最後尾の車両に100%の責任?玉突き事故の過失割合と損害賠償金の相場。

過失割合
最後尾の車両に100%の責任?玉突き事故の過失割合と損害賠償金の相場。

ゴールデンウィークやお盆、年末年始などで道路が渋滞すると、玉突き事故が発生することがあります。

一般的な交通事故と異なり、玉突き事故の場合は3名以上の当事者が関与するため、事故の責任を誰がどの程度負うのかがわかりにくいという特徴があります。

そこで今回は、玉突き事故の過失割合や過失割合に納得できない場合の対処法などについて解説します。

目次
  1. 玉突き事故とは
  2. 玉突き事故の責任は誰にある?
    1. 追突事故が基礎になる
    2. 玉突き事故の一般的な過失割合
    3. 過失割合が修正される場合
    4. 玉突き事故の過失割合の基準の決め手は?
  3. 玉突き事故の損害賠償金の相場は?
    1. 損害賠償の項目
    2. 損害賠償の相場はある?
    3. 損害賠償の具体例
  4. 玉突き事故の過失割合に納得がいかない場合はどうすればいい?
    1. 適正な過失割合を知る
    2. 弁護士に相談する
  5. まとめ

玉突き事故とは

玉突き事故とは、後続車両が前方車両に衝突し、その反動で前方車両がさらにその前方の車両に衝突する交通事故をいいます

この定義から、最低でも3台が関与する事故といえますが、4台以上が連続して衝突する場合もあります。

玉突き事故の責任は誰にある?

追突事故が基礎になる

玉突き事故は、後方の車両が先方の車両に衝突する追突事故から派生するものです。

したがって、追突事故についての責任の所在・過失割合についての考え方が玉突き事故の場合でも基礎になります

玉突き事故の一般的な過失割合

駐停車車両に対する追突事故は、基本的に先行車両0:後行車両100とされています。ですから、玉突き事故の場合も基本的に最後尾の車両の過失割合が100になります

したがって、最初に衝突された車両も、その車両に衝突された車両も、最後尾の車両の運転者などに損害賠償を請求していくことになります。

過失割合が修正される場合

最後尾の車両の過失割合が100というのは、あくまで一般的な場合であって、過失割合が修正されるケースもあります

過失割合が修正される代表的な例として、次のような場合があります。

先行車両が急ブレーキをかけた場合

道路交通法は、危険を防止するためやむを得ない場合を除いて、急停止をしたり、急ブレーキをかけたりすることを禁止しています(道交法24条)。

先行車両がこの規定に違反したことによって後行車両が先行車両に衝突した場合、過失割合は、先行車両30:後行車両70になります

この考え方は、玉突き事故の場合にもあてはめることができます。

したがって、たとえばA車両が停車中に、後方から進行してきたB車両が急ブレーキをかけて停車したところ、さらに後方から進行してきたC車両がB車両に衝突し、その反動でB車両がA車両に衝突した場合、過失割合は、A車両0:B車両30:C車両70となります。

高速道路上の事故

高速道路は、原則的に駐停車が禁止されています(道交法75条の8)。

また、信号や歩行者の横断などがなく、自動車が高速で連続して進行することから、後続車両に対する安全配慮が強く要請されているという特徴があります。

このような一般道路との違いから、高速道路上の事故は過失割合が修正されています

追突事故についていえば、駐停車している車両に後方から進行してきた車両が衝突した場合、過失割合は先行車両40:後行車両60が基本となります。

高速道路では、原則として駐停車が禁止されているので、一般道路と違って駐停車している車両にも過失があるとされるのです。

また、先行車両が急ブレーキをかけたために後行車両が衝突した場合、過失割合は先行車両50:後行車両50が基本となります。後続車両に対する安全配慮の観点から、一般道路と比べて急ブレーキをかけた側の責任が重くなっているのです。

したがって、玉突き事故の場合でも、先行車両が駐停車していたときや急ブレーキをかけたときは、先行車両にも過失が認められたり一般道路の事故よりも大きな過失割合が認められたりすることになります。

ただし、停車がやむを得ない状況で、法律に従って停車した場合には、さらに過失割合が修正されると考えられます。

たとえば、渋滞の最後尾でハザードランプを付けて停車したところ、後方から進行してきた車両が追突してきたような場合には、先行車両に過失があるとは考えられません。

このような場合は、後行車両の過失割合が100になるでしょう。

玉突き事故の過失割合の基準の決め手は?

このようにみると、玉突き事故は基本的には最初に衝突した最後尾の車両の責任となりますが、先行車両が法律に則らない方法で停車や急ブレーキをしたなどの情状があるときは先行車両にも過失が認められることになるといえます

玉突き事故の損害賠償金の相場は?

玉突き事故の損害賠償金の相場は?

