 容易に示談に応じない

この2つの方法が考えられます。

4-1.示談書の文言を工夫する

あらかじめ、示談後に後遺障害が発生しても賠償請求できる道を残しておくため、

示談後に、新たに後遺障害が発生した場合は、再度協議する

示談成立日後に、被害者に後遺障害が認められた場合、この後遺障害に対する治療費、休業補償、逸失利益、慰謝料などについて、加害者は被害者に支払うものとする

といった条項を記載する方法があります。

この条項があれば、たとえ示談時に清算条項を記載していても、新たな後遺障害が発症した場合、賠償請求が可能となります。

念のため示談書に上記のような条項を記載することもよいかもしれません。

しかし、前述のとおり、保険会社を介しての交渉の場合、このような条項を記載することは、現実的には困難です。そのため、次の方法が最も有効と思われます。

4-2.容易に示談に応じない

事故当事者にとって、通院や示談交渉など、交通事故後の手続は面倒なものが多くあります。また、相手方保険会社が早々に通院費の打ち切りを通知してくることがあります。

弁護士に依頼せず個人で保険会社と示談交渉している場合、早期に示談してしまうことがあります。確かに、早期に示談することにより交渉などの煩わしさから早く解放されます。

しかし、示談後に予期せぬ後遺障害が発生するかもしれません。そのため、容易に示談に応じず、不安・疑問があれば弁護士などに相談することをお勧めします

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不利な条件で合意しないために弁護士に相談する

不利な内容で示談に合意しないようにするためには、弁護士に相談することが有効になります

交通事故案件に強い弁護士であれば、どのタイミングで示談すべきか、あるいは示談せず訴訟を行うべきかなどについて適切に判断、アドバイスすることが可能です。

弁護士に依頼するとなると心配になるのが、弁護士費用ですよね。現在、自動車保険の特約に弁護士費用特約という特約があります。

弁護士費用特約とは、自動車にかかわる交通事故に遭い、相手方に対して示談交渉賠償請求を行うときに生じる弁護士費用や法律相談の費用を補償する特約です。

弁護士費用特約を利用すれば、実質の負担はなく弁護士に依頼することができます

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まとめ

一旦示談が成立してしまうと、新たに後遺障害が発生したとしても原則として示談をやり直すことはできません。

しかし、あきらめてはいけません。

示談書の文言や内容によっては示談をやり直せる可能性があります。ただし、示談をやり直すことが難しいということは変わりません。

不利な条件で示談しないためにも、弁護士に相談することが大切です。

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