示談交渉でお悩みのあなた!交通事故を弁護士に依頼して有利に交渉する手順。

示談交渉
交通事故の示談交渉で被害者が損をしないための5つのポイント

交通事故ではまず当事者同士で示談交渉をおこないます。一般的には当事者の保険会社同士で示談交渉をおこないますが、対応を間違えると被害者が損をしてしまうことがあります。また一度示談をまとめてしまうと、やり直しはできません。では実際に被害者はどのように対応すればいいのでしょうか。本記事では、交通事故の示談交渉で被害者が損をしないために注意すべきポイントと対策について詳しく説明します。

目次
  1. 示談交渉のタイミング
    1. 保険会社から症状固定を持ちかけられたら
  2. 後遺障害等級申請を被害者請求でおこなう
    1. 事前認定
    2. 被害者請求
    3. 弁護士に被害者請求を依頼する
  3. 示談交渉
    1. 3つの慰謝料基準
  4. 時効に注意
  5. 示談交渉を保険会社が代行できない場合
    1. 弁護士費用特約
  6. まとめ

示談交渉のタイミング

交通事故の示談交渉で被害者が損をしないための1つめのポイントは示談交渉のタイミングです。

示談交渉を開始するタイミングは原則として「損害が確定してから」です。

交通事故の損害が確定するのは事故の種類によって異なります。

死亡事故の場合であれば、被害者の死亡が確認された時点で損失が確定したことになります。したがって、交通事故直後に示談交渉をおこなうことは可能です。しかし、被害者遺族の感情を考えれば交通事故直後に示談をおこなうのは非常識とみなされます。

したがって、死亡事故の場合は葬儀費用が確定する四十九日の法要が終わったあとに相続人が示談交渉をおこなうのが一般的です。

では傷害事故の場合はいつ示談交渉をおこなえばよいのでしょうか。

傷害事故の場合はケガの治療が終了してから示談交渉をおこないましょう

また、交通事故ではケガが完治せず後遺障害が残ってしまうことがあります。後遺障害とは、これ以上治療を続けても症状の改善が見られない状態(症状固定)になり、自賠責保険の後遺障害等級に認定されたものをいいます。

後遺障害が残った場合は、症状固定を済ませて後遺障害の認定を受けてから示談交渉をおこないましょう

交通事故のケガが軽度の場合、現場で示談を済ませたくなることもあります。また加害者側から事故現場で示談を持ちかけられることもあります。

しかし、交通事故直後は症状が出ていない場合であっても、むちうちや脳障害のように後から症状が出るケガもあります。さらに交通事故直後は興奮しているため、ケガをしていても痛みに気付かないこともあります。

示談成立後に認定された症状は損害賠償の対象外になります。もし交通事故直後に示談交渉に応じ、示談成立後に後遺障害やケガが認定されても損害賠償の対象から外れてしまうのです。

適切な損害賠償金を受け取るためには、必ずケガが完治するかあるいは症状固定してからおこなうことが大切です。

保険会社から症状固定を持ちかけられたら

被害者がケガをして治療中にも関わらず、保険会社から「治療費の打ち切り」や「症状固定しましょう」と持ちかけられることがあります。しかし、治療の終了や症状固定は医師が患者の症状などを診たうえで判断するものです。保険会社が決めるものではありません。

なぜ保険会社は「治療費の打ち切り」や「症状固定」を急ぐのでしょうか。

交通事故で被害者がケガをすると、治療費を保険会社が立て替えて支払う場合があります。また治療期間が長くなると入治療費だけでなく入通院慰謝料も増額していきます。保険会社は、これらの治療費や入通院慰謝料の支払い金額を抑えるために治療費の打ち切りを持ちかけてくるのです。

また、症状固定をするとその後の治療費の請求ができなくなります。したがって保険会社が症状固定を持ちかけてくるのも治療費の打ち切りが目的の場合があります。

では、保険会社から「治療費の打ち切り」や「症状固定」を持ちかけられたら応じる必要があるのでしょうか。

治療費の打ち切りを持ちかけられたとしても治療を受けられなくなるわけではありません。

このような打診を受けたら、まず医師に相談し、治療が必要な状態であれば治療を続けるべきです。打ち切られた後の治療費については自腹で支払い、保険会社に「医師から治療を続けるべきと言われた」ことを説明して請求しましょう。

症状固定を促された場合についても同様に医師に自分の症状をしっかりと伝えて相談してみましょう。医師が「症状固定と言えない」と判断しているにも関わらず保険会社が症状固定にしようとしてきた場合は、その理由を保険会社に確認し、納得できない場合は弁護士に相談してみることをお勧めします。