損害賠償の項目

玉突き事故にあった場合にもらえる可能性のある損害賠償の項目は、次のようなものです。

物損

  • 車両の修理費用
  • 代車費用
  • 登録手続関係費

人損

  • 治療関係(治療費、入院雑費、付添費、通院交通費、装具代など)
  • 休業損害
  • 慰謝料(入通院慰謝料、後遺障害慰謝料、死亡慰謝料 )
  • 逸失利益

損害賠償の相場はある?

ひとくちに玉突き事故と言っても、被害者のこうむる損害はケースバイケースですから、一概に相場はいくらということはできません。

また、修理費用、治療費のように実際に支出したことによる損害や、休業損害のように実際に収入が減ったことによる損害は、事故の態様によって変わるものではありません。

ですから、まず他の事故態様と同じように、被害者の被った損害を項目ごとに計算して合算します。

そのうえで、被害者にも「玉突き事故の責任は誰にある?」であげたような過失がある場合には、過失相殺をして請求できる損害額を算定することになります。

損害賠償の具体例

相場はないといっても、どの程度の損害賠償をもらえるか知りたいという方もいるでしょう。

修理費用や治療費、休業損害などは実際の額が基礎とされ、ケースバイケースですのが、 慰謝料についてはある程度の目安があります

玉突き事故では、追突事故と同様、いわゆるむちうちを発症することが多いので、後遺障害の有無や等級で分けてそれぞれの場合にもらえる慰謝料を紹介します。

後遺障害がない場合

慰謝料については、入通院期間や実際に治療を受けた日数(実治療日数)によって変わります

たとえば、通院期間(治療期間)3ヶ月(90日)、実治療日数40日の場合、入通院慰謝料は次のようになります。

自賠責基準   336,000円
任意保険基準  378,000円
弁護士基準   730,000円
(ただし、むちうちで他覚初見がない場合は530,000円)

慰謝料の計算には3つの基準があり、どの基準を採用するかで慰謝料の額が大きく異なります。慰謝料の基準については、下記記事をご覧ください。

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後遺障害14級9号に該当する場合

むちうちの場合、後遺障害等級14級9号(局部に神経症状を残すもの)に該当する場合があります。この場合には、入通院慰謝料のほか、後遺障害に対する慰謝料も認められます。後遺障害についての慰謝料は次のとおりです。

自賠責基準  320,000円
任意保険基準 400,000円
弁護士基準 1,100,000円

後遺障害12級13号に該当する場合

後遺障害14級9号よりも重い後遺障害等級12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)が認定されることもあります。この場合の後遺障害の慰謝料は次のとおりです。

自賠責基準     930,000円
任意保険基準 1,000,000円
弁護士基準  2,900,000円

玉突き事故の過失割合に納得がいかない場合はどうすればいい?

適正な過失割合を知る

過失割合に納得できない場合、まず適正な過失割合を知る必要があります。

過失割合については、判例タイムズ別冊38号民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準[全訂5版]という書籍に掲載されている基準が実務上広く利用されています。

別冊判例タイムズ38号では、事故の類型に応じて、基本となる過失割合と、過失割合を修正する要素について、詳細に定められています。

「玉突き事故の責任は誰にある?」で紹介した割合も、基本的に別冊判例タイムズ38号の割合を引用しています。

別冊判例タイムズ38号は大型書店などで販売されており、簡単に内容を確認・入手することができます。

そこで、自分のまきこまれた事故がどの類型にあたるのか、自分の過失を軽くする・相手方の過失を重くする修正要素がないかといったことを確認しましょう

そして、具体的な根拠をもって事故の類型や修正要素をあげて、自分が適正と考える過失割合を主張すればいいでしょう。

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弁護士に相談する

ただし、別冊判例タイムズ38号が紹介するのは典型的な事故の類型ですから、自分がまきこまれた事故がどの類型にもあたらないという可能性は否定できません。

また、修正要素は、「その他の著しい過失」「その他の重過失」のように抽象的なものもあり、修正要素にあてはまるかどうかの判断が難しいこともあるでしょう。

さらに、修正要素にあたると考えられる場合でも、それをどうやって証明するか、どのような証拠があり、どうやってその証拠を入手するかがわからないということもあるでしょう。

このように、自分では十分に対応ができないと感じた場合は、弁護士に相談するのが最善の方法といえます。

弁護士に相談すれば、適正な過失割合やそれを証明するための証拠収集の方法など適切なアドバイスをもらえるでしょう。

また、相談だけで終わらず弁護士に正式に依頼をすれば、保険会社との交渉の一切を任せることができます。

まとめ

玉突き事故について解説しました。

玉突き事故は原則として最後尾の車の過失割合が100になりますが、前方の車に過失があることが明らかな場合は最後尾の車の過失割合が修正されます。

ただし、過失割合の修正をするためには、前方の車に過失があったという事実を立証する必要があります。

過失の立証には目撃者の証言など証拠が重要です。あらかじめドライブレコーダーを付けておくのもいいでしょう

玉突き事故には過失割合をはじめとして複雑な問題があります。玉突き事故の当事者になってしまった場合は、交通事故に詳しい弁護士を探すといいでしょう。

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