加害者こそ弁護士に!交通事故で人生を台無しにしないために取るべき対応。

基礎知識
弁護士監修
対応を誤ると人生台無し!今知るべき交通事故加害者が取るべき対応。

交通事故はいつどこで起こるかわかりません。自分に事故を起こすつもりはなくても、加害者になってしまう可能性があります。

交通事故を起こしたとき、加害者が取るべき対応を間違えると、損害賠償だけでなく、刑事責任や行政責任も問われる可能性があります。こうなると、その後の人生に大きな影を落としてしまいます。

交通事故では加害者の取るべき対応には注意すべきポイントがあります。被害者に対する謝罪の仕方さえも、やり方を間違えると加害者側に不利になる場合があるのです。

ここでは、交通事故を起こした際に加害者が取るべき対応と、やってはいけない行動について詳しく説明します。

目次
  1. 交通事故の加害者が取るべき初期対応と注意点
    1. 交通事故の加害者が取るべき初期対応
    2. 交通事故の加害者のNG行動と注意すべきこと
  2. 交通事故の加害者が負う3つの責任
    1. 民事責任
    2. 行政責任
    3. 刑事責任
  3. 交通事故の加害者が未成年のときに問われる罪と対処法
  4. 加害者から被害者に誠意を伝えるための謝罪ポイント
  5. 特殊な交通事故で加害者が負うべき責任
    1. 飲酒運転で交通事故を起こしたときの罪と対処法
    2. 盗難車で交通事故を起こしたときの罪と対処法
    3. 他人の車を運転していて交通事故を起こしたときの車の所有者の責任とは
  6. 交通事故の加害者が罪を軽くするためにすべきこと
  7. まとめ

☝この記事の内容を動画でも解説しています

交通事故の加害者が取るべき初期対応と注意点

交通事故の加害者が取るべき初期対応

交通事故を起こしてしまったら、パニックになるのは当然です。しかし、交通事故発生直後の対応を間違えると刑事責任が問われる可能性もあります

それだけ交通事故発生直後の初期対応は重要です。では、交通事故の加害者は、交通事故発生直後にどのような対応をとればいいのでしょうか。

交通事故の加害者が交通事故現場でとるべき初期対応は主に以下の4つになります。

被害状況の確認

交通事故の加害者がまずやらなければならないのは、被害状況の確認です。

交通事故が発生したら、すぐ車から降りて被害状況の確認をしましょう。このとき、路肩など周りの車に影響がない場所で停車することが大切です。

負傷者の救護

被害状況を確認し、ケガをした人がいたら救護しましょう。交通事故の加害者には負傷者の救護義務があります。もし救護をしなかった場合は「救護義務違反」となります。

被害者のいる状況が危険である場合は安全な場所に被害者を移動させて救護活動をおこなうことも大切です。

危険防止措置

交通事故発生現場では、ほかの車が交通事故に気付かずに二次被害を起こすことがあります。

交通事故の加害者には危険防止措置義務があります。これは、交通事故発生時に道路上の危険を防止するために必要な措置をとる義務です。

三角表示板発煙筒を利用して後続の車両に事故があったことを知らせたり、後続車両を誘導するなど必要に応じた措置をとりましょう

警察への通報

交通事故の加害者は、交通事故の事実を警察に連絡する義務があります。警察に伝える内容は主に下記のようなものです。

  • 交通事故の発生場所
  • 発生日時
  • 死傷者の人数と負傷者の状況
  • 実施した緊急措置内容
  • 事故により損壊したものと損壊の度合い
  • 事故車両が積載していた物