後遺障害等級申請を被害者請求でおこなう

交通事故の示談交渉で被害者が損をしないための2つめのポイントは後遺障害等級申請の方法です。

後遺障害等級認定の申請をおこなう際には、医師に「後遺障害診断書」を作成してもらう必要があります。

後遺障害診断書は医師が記入する書類ですが、どのような内容が書かれているのかしっかり自分でも確認してください。

後遺障害には介護を要するものが2等級、介護不要のものが14等級あり、症状別で等級が決まります。さらに認定された後遺障害等級によって後遺障害慰謝料の金額が変わります。被害者は正確に自覚症状を医師に伝え、適切な診断書を発行してもらうことが大切です。

後遺障害診断書の発行が済んだら、必要書類を揃えて後遺障害等級申請をおこないます。

後遺障害等級認定の申請方法には「事前認定」と「被害者請求」の二つの方法があります。

事前認定

事前認定は後遺障害等級申請の手続きを加害者側の保険会社に任せることです。

事前認定は被害者の手続きの手間が省けるというメリットがあります。しかし被害者が高い等級で後遺障害認定を受けることは加害者側の保険会社の支出が大きくなり、保険会社にとっては不利益になります。

したがって被害者の利益のために保険会社が積極的に動かない可能性があります。

被害者請求

被害者請求は、必要書類を全て被害者が揃えて加害者の自賠責保険会社に申請をおこなう方法です。

被害者請求は被害者が自分で必要な資料を準備するため煩わしさはありますが、納得のできる等級を申請するために十分な資料を準備することができます。

弁護士に被害者請求を依頼する

後遺障害等級の申請は「被害者請求」でおこなうことが大切です。

後遺障害等級の申請のために必要な書類に不備があると、納得のできる等級が認定されません。

後遺障害等級の申請をおこなうということは、被害者が日常生活に支障があるようなケガをしていることになります。このような状態で被害者が申請に必要な書類を準備し煩雑な後遺障害等級の申請をおこなうことは、精神的にも肉体的にも大きな負担になります。

このような場合、ぜひ弁護士に被害者請求を依頼しましょう。弁護士に依頼すれば、被害者の精神的・肉体的負担も軽減し、後遺障害等級申請に必要な書類を漏れなく準備して申請してもらえます。

示談交渉

交通事故の示談交渉で被害者が損をしないための3つめのポイントは示談交渉です。

一般的には加害者側の保険会社と示談交渉をおこないます。

はじめは保険会社との示談交渉に不安を感じるかもしれませんが、加害者が保険に加入している時点で損害賠償金が支払われることは確実です。必要以上に不安になることはありません。

では加害者側の保険会社が提示した損害賠償金額を鵜呑みにし、示談を成立させてしまっていいのでしょうか。

被害者は専門知識が乏しく、保険会社から提示された損害賠償金額が妥当かどうかを判断できません。

また保険会社は専門知識や交渉力が豊富ですので、提示額に納得できないことを被害者が訴えても太刀打ちすることは困難です。

このとき、示談交渉を弁護士に依頼すれば提示された金額が妥当かどうかを判断することができます。弁護士は交通事故に関する専門知識も豊富です。示談交渉を弁護士に依頼すれば、被害者にとって有利に示談を進めることができます。

また、示談交渉を弁護士に依頼すると、後述する弁護士(裁判所)基準で慰謝料を計算するため、損害賠償金額が増額できる可能性もあります

被害者がケガをしている場合、弁護士に示談交渉を依頼することで治療に専念できるのも大きなメリットです。

3つの慰謝料基準

交通事故の損害賠償は大きく財産的損害精神的損害にわけられます。

財産的損害とは、治療費や休業損害などのように交通事故に遭ったことで失った経済的損害のことをいいます。

精神的損害は交通事故で受けた精神的・肉体的苦痛を損害とみたものをいいます。この精神的損害に対して支払われるのが慰謝料です。

慰謝料は、領収書や給与明細などのように金額を証明するものがありません。したがって、交通事故の慰謝料には以下の3つの算定基準があります。

  • 自賠責保険基準
  • 任意保険基準
  • 弁護士(裁判所)基準

自賠責保険基準

自賠責保険とは自動車損害賠償責任保険の略称です。車(原動機付自転車を含む)を運転するすべての人が法律上加入を義務付けられている強制保険になります。

自賠責保険基準は交通事故でケガをした被害者に対して最低限の補償をするための基準です。したがって、3つの慰謝料基準のうち最も低い金額になります。

任意保険基準

任意保険は車を運転する人が任意で加入する保険です。一般的に任意保険のことを「自動車保険」と呼んでいます。

自賠責保険基準は最低限の補償ですので、ほとんどの場合交通事故の損害を補償する金額としては不十分です。したがって、自賠責保険基準でカバーできない部分を補填するために任意で加入するのが任意保険です。

