バイク事故(自動二輪車)と自動車事故の違いとは?過失割合や対処法を解説

交通事故の損害賠償金額を決めるためには、被害状況や被害者のケガの程度といったさまざまな要素が関係します。なかでも「当事者が何に乗っていたか」というのは損害賠償金額を決めるうえで非常に重要です。
本記事では、バイク事故の特徴や過失割合の決め方について説明し、バイク事故に遭ったときの対処法について紹介します。
- 目次
バイク事故の特徴
バイク事故は、自動車事故とは異なる特徴があります。バイク事故の特徴は、
などが挙げられます。
1-1.バイク事故は大きな事故につながりやすい
バイクの交通事故で最も大きな特徴が大事故につながりやすい点です。
自動車同士の事故であれば、身体が車体に囲われている状況なので、相手の車両が直接身体にあたることはまずありません。また、自動車の運転者はシートベルトの着用が義務となっています。
したがって交通事故が起きたとき、基本的には運転者の身体は運転席に固定されています。さらに自動車にエアバッグがついていれば交通事故の衝撃をエアバッグが吸収してくれます。
自動車と歩行者の交通事故の場合、交通事故が起こるのは当事者双方が交差点に進入したときが最も多くなります。このとき自動車は基本的にスピードを落として走行しています。
ですから、歩行者がいきなり車道に飛び出してきた場合や運転手が酩酊したまま歩行者の列に突っ込むようなケースでない限り、大きな事故に繋がる可能性は低いといえます。
これに対して当事者の一方がバイクの場合、双方のスピードが出た状態での事故が多くなります。
このような状態で運転者の身体が相手の車両に衝突したり、事故の衝撃で道路に叩きつけられるなどした場合、身体に大きなダメージを負うことになります。
そのためバイク事故は大事故につながる可能性が高いのです。
内閣府発表の「第1部 道路交通 第1章 道路交通事故の動向」 においても、自動車の負傷者数412,750人に対して死亡者数が1,338人で0.32%の割合であるのに対して、二輪車は負傷者31,106人に対して死亡者が460人で1.48%という非常に高い割合となっています。
参考:「第1部 道路交通 第1章 道路交通事故の動向」
バイク事故の過失割合とは
ここまでバイク事故の特徴について説明しました。
これらの特徴を踏まえ、バイクと自動車による事故の過失割合をどのように判断するのかを説明します。
過失割合とは
過失割合は、被害者に落ち度(=過失)があった場合、事故による全ての損害金額を算定したうえで、被害者の落ち度分を全損害金額から差し引くというものです(過失相殺)。
しかし、どちらにどれだけ過失があったのかを個別の事故ごとに判断すると、交通事故の審理が進みません。
そのため、「発生した事故のケースに応じてどのような判断をするのか」という基本的な指針が別冊判例タイムズの「民事交通訴訟における過失相殺率等の認定基準」によって確立されています。
これは過去の判例を基にして作成されたものです。 過失割合の判断が必要な理由については、下記の過失割合の記事を参考にしてください。
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よくあるバイク事故の過失割合
自動車とバイクによる交通事故では、原則としてバイク側の過失割合が小さくなります。
一方、バイク事故の過失割合にはさまざまなケースがあります。日本では左側走行がルールになっており、右折をする場合には左側走行の直進者を優先するのがルールです。
ここでは最もバイク事故が多い交差点進入時における「右折の自動車と直進のバイク」ついて、3つのケースを挙げます。
- 双方ともに青信号で侵入している場合:過失割合は「バイク20:自動車80」です。
- 双方ともに黄信号で侵入した場合:過失割合は「バイク30:自動車70」です。
- 双方ともに赤信号で侵入した場合:過失割合は「バイク40:自動車60」です。
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2-3.バイク事故特有の過失割合
バイク事故の過失割合について3つのケースを説明しました。これらをベースに個々の事故状況を加味して考えます。
バイクの運転手にはヘルメットの着用が義務付けられています。着用していない場合には「著しい過失があったもの」と判断され20%の過失割合を負うことになります。
例えば双方の信号が黄色で侵入した場合、ベースの過失割合は「バイク30:自動車70」ですが、運転者がヘルメットの着用をしていない場合には「バイク50:自動車50」という過失割合になります。
バイク事故に遭ったときの対応
バイク事故が起こったとき、被害者や遺族はどのように対応すべきなのでしょうか。基本的に自動車の交通事故で被害を受けた場合とバイク事故の対応に違いはありません。
事故状況の調査
バイク事故が起きたら、まず事故状況を確認します。
確認した結果、負傷者がいれば負傷者を救護し、警察に連絡します。 警察が事故現場に到着すると、現場検証という形で警察が事故の発生状況を記録します。
警察への連絡まで済んだら、保険会社へ連絡しましょう。
3-2.病院で必ず治療を受ける
交通事故の被害に遭った場合は、加入する保険会社に連絡をしてすぐに病院に行きましょう。
後遺症が残る場合は治療の記録が後遺障害認定のベースになります。医師が残したカルテをコピーするなどしっかり治療の記録を残しておきましょう。
また、事故発生直後は、身体に異常があっても興奮しているので痛みを感じないこともあります。
ですので、痛みがなかったとしても必ず病院に行き、治療を受けるようにしましょう。 交通事故に遭ったときの被害者の対応については下記記事に詳しく記載しているので、参照ください。
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バイクの交通事故を相談できる専門家とは
交通事故についてはさまざまな専門家が対応しています。ではどの資格の人がどのような対応をしてくれるのでしょうか?
行政書士
行政書士には後遺障害認定請求や保険会社への内容証明送付、示談書の作成などを依頼することができます。しかし、行政書士が対応できるのは内容証明・示談書作成の代理など書類作成となります。
依頼者の代理で交渉することはできないので、示談交渉や裁判などを依頼したい場合は、行政書士への相談は難しいと言えます。
司法書士
国から認定された司法書士(認定司法書士)であれば、損害賠償請求が140万円未満の事案の場合には、弁護士と同様に代理人として加害者側と示談交渉をすることができます。
しかし、交通事故の場合は140万円以上の損害賠償金額になることが多くなります。このような高額な損害賠償金額の事故の場合、司法書士は対応することができません。
4-3.交通事故に強い弁護士に相談を
弁護士は行政書士や司法書士のような制約がなく、交通事故の解決に必要な書類の作成から後遺障害認定の代理請求、示談交渉までを依頼することができます。
そのため、交通事故に関する相談は弁護士に依頼をすることをお勧めします。 ですが、弁護士にも得意分野・不得意分野があります。
交通事故は、法律や医療知識、示談交渉など多くの知識が必要になります。バイク事故の被害者は交通事故に強い実績が豊富な弁護士に依頼するようにしましょう。
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まとめ
この記事では、バイクによる交通事故の特徴や対処法について説明しました。バイク事故の場合、自動車事故と比較してさまざまな要素を考える必要があります。
バイク事故に遭ったら交通事故に強い弁護士に依頼することをお勧めします。
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