交通事故の加害者のNG行動と注意すべきこと

交通事故の発生直後は、加害者は冷静な判断ができないことが多いです。特に交通事故直後は下記の点に注意しましょう。

不当な要求に応じてはいけない

加害者が任意保険に未加入の場合、交通事故の示談交渉は加害者自身がおこないます。なかには、被害者が不当な要求をしてくることもあります。

このとき、加害者だからといって不当な要求すべてに応える必要はありません

金銭を払ってはいけない

交通事故の加害者になると、お見舞金を渡して誠意を示そうと思うこともあると思います。

しかし、このような行為は「安く済まそうとしている」と思われ、被害者感情を逆なですることもあります。

また、このとき支払った金額が保険金から控除されるかどうかもわかりません。誠意を示したいからといって、むやみに現金を支払うと損をする可能性があるのです。

念書を書いてはいけない

交通事故の現場では、被害者が「念書を書いて解決したことにしよう」と言い出すこともあります。しかし、被害者が心変わりし、警察に連絡する可能性もあります。

このような場合、加害者は警察への報告義務に違反したとみなされます。絶対に念書を書いてはいけません。

謝罪の仕方に注意

交通事故が発生した直後は、誰が加害者なのかはっきりしないこともあります。このような場合は安易に謝ってはいけません。

しかし、もらい事故など自分が加害者であることが明確な場合は「ケガはありませんか?」「何か壊れたものはありますか?」と声をかけるなど、被害者に対して誠意ある対応をとりましょう

詳しくはこちらから
交通事故の加害者が取るべき対応とやってはいけないこと
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交通事故の加害者が負う3つの責任

交通事故の加害者は以下の3つの責任が問われます。

民事責任

交通事故の加害者が負う民事責任とは、いわゆる損害賠償責任のことです。交通事故の加害者は被害者に対して損害賠償責任を負います

これは後述の刑事責任のように有罪かどうかを判定するものではなく、被害者が被った損害に対して損害賠償金を支払うことで解決するものです。

交通事故で加害者が支払う損害賠償の内容としては下記のようなものがあります。

  • 物損
  • 治療
  • 通院費
  • 慰謝料
  • 逸失利益
  • 休業損害 など

行政責任

行政責任とは、加害者が交通事故で違反を犯した内容により、公安委員会から免許停止や免許取り消しなどの行政処分を受けることです。

交通違反をすると違反内容に応じて運転免許証に点数が加算されます。 なお、行政責任は、交通事故を起こしたかどうかに関わらず交通違反をしただけであっても責任が問われます。

刑事責任

刑事責任とは刑罰が科されることをいいます。交通事故で人を死傷させてしまった場合、状況によって過失運転致死傷罪や危険運転致死傷罪に問われることがあります。

民事責任は被害者と加害者の問題ですが、刑事責任は警察と加害者の問題になります。

交通事故で加害者に科せられる可能性のある刑事責任は、主に下記のようなものがあります。

  • 負傷者の救護義務等必要措置履行違反(道交法117条2項)
  • 事故報告の義務違反(道交法第119条1項10号)
  • 過失運転致死傷罪(自動車運転死傷行為処罰法5条)
  • 危険運転致死傷罪(自動車運転死傷行為処罰法2条)
  • 速度超過(道交法第118条1項1号)
  • アルコール等影響発覚免脱罪(自動車運転死傷行為処罰法4条)
  • 酒酔い運転・酒気帯び運転(道交法第117条の2など)
  • 無免許運転(道交法第117条4項2号)

いずれも懲役が科せられるほどの重罪です。起訴するかどうかについては、事故事案などを考慮して総合的に決まります。

上記のなかには、交通事故を起こしたかどうかに関わらず刑罰が問われるものも含まれます。

しかし、「負傷者の救護義務等必要措置履行違反」や「事故報告の義務違反」については、交通事故発生直後の対応の仕方によるものです。

交通事故はいつ起こるかわかりません。あらかじめ交通事故を起こしたときの正しい対処法を知っておくことが大切です。

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交通事故の加害者が未成年のときに問われる罪と対処法

道路交通法では18歳から車を運転することができることになっています。したがって、交通事故の加害者が未成年である場合もあります。

損害賠償請求をするには、加害者に「責任能力がある」と認められる必要があります

加害者に責任能力がない場合は、加害者の親など「加害者を監督すべき者」が責任を負うことになります。

また、加害者の責任能力があると認められる場合であっても、以下のような場合は加害者の親が損害賠償請求を受けることもあります。

  • 加害者の親が監督義務違反をしている場合
  • 加害者の親が運行供用者である場合 交通事故の加害者が未成年の場合、責任の所在が複雑になります。未成年が交通事故を起こしたときは弁護士に相談しましょう。
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加害者から被害者に誠意を伝えるための謝罪ポイント

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交通事故を起こしたら、被害者に誠意を伝えるために謝罪をすることが重要です。

