過失は誰にある?高速道路の落下物で交通事故にあったときの対処法。

過失割合
過失は誰にある?高速道路の落下物で交通事故にあったときの対処法。

交通事故は、自動車同士の衝突などの衝突事故だけに限りません。道路に物を落下させることで、事故が起きることもあります。特に高速道路では、スピードが出ている分、道路に何かあったらヒヤリとします。

もし、高速道路の落下物が原因で事故が起こった場合、その損害賠償請求や過失割合はどうなるのでしょうか?

目次
  1. 高速道路の落下物について
    1. どのくらいあるのか?
    2. 落下物で多いものは?
    3. 落下物を見つけたら?
  2. 落下物による交通事故
    1. 自動車を運転する者の義務と罰則
    2. 過失割合
    3. 落とした相手が見つからなかったら?
    4. 裁判例
  3. まとめ

高速道路の落下物について

どのくらいあるのか?

国土交通省の集計によると、高速道路や主な国道で2016年度に約76万件の落下物が確認されました。そのうち、高速道路の落下物は約31万4千件でした。

落下物で多いものは?

落下物の種類は、国道、高速道路ともにシート類が最多です。 また、国土交通省関東地方整備局のホームページによると、道路の落下物で回収することが多いのは下記になります。

  • ダンボール
  • 雑誌
  • 毛布布団
  • 鉄くず・鉄板・チェーン・波板トタンなど
  • 木材など
  • 自動車部品 など

参考:国土交通省関東地方整備局「 落下物防止にご協力ください!

落下物を見つけたら?

落下物は、交通管理隊がパトロールや通報によって発見し回収します。

落下物を見つけた場合には最寄のサービスエリアの非常電話から通報するか道路緊急ダイヤル(#9910)に通報しましょう

落下物による交通事故

自動車を運転する者の義務と罰則

自動車を運転する者には、道路交通法上、下記2つの義務があります。また、違反した場合には罰則もあります。

積載物転落等防止義務 第71条 

車両等の運転者は、次に掲げる事項を守らなければならない。

4 乗降口のドアを閉じ、貨物の積載を確実に行う等当該車両等に乗車している者の転落又は積載している物の転落若しくは飛散を防ぐため必要な措置を講ずること。

罰則:5万円以下の罰金(第120条1項9号)

貨物の積載状態を点検する義務(道路交通法75条の10) 第75条の10 

自動車の運転者は、高速自動車国道等において自動車を運転しようとするときは、あらかじめ、燃料、冷却水若しくは原動機のオイルの量又は貨物の積載の状態を点検し、必要がある場合においては、高速自動車国道等において燃料、冷却水若しくは原動機のオイルの量の不足のため当該自動車を運転することができなくなること又は積載している物を転落させ、若しくは飛散させることを防止するための措置を講じなければならない。

罰則:第75条の10に違反して、本線車道等において当該自動車を運転することができなくなつた者又は当該自動車に積載している物を当該高速自動車国道等に転落させ、若しくは飛散させた者 3年以下の懲役又は5万円以下の罰金(第119条1項12号の3)

※ 過失による場合は、10万円以下の罰金(第119条2項)

過失割合

上記のような義務に反し道路に荷物を落下させて交通事故を起こした場合、落下物の存在と交通事故の発生に相当因果関係が存在する限り、落下させた者は損害賠償責任を負います。

もっとも、被害者にも回避可能性がある場合が多く、損害の公平な分担の見地から過失割合が定められています。

高速道路の落下物による事故の過失割合について、判例タイムス38号の【331】では、後続車(被害者):先行車(落下させた者)の基本の過失割合を40:60と定めています。

