法テラスって?費用を抑えて交通事故に強い弁護士に依頼する方法。

基礎知識
法テラスって?費用を抑えて交通事故に強い弁護士に依頼する方法。

交通事故の被害にあったとき、あるいは交通事故を起こしてしまったときは相手方との示談交渉に臨む必要があります。交通事故は、複雑な法律の問題も絡んでくるため、弁護士の出番となることも多くなります。


そのようなときに、よく利用されているのが「法テラス」です。法テラスのおかげで、どんな人でも弁護士に相談するチャンスが与えられるのです。


それでは法テラスとはいったいどんな存在なのか、何を期待できるのか、その点を解説しましょう。法テラスを使わずに弁護士を雇うときとの違いも、ご説明します。

目次
  1. 法テラスとは
  2. 法テラスを通して弁護士を頼んだときの4つのメリット
    1. お金がなくても弁護士に交通事故の相談ができる
    2. 電話やメールで交通事故の相談に応じてもらえる
    3. 弁護士費用自体が安くなる可能性がある
    4. 示談金を増額できる可能性がある
  3. 法テラスを利用するときの条件について
    1. 資力が限られているかどうか
    2. 勝訴の見込み、または紛争解決の見込みがあるかどうか
    3. 民事法律扶助の趣旨に適合するかどうか
  4. 法テラスを通して弁護士を頼んだときの3つのデメリット
    1. 審査に時間がかかる可能性がある
    2. 法テラスを通しての依頼ができない法律事務所がある
    3. 交通事故に強い弁護士にめぐり会えるとは限らない
  5. 法テラスと弁護士への相談のどちらを優先するか
  6. 法テラスを確実に利用しながら、信頼できる弁護士に依頼する方法
    1. 居住地域で交通事故に強い法律事務所を探してみる
    2. 依頼する事務所を決めて、アプローチしてみる
  7. まとめ

法テラスとは

法テラスとは、「日本司法支援センター」の俗称です。

この組織は「民事法律扶助制度」の追求を長年続けてきました。この制度の目的は、「法律の専門家である弁護士の力を借りる資金を持ち合わせていない人を救済すること」です。

このご時世、裁判など弁護士の協力がないと対処できないことがいつ起こるかわかりません。しかし弁護士に依頼をするとなると、当然それなりの費用を用意しなくてはいけません。

そこで法テラスでは、経済的に困窮している人のために弁護士費用の立て替えを行っているのです。交通事故においても、これまで多くの方が法テラスを利用してきました。

弁護士によりさまざまですが、交通事故をした場合の一般的な費用は次の通りです。

  • 相談料:0~5,000円/1時間あたり 
  • 着手金: 0~10万円 
  • 報酬金:増額分の10~20%(成功報酬) 
  • 実費:交通費や切手の代金 など

法テラスを通して弁護士を頼んだときの4つのメリット

法テラスを利用して交通事故の相談をした場合の、主なメリットは次の通りです。

2-1.お金がなくても弁護士に交通事故の相談ができる

法テラスを使えば、弁護士に直接支払いをしなくてかまいません。弁護士への報酬については法テラスが一時的に立て替えてくれます

こちらは、分割して払うことになりますが、毎月5,000円~10,000円程度に抑えられるようになっています。

交通事故の被害者になった場合、示談金を相手から受け取ったあとから償還金の返済を開始することも可能です。

2-2.電話やメールで交通事故の相談に応じてもらえる

交通事故はめったに遭遇する出来事ではありません。示談などの手続きについて、知識がないのは当たり前です。

そこで法テラスでは、示談や損害賠償といった交通事故後に発生する手続き全般について随時質問を受け付けています。電話相談は無料となっています。

なお電話については受付時間に制限がありますが、Eメールであれば24時間いつでも送信できます。

法テラスは国が管轄する組織です。このためすべての都道府県に事務所が設置されています。オペレーターに依頼すれば、居住地域の事務所の紹介を受けられます。

2-3.弁護士費用自体が安くなる可能性がある

弁護士に仕事を依頼すると、報酬額はその弁護士の事務所が用意している基準に沿って決定されます。

しかし法テラスでは独自の基準で、弁護士費用を計算します法テラスの基準は、一般の法律事務所の報酬体系よりも安いという特徴があるのです

生活保護を受けているような極端に収入・資産に限りがある場合は、支払いの開始を延期してくれることもあります。支払い自体が免除されたケースもこれまでに報告されています。

2-4.示談金を増額できる可能性がある

弁護士を通さずに、交通事故の被害者が独力で示談金などの交渉をすることも可能です。しかし素人が示談を行うと上手に交渉ができないことが多いです。

保険会社は、自社の支払う保険金を抑えるために、保険会社独自の基準(任意保険基準)で示談金を計算します。任意保険基準は適正な示談金額より低額になることがほとんどです。

被害者は交渉力がないため、提示された示談金額に対してうまく反論することができません。そのため、被害者が自分で交通事故の交渉をすると、示談金が低額になってしまうのです。

