レンタカーで交通事故!知らないと損する全知識

皆さんは、レンタカーをよく使われますか?
ほとんどの方は、旅行先などでレンタカーを利用したことがあると思います。
レンタカーがこれほど日本で知名度を上げている現代では、当然、レンタカーによる事故も発生しています。
では、レンタカーに乗っている際に事故に遭った場合には、どのようにすればいいのでしょうか。また、自家用車との違いは何かあるのでしょうか。
今回は、レンタカーで事故をした場合について、レンタカーの現状などをふまえて説明いたします。
- 目次
レンタカーの制度
1-1.レンタカーとは
まずは、レンタカーそのものについて少し説明いたします。
レンタカーとは、自動車を有料で貸し出すことをいいます。日本では、自動車メーカーやそれに附随する自動車ディーラーが設立したメーカー系レンタカー、他業種(事業会社)が設立した独立系に大きく分けられます。
2000年代に入ると、ガソリンスタンドや自動車関連事業者が運営する「格安レンタカー」というジャンルも新たに出現しています。
1-2.レンタカーの保険制度
次に、レンタカーでの保険制度について説明をします。
ただし、以下の説明は、あくまで一般的なものにすぎませんので、具体的にご自身が加入することとなる保険とは名称・内容が異なる場合があります。
まず、多くのレンタカーを借りる際に加入できる保険には、大きくわけて4種類あります。それらは、
1.対人補償(他の人に怪我をさせてしまった場合の補償)
2.対物補償(他の人の車などを壊してしまった場合の補償)
3.車両補償(借りた車が壊れてしまった場合の補償)
4.人身傷害補償(運転していた人が怪我をした場合の補償)
の4つです。
対人補償には、上限なく無制限に補償してくれるものが多いです。対物補償にも、上限なく無制限のものもありますが、3,000万円までなどと上限のあるものあります。
車両補償には、車両時価額までとされているものもあります。
人身傷害補償は、一定額の上限があるものもあります。
では、これらの保険があるのであれば、レンタカーの利用者は、事故を起こしても何も支払わなくてもよいのかというと、そうではありません。
対物補償・車両補償には、しばしば免責額が定められています。この免責額というのは、自己負担額のことです。
例えば、免責額を10万円の保険を利用して、相手に生じた100万円の損害を払おうとする場合、10万円を加害者が、90万円を保険会社が支払うことになります。
参考までに、平成28年時点での主要各社の各保険料を以下の通りご紹介いたします。
現在は変わっている可能性もあるので、これを参考に各社のHPをご参照ください。
表1.平成28年時点でのレンタカー主要各社の各保険料
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1-3.免責補償制度(CDW)
以上を読んだ方の中には、「結局いくらかは負担しなければならないのだな」とお考えの方もいらっしゃるかと思います。実は、この免責額をも支払わなくて済む制度があります。
それは、「免責補償制度(CDW)」です。24時間あたり数千円で加入できますので、ご不安な方は検討されてはいかがでしょうか。
1-4.ノン・オペレーション・チャージ(NOC)
もっとも、免責補償制度に加入していても、まだお金を払わなければならないケースもあります。それは、レンタカー業者が事故に遭った車を使えなくなる営業損害です。
この損害の名前を「ノン・オペレーション・チャージ(NOC)」といいます。一般的に、自走できる場合は2万円、自走できないほど壊れていると5万円など、定額の支払いが定められています。
以下は、主要各社の一例です。
表2.レンタカー主要各社のNOC
ただし、レンタカー業者ごとにこのNOCをも免除する内容の保険も用意していることもありますので、詳しくは各社にお問合せください。
1-5.自動車保険の特約
これらのレンタカー業者との契約に基づく制度とは別に、自家用車の任意保険に他車運転危険補償特約がついている方は、それらの保険によっても支払いを肩代わりしてもらえる可能性があります。
他車運転危険補償特約とは、誰かから借りた車を運転中の事故により、補償対象者が法律上の賠償責任を負う場合などに、補償対象者の申し出に応じて借りた車の保険に優先して任意保険から保険金を支払う特約をいいます。
ご自身の加入されている保険の内容を、今一度ご確認ください。
1-6.保険が適用されない場合
以上の保険をフル活用してもお金を支払わなければならない時もあります。以下は、その一例です。
✔ 補償限度額を上回る損害
✔ 事故を警察に届けなかった場合
✔ 保険約款の免責事項に該当する場合
✔ 出発時に申請した者以外が運転して起こした事故
✔ 無免許運転による事故
✔ 酒気帯び運転による事故
✔ 借受期間を無断で遅滞して使用された場合の事故