上記の第71条4号の積載物転落等防止義務は一般道路にも適用される義務です。

一方で、第75条の10の積載している物を転落させ、若しくは飛散させることを防止するための措置を講じる義務は高速道路を走行する際に適用される義務です。

高速道路で物を落下させる行為は、この特別に定められた義務に反していますから、一般道に比べてさらに責任が重いものです。

後続車は、時速80kmを超える高速度で運転しながら落下物の危険性を即座に判断し、適切な回避行動を取ることは難しい場合が多いです。

もっとも、高速道路では、高速度での走行が許容されていることに伴い、十分な車間距離を取ることが求められています。

そこで、適切な車間距離を取って前方を注視して走行していれば、落下物があったとしても、回避可能性は高くなります。

落下物により交通事故が起こったということは、後続車にも軽度の前方不注視があると想定されて、上記のような過失割合になっています

なお、落下物の種類・落下の態様などによって、その責任も変わります。したがって修正要素も下記のように定められています。

  • 視認不良の場合 後続車:先行車 30:70
  • 追越車線上の場合 後続車:先行車 30:70
  • 後続車が自動二輪車の場合 後続車:先行車 30:70
    • 自動二輪車の方が四輪車よりも落下物の回避が困難であるため。
  • 先行者の著しい過失 後続車:先行車 30:70~20:80
    • 積載方法が著しく不適切だった場合、油など危険で発見困難なものを流出させた場合など。
  • 後続車の速度違反 後続車:先行車 50:50~60:40
  • 後続車の著しい過失・重過失 後続車:先行車 50:50~60:40
    • 前方不注視の程度が著しい場合、居眠り運転、酒酔い運転の場合など。
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落とした相手が見つからなかったら?

ひき逃げや当て逃げと同じく、相手が分からなければ、損害賠償請求をすることができません。

また、相手が分からないというケースは、物が落下してから時間が経っているという場合も多いでしょう。そのような場合、他の自動車は落下物を回避していたということです。

したがって、物を落下させた行為と事故との間の相当因果関係が認められない可能性も高くなります。

このような場合は自損事故になってしまいますので、自分が加入している保険(人身傷害保険や車両保険など)を利用することになります

裁判例

東京地方裁判所昭和61年12月23日判決

高速道路で、大型貨物自動車(運転者B)から落下した鉄骨の組立に使用する建築法アングルブラケット(約76m×65m×47mの三角形で厚さ約8㎝メートル)8個を避けようとした自動二輪車(被害者A)が、第三通行帯に駐車していた普通貨物自動車(運転者C)に衝突して死亡した事案です。

Bは、貨物の積載を確実に行って走行する義務に違反したと認定されました。一方、下記理由によりAには3割の過失が認められました。

「アングルブラケットの落下によって、これを避けようとする車両が渋滞していたことからすれば、Aは障害物などの存在を予想できたこと、そして現場道路は左側に大きくカーブしていて、自動二輪車の進路の変更が比較的困難な道路条件の場所に差し掛かっていたのであるから、Aは、速度を控えめにして渋滞車両の前方の安全を確認しながら進行するべき注意義務があったのにこれを怠った。

なお、Cが第三通行帯に駐車していたのは、別の車両が弾き飛ばしたアングルブラケットによってタイヤがパンクしてしまったからです。

しかし、路肩に停車することができたのにそれをしなかったということで、CはBと連帯して損害賠償責任を負うことになりました。

大阪地方裁判所平成27年3月26日判決

加害車両が国道のトンネルの内壁に衝突し、パネルを落下させました。

そして落下したパネルが加害車両もしくは他の車両によって弾き飛ばされ、対向車線を走っていた被害車両に衝突したという事案です。

この事案では、過失割合が加害車両:被害車両=8:2とされました。これは、事故現場が、高速道路でも自動車専用道路でもない場所なので、

被害車両も前方を注視していれば回避可能性があった

と判断されたためです。

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まとめ

自動車を運転する人は、物を落下させたり飛散させたりしないよう十分に注意しましょう。もちろん、他人が車から荷物を落下させるのを防ぐことはできません。

しかし、車間距離や前方注視義務をきちんと守ることで事故を防ぐことができるでしょう。そして、落下物を見つけた場合はすみやかに通報して事故を減らしましょう

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