任意保険基準は自賠責保険基準をカバーするものですので自賠責保険基準より高額な基準ですが、弁護士(裁判所)基準より低額といわれています。

ただし任意保険基準は非公開のため具体的な金額は不明です。保険会社や事故状況によっては自賠責基準と同等の金額を提示してくる場合もあるため、注意が必要です。

弁護士(裁判所)基準

弁護士(裁判所)基準は弁護士が交通事故の損害賠償請求で使用する基準です。

弁護士基準は交通事故の過去の判例を基準にしていることから裁判所基準とも呼ばれています。

具体的には、日弁連交通事故相談センター東京支部発行の「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(通称「赤い本」)または日弁連交通事故センター本部発行の「交通事故損害額算定基準」(通称「青本))に掲載されているものを基準とします。

このように弁護士(裁判所)基準には妥当性があるため、3つの基準のうち最も高額な基準になります。

時効に注意

交通事故の示談交渉で被害者が損をしないための4つめのポイントは時効です。

交通事故の損害賠償請求権には時効があります。

交通事故の損害賠償請求権の時効は、ひき逃げや加害者が不明などの特別な理由を除き、交通事故が発生してから3年以内と定められています。加害者が不明の場合は20年、あとから加害者が判明した場合は加害者が判明した日から3年となります。

時効の開始するタイミングは事故の種類によって以下のように異なります。

  • 物損、傷害:交通事故発生日の翌日から
  • 後遺障害:症状固定日の翌日から
  • 死亡:被害者死亡日の翌日から

交通事故は示談交渉で解決することが多く、交渉期間も半年以内で済むことがほとんどです。しかし、示談がなかなかまとまらず長引いた場合は時効のことを考慮する必要があります。

交通事故の損害賠償請求権の時効については下記記事も参考にしてください。

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示談交渉を保険会社が代行できない場合

交通事故の示談交渉で被害者が損をしないための5つめのポイントは保険会社が示談できない場合です。

車を運転する人はほとんど自賠責保険だけではなく任意保険にも加入しています。

しかし追突事故や飲酒運転など加害者側に100%の過失がある事故の場合、被害者側の保険会社が示談交渉を代行することは法律上できません。この場合被害者が直接加害者側の保険会社と示談交渉をおこなうことになります。

弁護士法第72条では「弁護士以外の者」が「報酬を得る目的」で「他人の法律事務をおこなう」ことを禁止しています。

弁護士法では、保険会社による被害者の示談交渉代行を禁止することになります。

しかし被害者にも過失がある場合、契約者(被害者)が支払うべき損害賠償金を保険金として支払う義務が保険会社にあります。そのため被害者に過失がある場合に限り、保険会社も示談交渉代行が可能となりました。

つまり加害者側の過失が100%の場合、被害者には損害賠償金の支払いが発生しないため、被害者側の保険会社が示談交渉を代行することができないのです。

また被害者が交通事故で負傷している場合、ケガの治療を余儀なくされた状態で加害者側の保険会社と示談交渉をおこなうことになるため、精神的にも肉体的にも大きな負担になります。

さらに被害者には専門知識が乏しいため、保険会社から提示された損害賠償金額が妥当かどうかを判断できず、適切な損害賠償金額が支払われない可能性もあります。

このような場合、弁護士に示談交渉を依頼すれば被害者の精神的・肉体的負担を軽減することができます。弁護士が示談交渉をすれば弁護士(裁判所)基準で慰謝料を請求するため損害賠償金が増額する可能性も高くなります

弁護士費用特約

もし任意保険に弁護士費用特約を付けている場合は弁護士に依頼することをお勧めします。

追突事故のように被害者の過失割合がゼロの交通事故の場合、保険会社は法律上示談交渉をおこなうことができません。

このとき、弁護士費用特約に加入していれば弁護士費用を上限300万円まで保険会社が負担してくれます。交通事故裁判や死亡事故などの特別な場合でない限り、弁護士費用が300万円を超えることはほとんどありません。

なお、弁護士費用特約については保険会社によって上限金額や適用条件が異なる場合がありますので必ず保険会社に確認しましょう。

まとめ

以上、交通事故の示談交渉で被害者が損をしないために注意すべきポイントについて説明しました。交通事故の示談交渉では対応を間違えると被害者が損をしてしまいます。本記事を参考に慎重に対応しましょう。

また任意保険に加入している場合はあらかじめ弁護士費用特約を付けておき、困ったときは弁護士に依頼することが大切です。

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