これを読めば安心!保険会社に騙されない過失割合の決定方法

過失割合
これを読めば安心!保険会社に騙されない過失割合の決定方法

交通事故の処理をめぐって、「過失割合」という言葉をよく耳にします。「こちらにも非があれば、その分賠償金が安くなる制度だ」というように、大まかな印象をお持ちの方もいらっしゃるかと思います。しかし、この過失割合という仕組みを具体的に認識されている方は意外と少ないのではないでしょうか。どのようにして具体的な過失割合を決めるのか、保険会社から提示される過失割合は信用してもよいのかどうかなど、今回は、この過失割合について詳しくお話いたします。

目次
  1. 過失割合とは何か
  2. 実際の過失割合の決め方
  3. 保険会社からの提示
  4. 不満がある場合どうやって計算するか、対応方法など

過失割合とは何か

まずは、過失割合に関する一般論を具体的なケースを交えて説明します。
交通事故の過失割合とは、発生した交通事故に対する責任(不注意、過失)の割合のことです。

まずは、過失割合について具体的なイメージを持ってもらうために、簡単なケースを見てみましょう。

単純な追突事故

加害者の運転する自動車が、被害者の運転する自動車に背後から追突したケースで、被害者に100万円の損害が生じた場合を考えてみましょう。

このケースでは、被害者には全く落ち度がありませんので過失割合は0%です。他方、加害者は過失割合が100%となります。したがって、加害者と被害者の過失割合は100:0ですので、加害者は、被害者に対して100万円を支払わなければなりません。

双方が赤信号の場合の歩行者と自動車の接触事故

次に、横断歩道を横断中の歩行者と自動車が接触したケースで、歩行者に100万円、自動車の運転者に50万円の損害が生じた場合を考えてみましょう(双方の信号は赤であった場合を想定します)。

このケースでは、お互いに赤信号で横断又は走行していたという過失があります。もっとも、自動車の方が人を死傷させる危険性が高いので、要求される注意レベルは自動車の方が高いです。そのため、基本的な過失割合は、自動車の運転者が80%、歩行者が20%です。したがって、自動車の運転者は、歩行者に対し、80万円を支払わなければなりません。他方、歩行者は、自動車の運転者に対して金10万円を支払わなければなりません。

このように、過失割合の基本的なイメージは、「具体的なケースを検討し、過失割合を決めたうえで発生した損害に乗じて支払う」というイメージです。

実際の過失割合の決め方

では、過失割合はどのようにして決定するのでしょうか。

先ほどのケース2でも、何の理由もなく「自動車の運転者が80%、歩行者が20%」と申し上げましたが、実はこれには基準となる表があるのです。それは、「赤本」、「判タ」と呼ばれる書籍に記載されているものです。

「赤本」というのは、日弁連交通事故相談センター東京支部が刊行している「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」というものを指します。

また、「判タ」というのは、東京地裁民事交通訴訟研究会が刊行している「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」というものを指します。この本は、「判例タイムズ」という雑誌の別冊として作られているため、通称「判タ(ハンタ)」と呼ばれております。

これらの本では、よくある交通事故態様ごとに基本的な過失割合を定め、そのうえで具体的な修正要素(夜間であったか、重過失があるか、被害者が児童だったかなど)を考慮して、過失割合を決定する仕組みになっております。

訴訟ではもちろんのこと、保険会社との交渉においても、過失割合を決定する際にこれらの書籍の記載を基準に過失割合を決定します。

なお、赤本と判タには、異なる状況のものが掲載されていたり、同じ状況のものでも異なる取り扱いがなされていることがあります。

ここで、赤本や判タに掲載されている事例をいくつかご紹介しましょう。

ケース1 同一道路を対抗方向から侵入した場合(赤本p.296図[39])

A車は信号のある交差点を南から北に直進し、B車は同じ交差点を北から右折をしようとしたときに、A車とB車が衝突したケースです(双方の信号は青とします)。

このときの基本的な過失割合は、
A:B=20:80
です。

ただし、Aの過失割合の修正要素は、
・Aに15km以上の速度違反がある場合にはAの過失割合は+10
・Aに30km以上の速度違反がある場合にはAの過失割合は+20
・Bがすでに右折をしていた場合にはAの過失割合は+10
となります(なお、Aの過失割合が増えた分だけ、Bの過失割合が減少します)。

他方で、Bの過失割合の修正要素は、
・Bが徐行していなかった場合にはBの過失割合は+10
・右折禁止であった場合にはBの過失割合は+10
・Bが直近で右折した場合にはBの過失割合は+10
・Bが早回り右折をした場合にはBの過失割合は+5
・Bが大回り右折をした場合にはBの過失割合は+5
・Bの合図がなかった場合にはBの過失割合は+10
・B車が大型車である場合にはBの過失割合は+5
となります(なお、Bの過失割合が増えた分だけAの過失割合が減少します)。

ケース2 右折車が広路から直進車進入してきた狭路に入る場合(判タp.245図[118])

