示談書ってどう書けばいいの?

交通事故に遭うと加害者側と被害者側で示談交渉をおこないます。示談交渉後、示談内容に当事者双方が合意すれば示談書を作成して示談が成立します。では示談書はどのように作成すればいいのでしょうか。ここでは示談書作成のポイントなどについて説明します。
- 目次
示談書は誰がつくるもの?
交通事故が起きた際、示談交渉をおこなって、加害者と被害者双方が合意すれば示談が成立することになります。
このとき、口約束だけでは後々トラブルになりかねませんので、示談書を作成することになります。
示談交渉は保険会社の担当者間でおこなうのが一般的ですので、その場合には保険会社が準備した示談書に記入します。
しかし、示談書は形式が決まっているわけではありませんので、専門家に作成を依頼しなければならないということはなく自分でも作成できます。
示談書作成に必要な項目は?
示談書を作成するために必要な項目は下記となります。
示談書作成例
示談書の作成例は以下のようになります。ご自身で示談交渉をされる場合などに参考にしてください。
示 談 書
●●●●(以下「甲」と呼ぶ)と●●●●(以下「乙」と呼ぶ)は、下記交通事故に関する損害賠償について、協議した結果、以下のとおり示談が成立した。
記
【交通事故の表示】
事故発生日時
事故発生場所
事故内容
被害者住所
被害者氏名
被害者車両登録番号
被害者損害額
被害者過失割合
加害者住所
加害者氏名
加害者車両登録番号
加害者損害額
加害者過失割合
乙は、甲に対して、前記事故に対する損害賠償金として、金○○万円を支払うことを認め、△△(日時)までに甲の指定する下記口座に銀行振り込みにて支払うものとする。
記
【銀行支店】
【口座番号】
【口座名義】
本件に関し、本示談書に定めるもの以外に、甲乙間には何らの債権債務がないことを相互に確認する。
以上のとおりの本件の損害賠償に関する示談成立の証として、本示談書を2通作成し、甲及び乙は、各1通ずつ保有する。
平成 年 月 日
甲
(住所)
(氏名) 印
乙
(住所)
(氏名) 印
示談書作成のポイント
示談書作成の際は状況に応じて過失割合や諸費用などをしっかりと盛り込みましょう。書面でしっかりと残すことが後々のトラブルを防ぐ意味でも大切になります。
さらに重要なポイントが示談書の内容です。書かれている金額が妥当なものか、示談書にすべて書かれてあるかなどが大切です。
念のため、後遺障害が発生する可能性がある場合は「本示談成立後、本件事故が原因となって、将来被害者に後遺障害が発生した際は、当事者間で別途協議する」という旨の内容を明記しておきましょう。
また、もし交通事故の当事者が未成年であるような場合は示談に親権者の同意が必要になります。したがって、当事者の名前を記入する際には親権者の名前も連記しましょう。
加害者側の注意点
通常、交通事故が発生した際に加害者側でサインが必要なのは加害車両の運転者です。
ほとんどの場合自動車の所有者と運転者は同じことが多いので特に問題とはならないのですが、運転していた車が社有車だったというような場合は自動車の所有者と運転者が異なります。
このような場合、自動車の所有者と運転者の両方のサインが必要になります。
被害者側の注意点
交通事故が障害事故であった場合は被害者本人のサインだけで十分です。しかし、死亡事故であった場合は相続人のサインが必要になることに注意が必要です。
また、加害者のなかには示談書に書かれた内容に従って示談金を支払ってくれない場合があります。
さらに、時間の経過とともに加害者の被害者に対する謝罪感情が薄れていく場合もあります。
このような場合に備えて、示談書のなかに過怠約款として「示談金を期日どおりに支払わない場合は、違約金として○○円を支払わなければならない」などと盛り込んでおくことも大切です。
保険金からの支払い額が少なく、加害者が自己負担をするような場合にも、しっかりと残額を被害者に支払うことを示談書に明記しておきましょう。
示談書の内容が変更できるときって?
示談書は一度サインしてしまうとやり直すことは困難です。しかし、下記のような場合には示談書の内容を変更することができる可能性があります。
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公正証書とは
交通事故を起こした際、加害者と被害者との間で示談交渉が成立すると、示談書を作成します。
しかし、この示談書は私文書に該当し、制力がないため実際に加害者が賠償金を支払ってくれるかどうかわかりません。
もし、加害者から賠償金を支払ってもらえないような場合には、示談書を証拠として裁判を起こし、判決により加害者の財産を差し押さえることになります。
これ以外の方法として示談書自体に強制力を持たせる方法があります。そのためには示談の内容を公正証書にしておきましょう。
こうすることで相手が示談書の内容に違反したときに、裁判を起こすことなく示談内容を強制執行することができます。
公正証書化することのメリットは
示談書を公正証書にすることで、裁判をおこなうことなく賠償金の支払いといった示談内容を強制執行できます。
また、公正証書は法律の専門家が内容を確認して作成しますので内容に誤りがあることが少ないため安心です。
さらに示談書は個人で作成可能なものですが、公正証書であれば確実性が増します。
公正証書化することのデメリットは
公正証書化することのデメリットは費用と手続きです。交通事故の場合は加害者と被害者が揃って公証役場にいく必要があるため、当事者双方の関係性が悪いと話を進めるのも困難と思われます。
しかし、加害者側の経済状況の変化など賠償金の支払いが続けられなくなった場合などに備えるためにも、公正証書化するメリットは大きいと思われます。
まとめ
交通事故が起きた際、示談交渉をおこない、加害者と被害者双方が合意すれば示談が成立することになります。このとき、後々のトラブルを避けるために示談書を作成することになります。
示談書は書式が決まっているわけではないため自分で作成することもできます。 しかし、この示談書は法的な強制力がないため、実際に加害者が賠償金を支払ってくれるかどうかわかりません。
このような事態を避けるため、示談書を公正証書にすることで法的な強制力を持たせることができます。
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