交通事故直後はどちらが加害者なのかわからない場合があります。このような場合は安易に謝罪しないほうがいいでしょう。

しかし、明らかに100%こちら側に過失があるとわかっている場合は、被害者に対して誠意を示すためにも謝罪をしましょう。では、いつ謝罪をするのがいいでしょうか。

謝罪するタイミングは早ければ早いほうがいいとされています。できれば交通事故が起きた当日のうちに謝罪しましょう。

被害者に電話や訪問をする際は、夜間や早朝の時間帯を避けるなど、被害者の迷惑にならないよう配慮することも大切です。

なかには、加害者と直接会いたくないという被害者もいます。このような場合、自分の加入する保険会社の担当者にも謝罪に同行してもらうなど協力を仰ぐことも考えておきましょう。

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特殊な交通事故で加害者が負うべき責任

ここまで、交通事故の加害者取るべき対応や注意すべきポイント、交通事故の加害者が問われる責任などを説明しました。

交通事故には飲酒運転や盗難車による事故など特殊な事例も多くあります。下記にいくつかの事故の例について、交通事故の加害者が問われる罪と取るべき対処法について説明します。

飲酒運転で交通事故を起こしたときの罪と対処法

飲酒運転には下記の2種類があります。

  • 酒酔い運転(飲酒量に関わらず酔った状態で車を運転すること)
  • 酒気帯び運転(体内に一定基準値以上のアルコールがある状態で運転すること)

飲酒運転は、上記の違いによって刑罰と行政罰の重さが異なります。また、下記のように飲酒運転をしている本人以外も罪に問われる場合があります。

  • 飲酒運転を知りながら車に同乗した場合
  • 飲酒をしている可能性のある人に車を提供した場合
  • 飲酒運転の可能性がある人に酒類を提供した場合

飲酒運転は事故を起こさなくても罪に問われます。

さらに飲酒運転で人を死傷させてしまった場合は、刑罰がより重くなります。また、飲酒運転をした側の過失割合も大きくなります。飲酒運転は絶対にやめましょう

飲酒運転による事故は非常に複雑ですので、弁護士に相談することが大切です。

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盗難車で交通事故を起こしたときの罪と対処法

最近は車上荒らしや車の盗難も増えています。交通事故の加害者が盗難車に乗っていた場合も、当然損害賠償責任を負うことになります。

さらに盗難車による事故の場合は下記のような刑事責任が問われます。

  • 窃盗罪
  • 詐欺罪
  • 強盗罪
  • 横領罪
  • 遺失物等横領罪
  • 恐喝罪

なお、盗難車による交通事故の場合、車を盗まれた者が「運行供用者」に該当する場合は損害賠償責任を問われることもあります

このように盗難車による交通事故は法的にも複雑になります。

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他人の車を運転していて交通事故を起こしたときの車の所有者の責任とは

盗難に限らず、他人の車を借りて運転して事故を起こすなど、加害者と車の所有者が異なることも多くあります。

この場合も、車の所有者は「運行供用者」として損害賠償請求される可能性があります。運行供用者責任が認められた例としては、下記のようなものがあります。

  • 自動車を貸している人
  • 元請人
  • 会社(使用者)
  • 自動車修理業者
  • 自動車の名義人
  • 運行代行業者
  • 運送業者
  • 泥棒が事故を起こした場合の所有者

さらに、会社の従業員が社有車を運転して事故を起こした場合、車を所有する会社は「使用者責任」も負う場合があります

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交通事故を起こしてしまうと、さまざまな責任が生じます。特に、交通事故の加害者(運転手)は、民事で…

交通事故の加害者が罪を軽くするためにすべきこと

交通事故の加害者は、状況によって民事・行政・刑事の3つの責任を負う可能性があると説明しました。では、加害者が少しでも罪を軽くするためにはどうすればいいのでしょうか。

そのためには「示談をする」のが非常に重要です。示談がまとまっていれば不起訴になることもあります。

もし起訴されたあとでも、示談によって減刑される可能性もあります。 交通事故の加害者になったらできるだけ早く示談交渉をおこないましょう。

また、刑事裁判になってしまったら、刑事弁護のために弁護士に相談しましょう。弁護士なら、加害者が不利にならないために最善を尽くしてくれます。

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交通事故を起こすと、場合によっては警察に逮捕されてしまったり、検察官から起訴されて刑事事件になって…

まとめ

交通事故を起こしたら、加害者はさまざまな責任を負うことになります。交通事故の加害者が対応を間違えると罪が重くなる場合もあります。

もし刑事裁判になってしまったら弁護士に相談しましょう。

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