A車は、比較的狭い道路から信号のない交差点を西から東へ直進し、B車は比較的広い道路を交差点を北から右折したところで、両車が衝突したケースです。

このときの基本的な過失割合は、
A:B=60:40
です。

ただし、Aの過失割合の修正要素は、
・Aが減速していなかった場合にはAの過失割合は+10
・Aに15km以上の速度違反がある場合にはAの過失割合は+10
・Aに30km以上の速度違反がある場合にはAの過失割合は+20
となります(なお、Aの過失割合が増加した分だけBの過失割合が減少します)。

他方で、Bの過失割合の修正要素は、
・Bが徐行をしていなかった場合にはAの過失割合は-10
・右折禁止違反がある場合にはAの過失割合は-20
・早回り右折をした場合にはAの過失割合は-10
となります(なお、Bの過失割合が減少した分だけ、Aの過失割合が増加します)。

このように、定型的な交通事故における過失割合は赤本や判タの表に従って算出されるのです。

保険会社からの提示

では、保険会社から過失割合の提示がある場合も赤本や判タに則ってなされるのでしょうか。

結論から申しますと、ある程度は赤本や判タに則って提示されることが多いです。ここで、「ある程度」と申し上げたのは、さまざまな要素が加わってくるからです。

代表的な要素には2つあります。

1つは、大まかな交通事故態様の違いです。

交通事故の実際に起こった交通事故が、先ほどの赤本や判タの定型的なパターンと全く同じなのであれば、過失割合はほぼ自動的に決まります。ですが、実際に起こる交通事故は、このような定型的なパターンとは異なる場合もよくあります。また、事故態様そのものに争いがある場合もあります。

これらの場合には、赤本又は判タのどのパターンを参照して考えるかという段階から争いになることが多くあります。

実際にあったケースをご紹介しましょう。

このケースは、三車線から交差点を超えて二車線になる交差点の事故です。信号機の手前でA車とB車が並んで停車しており、信号が青になった後、交差点内でA車とB車が衝突し、紛争になりました。

しかし、A車側は、第2通行帯を走行しており、直進すれば交差点を超えた道路にそのまま進んでいけることを理由に、B車が勝手にぶつかってきたと主張します。他方、B車は、B車のいた進路から直進すれば、交差点を超えた道路にそのまま進んでいけることを理由に、A車がぶつかってきたのだと主張します。

このように、実際の道路状況は、どちらともとれる微妙なケースでした。この場合には、そもそも事実関係から争いになるので、どの図を使用すべきか、という点から争いにならざるを得ません。

もう1つの修正要素は、細かな交通事故態様の違いです。

先ほどのケースの紹介でも申し上げたように、過失割合は、基本的な過失割合をベースに個々の事情を加味して決定されます。それゆえに、実際に起こった交通事故において、個々の修正要素が働いて具体的な過失割合が決定されるのです。

例えば、先に挙げた(ケース1)同一道路を対抗方向から侵入した場合(赤本p.296図[39])を見てみましょう。このケースにおいては、「Bの合図がなかった場合にはBの過失割合は+10」の修正要素があります。

ただし、Bの合図があったかどうかを裏付ける証拠は少ないため、「合図をした」、「合図はなかった」などと水掛け論になることもあります。

不満がある場合どうやって計算するか、対応方法など

以上をまとめると、保険会社からの過失割合に関する提案は、赤本や判タなどの一定の基準に則って提案はしますが、事実関係に争いがあったり、個々の修正要素によって保険会社に有利なように主張する場合もあります。そのため、被害者側から見ると不利な過失割合を提案されることも少なくありません

では、この保険会社からの提案に不満がある場合にはどのように対応するのがよいでしょうか。

まずは、保険会社の提示する過失割合に不満があることを主張することになります。

具体的には、過失割合算出の基礎となる図の選択自体がおかしいこと、基礎となる図の選択は正しいが、修正要素の適用がおかしいこと、そもそも事実認定に誤りがあることなどが挙げられます。

しかし、その主張には事実関係の争いを収束させる程度の法的知識や自動車の運転を解析するのに必要な物理学など、実に多岐にわたる知識が必要です。

このような知識は、保険会社も一定程度有しており、その保険会社が一応の合理性をもって過失割合を算定しているため、ご自身だけで過失割合に関する不満を充分に主張し、保険会社に認めてもらうことは、なかなか難しいです。

そこで、過失割合に不満がある場合には弁護士に頼むことをお勧めいたします。

弁護士がつくと、被害者側の事情を詳しく聴取し、被害者にとって有利な点を把握したうえで、被害者側に有利な交渉をなしうる場合が多いです。そのため、自分でやる場合よりも相対的に過失割合が低くなるケースが多いと考えられるからです。

また、一旦過失割合について合意がなされてしまうと後から覆すことができません。先に過失割合の合意をして、治療費や慰謝料を請求する段階になって「なぜこの過失割合で合意したのだろうか」と思うケースもしばしばあります。

少しでも保険会社の対応に不満・不安がある方は、すぐに弁護士に相談するのが良いでしょう。特に、ご自身の加入する任意保険に弁護士費用特約を付けている場合には相談料なども無料になりますので、ご検討されてみてはいかがでしょうか。

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