✔ リース貸借約款に掲げる事項に違反があった場合
✔ パンクやタイヤへの損傷
✔ ホイールキャップの紛失
✔ 故意の事故
✔ 管理上の落ち度があった場合
レンタカーに乗って加害者になった場合
続いて、レンタカーで交通事故を起こした場合に加害者のとるべきことをまとめます。
この部分は、自家用車でもほとんど変わらないのですが、念のためここで再度まとめておきましょう。
2-1.けが人の救出
交通事故が起きた時にまずしなければならないことは、けが人の確認と救助です。
特に交通量の多い場所で交通事故が起きた場合には、後続車両にひかれてしまうなど、二次災害・三次災害も発生する危険があります。直ちにけが人を救助しましょう。
まずは、安全な場所にけが人を移動させて119番通報し、救急車を呼びます。救急車が来やすいように、具体的な場所を特定できるような目印を探しておくのもいいかもしれません。
場所によっては、発炎筒や三角表示板を設置したところであると伝えてもよいでしょう。
なお、法律上は「当該自動車が故障その他の理由により停止しているものであることを表示」する義務がありますので、発炎筒や三角表示板の設置をしておくことは義務に近いものです。
ただ、けが人によっては「大したことないよ、大丈夫」という人もいます。
一見すると「この人なら大丈夫かな」と思ってしまいがちですが、たとえ目立った外傷がなくとも、後から症状が出る場合もあるのです。
そのため、大きな怪我をした人がいないように見えても救急車を呼んでおく方がベターです。
2-2.警察への連絡
けが人の確認と救助が終わったら、今度は警察です。
法律上、けが人の速やかな救助と警察への連絡は、交通事故が起きた場合の義務であると規定されており、違反すると懲役や罰金が科せられる可能性もあります。
警察への連絡は、けがをしていることが少ない加害者が行うのが通例ですが、交通事故の状況によりさまざまなので、電話をすることができる方が行うとよいでしょう。
2-3.事故現場の記録
続いて、記録を残しておきましょう。
保険会社との交渉において、後々事故態様を争われないようにするために、ぶつかった箇所や事故状況(信号機の色、双方のスピード)などの写真をとっておくようにしましょう。
もちろん、警察が現場で実況見分をしますが、天候や気温などによって、タイヤ痕など消えてしまうおそれのあるものもあります。
2-4.相手の身元を確認する
念のために、相手方の身元が分かる資料を確認しておきましょう。車を運転しているのですから、運転免許証などで人物確認を行っておくのがよいです。
その目的は、もし何かあった時に備えて連絡をとるためです。
5.目撃者の確保
もしも、事故の目撃者がいた場合には、その方の話を聞いてみましょう。場合によっては、保険会社との交渉に役立てることもあります。
そのため、話を聞いてメモをするだけでは足らず、連絡先を聞いたり、可能であれば録音しておきましょう。
2-6.保険会社に通知する
次に、保険会社に連絡を入れるようにしましょう。事故があったことを伝えて、必要な資料をやりとりする必要があれば、保険会社の指示に従いましょう。
被害者になってしまった場合
あなたが交通事故の被害者になってしまった場合も、けが人の救出以外は同じです。被害者特有の初期対応は、医師の診断の受診です。
警察や保険会社などへの連絡を終えたら、ご自身の怪我の状態を把握するために可能な限り速やかに病院へ行きましょう。
事故直後に目立った外傷や際立った違和感などがなくとも、時間の経過とともにじわじわと現れてくる症状もございます。
また、後々MRIなどで怪我の内容が分かったとしても、本当にその事故によって生じたものかどうか、すなわち因果関係が争われるケースも多くあります。
そのようなことにならないように、事故直後にきちんと検査しておく必要があるのです。
レンタカーと自家用車では何が違うか
レンタカーと自家用車の違いは、保険の内容や生じる損害の種類にあります。
すなわち、レンタカー特有の保険に加入する必要があったり、被害者に生じる損害の他にもレンタカー業者に生じる損害が加わったりと、いくつか違いがあります。
ただ、レンタカーでも自家用車でも、交通事故であることに変わりはなく、本質的な問題は変わりません。そのため、事故直後の対応もほぼ同様です。
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まとめ
以上、レンタカーで事故を起こした場合についてご説明申し上げました。
もしもあなたがレンタカーでの交通事故で加害者になってしまった場合、被害者はもちろんのこと、レンタカー業者にも損害賠償をしなければなりません。
万が一に備えて、レンタカー業者の用意する全ての保険に加入されることを強くお勧めいたします。
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