一方、弁護士に交通事故の示談を依頼すると、弁護士は示談金額を弁護士基準で計算します。弁護士基準とは、示談金である損害賠償の計算基準の一つです。

弁護士基準は過去の判例を基に計算されていますので、適正な金額と言われています。素人が交渉したときの2~3倍の金額になることも珍しくありません。

法テラスを通じて弁護士の斡旋を受けると、保険会社の基準ではなく弁護士の基準で交渉してもらえるため、示談金を増額できる可能性があります

法テラスを利用するときの条件について

ここまで法テラスの概要や利用したときのメリットについて説明しました。

ただし、法テラスを利用するには条件があります。 法テラスを利用するには審査に通る必要があるのです。審査に通るためには、以下の3つの条件を満たす必要があります。

3-1.資力が限られているかどうか

法テラスの利用条件には預貯金や不動産といった資産、および月収に関してはっきりとした基準があります。

たとえば単身者の場合は、東京や大阪のような大都市圏であれば手取り月収額202,000円以下であることが条件です。同居家族がいる場合、家族の収入を合算して計算します。

3-2.勝訴の見込み、または紛争解決の見込みがあるかどうか

かつては「勝訴の見込みがあること」という基準が設けられていましたが、現在は「勝訴の見込みがないとは言えないこと」と改められています。

示談のほか、調停や和解の可能性がある場合は「紛争解決の見込みがある」とみなされます。

3-3.民事法律扶助の趣旨に適合するかどうか

「相手に復讐したい」といった動機や、宣伝を目的とした理由からこの制度を利用することは認められていません。権利の濫用になると考えられる訴訟の場合も認められません。

法テラスを通して弁護士を頼んだときの3つのデメリット

法テラスを利用するために満たすべき条件について説明しました。 法テラスは経済的弱者にとって頼れる組織であることに違いありません。

ただし、前述の条件を含め、以下の3つのデメリットがあります。

4-1.審査に時間がかかる可能性がある

法テラスを利用するためには、審査に通る必要があります。

審査が終わるまでに、2週間くらい待たされる可能性があります。混雑している場合や、年末年始のような休暇の時期にぶつかった場合は、1ヶ月近くかかってしまう恐れがあります。

ただし審査が終わっていなくても受任してくれる弁護士はいます。急ぐ場合は、審査待ちの間でも依頼を受任できるかどうか弁護士に確認しましょう。

4-2.法テラスを通しての依頼ができない法律事務所がある

すべての法律事務所が、法テラスと提携しているわけではありません。

そのため依頼したい事務所を見かけても、そこが法テラスと契約していない場合は法テラスを通して依頼するのではなく、別の方法を探すしかありません。

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4-3.交通事故に強い弁護士にめぐり会えるとは限らない

これはかなり大きな注意点でしょう。

弁護士は、人それぞれ専門分野が異なります。交通事故の案件を多数担当してきた弁護士もいれば、その経験がほとんどない弁護士もいます。

法テラスが弁護士を依頼人に紹介するとき、そのような専門性を考慮するわけではありません。したがって、交通事故の経験が豊富でない弁護士にあたってしまうと、期待した結果にならないこともあるのです。

法テラスと弁護士への相談のどちらを優先するか

弁護士費用がないのであれば、法テラスを利用するほうが賢明でしょう。

しかし弁護士費用を準備できないほど経済的に困窮しているわけでなく、示談交渉を有利に運びたいのであれば、交通事故の解決を得意とする弁護士を探すことを優先したほうが、良いでしょう。

自身の財政状況と、事故の解決に対する希望をよくはかりにかけて、どちらを優先するか慎重に決断することが大事です

法テラスに依頼できない、あるいは依頼しないほうがよいと判断できるときは、近所の法律事務所の中から、交通事故の解決に強いところを探すとよいでしょう。

当サイトのように、交通事故の解決を専門とする弁護士を地域ごとに紹介しているポータルサイトもあります。このようなポータルサイトを利用すると便利です。

法テラスを確実に利用しながら、信頼できる弁護士に依頼する方法

法テラスを使えば、交通事故の交渉をしてくれる弁護士の費用を一時的に立て替えてくれます。しかし前述しているように、交通事故に強い弁護士を紹介してくれるとは限りません。

交通事故に詳しい弁護士を確保し、その費用を法テラスに立て替えてもらうことはできないのでしょうか。このようなとき、以下の手順で進めるといいでしょう

6-1.居住地域で交通事故に強い法律事務所を探してみる

これはインターネット上で簡単に検索できます。

法律事務所をピックアップしたら、法テラスと提携しているかどうか調べてみましょう。多くの弁護士は、法テラスと提携していることをサイト内に書いています。

ホームページに書かれていないときは、事務所に電話をかけて法テラスと提携しているかどうか聞きましょう。

6-2.依頼する事務所を決めて、アプローチしてみる

法テラスの利用は、法律事務所を通して行うことも認められています

提携している事務所にまず相談を持ち込んでから、「お金がないので、法テラスを使いたいです」と伝えれば、その弁護士が法テラスに連絡して扶助を受けられるように手筈を整えてくれるでしょう。

弁護士にコンタクトを取るとき、法テラスを利用したいと思っていることをできる限り早めに伝えることがポイントです

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まとめ

✔ 交通事故の相談は、経験豊富な弁護士に頼むことが妥当。費用を払えないなら法テラスが立て替えてくれる。

✔ ただし法テラスには審査がある。また、交通事故に強い弁護士を紹介してくれるとは限らない。

✔ 交通事故に強く法テラスと提携している弁護士を見つければ、費用を立て替えてもらうことも交渉を有利に進めてもらうこともできて、一石二鳥となる。

交通事故の際は、当サイトのような交通事故に精通した各地の弁護士を紹介するポータルサイトを利用するとよいでしょう。必要があれば、法テラスと提携している法律事務所に的を絞ってみましょう。

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