躁うつ病だと免許更新できない?自動車を運転してはいけない病気とは?

基礎知識
躁うつ病だと免許更新できない?自動車を運転してはいけない病気とは?

自動車の運転はとても簡単でありながら小さな操作ミスが大事故を起こす「危険な行為」でもあります。そのため道路交通法では、運転に支障が出る可能性が高い病気を抱えている人の運転を禁止しています。

病気によっては突然何の前触れもなく意識を失うこともあり、そうなれば2トン近い鉄の塊が暴走してしまうからです。運転が禁止されている病気の方がこっそり運転してしまったら刑罰があります。さらに交通事故の保険も不利になってしまいます。

目次
  1. 法律の規定はどうなっているのか
  2. 運転禁止の病気の人が運転したときの罰則
  3. 医師は診断結果を公安委員会に届け出られる
  4. 病気を持った人の運転で悲惨な事故が起きている
    1. てんかんの男が3人を死傷させて懲役10年の刑に処せられる
    2. 死亡事故を起こした75歳以上の半数は認知機能が低下
    3. 糖尿病から低血糖に陥り意識を失って暴走し1人死亡
  5. 運転が禁止されている病気の人の事故で保険はおりるのか
  6. 病気で免許が取り消されても二度と車を運転できないわけではない
  7. まとめ

法律の規定はどうなっているのか

道路交通法第90条には

「幻覚の症状を伴う精神病」「発作により意識障害または運動障害をもたらす病気」「その他自動車の安全な運転に支障をきたす病気」を発症している人は、免許を取得できないかまたは運転免許試験に合格しても最長6カ月は免許の取得を保留される

ことがあります。

具体的な病名は道路交通法施行令第33条の2の3に書かれてあります。以下のとおりです。

  • 再発の可能性があるてんかん
  • 再発の可能性がある失神
  • 意識障害をもたらす脳の病気
  • 無自覚性の低血糖
  • 躁うつ病
  • 重度の眠気に襲われる睡眠障害
  • その他、自動車の安全な運転に必要な認知、予測、判断、操作の能力を失う可能性がある病気

運転が禁止されている病名を注意深くみると「再発の可能性がある」や「意識障害をもたらす」「重度の眠気」といった言葉がついていることがわかります。

てんかんや低血糖といった病気があるからといって一概に運転が禁止されているわけではないのです。また、躁うつ病の患者は運転が禁止されていますが、そう病のみ・うつ病のみの患者の方は禁止されていません

重度の認知症は、最後の「その他、自動車の安全な運転に必要な認知、予測、判断、操作の能力を失う可能性がある病気」に該当し、運転はできません。

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運転禁止の病気の人が運転したときの罰則

先ほど紹介した再発の可能性があるてんかんなどの運転が禁止されている病気を持ちながら、それを隠して免許を取得・更新して自動車を運転したら、1年以下の懲役または30万円以下の罰金を科されます

医師は診断結果を公安委員会に届け出られる

従来は、運転が禁止されている病気を持っていても交通事故を起こさない限り警察などに発覚することはなく、取り締まりをしたり罰則を適用したりすることが困難でした。

ところが現在は、運転が禁止されている病気を診断した医師が、その患者の情報を公安委員会に届け出ることができるようになりました。

公安委員会は運転免許の許可や取消しを行う役所です。これは重要な法律の問題が含まれているので詳しく解説します。

医師は本来、患者の病気について誰にも明かしてはいけません。医師には守秘義務があり、それはジュネーブ宣言という国際的に承認されたルールになっています。

ただ、医師が患者の病気を他人に明かしてよい例外が2つあります。

  • 治療に必要な場合に看護師などの医療従事者や家族に病気を告げるとき
  • 法律の要請があったとき

医師が「再発の可能性があるてんかん」などの運転が禁止されている病気を持つ患者の情報を公安委員会に明かしてよいのは(届けてもよいのは)、法律の要請があるからです。

病気を持った人の運転で悲惨な事故が起きている

病気を持った人の運転で悲惨な事故が起きている

日本の法律が、ジュネーブ宣言のルールに例外を設けてでも特定の病気を持った人に運転させないようにしているのは、悲惨な事故が起きているからです。

てんかんの男が3人を死傷させて懲役10年の刑に処せられる

大阪府で2015年に、運転中の男がてんかんの発作で意識を失い、そのまま時速180キロで赤信号の交差点に突進し、2人を死亡させ、1人に重傷を負わせました。

男は過去に発作が起きたことを主治医に隠していたことがわかりました。男には2017年に懲役10年の判決が言い渡されました。

そのときの裁判長は「たびたび通院を怠り、取り返しのつかない重大な結果を招いた」と厳しく指摘しました。

死亡事故を起こした75歳以上の半数は認知機能が低下

また警視庁によると、2017年に交通死亡事故を起こした75歳以上のドライバーの半数が認知症を発症していたり認知機能が低下していることがわかりました

認知症のドライバーは高速道路を逆走するなどの問題も引き起こしています。

糖尿病から低血糖に陥り意識を失って暴走し1人死亡

2017年には東京都杉並区で、低血糖症の男が車を運転しているときに意識を失い、交通整理中の男性をはねて死亡させました。

男は糖尿病を発症していて、自宅などでインスリンという薬を自己注射投与していました。男は自動車運転処罰法違反(危険運転致死)の疑いで逮捕されました。

糖尿病は血糖値が高くなる病気ですが、自己注射投与するインスリンの量を間違えると今度は逆に血糖値が下がりすぎる低血糖を引き起こすことがあるのです。

インスリンには血糖を下げる効果があります。低血糖には意識を失う失神以外にも、昏睡、神経過敏、同期、めまい、集中力の欠如、錯乱、酩酊、かすみ目などの症状もあります。

いずれも自動車の運転に支障をきたすものばかりです。低血糖の症状が重くない方も運転するときは血糖値の推移を確認したり体調のチェックをしたりして、十分注意してください

運転が禁止されている病気の人の事故で保険はおりるのか

運転を禁止されている病気を持つ人が交通事故を引き起こしても任意保険は補償してくれます。ただし病気の程度によって、おりる保険金の額が通常より少なくなることがあります。

また、運転が禁止されている病気を持っている人が自動車どうしの事故を起こした場合、過失割合の判定が不利になることがあります

例えば、通常の判定であれば2対8となって「自分はほとんど悪くない事故」なのに、運転が禁止されている病気を持っていることが発覚したことで3対7になったり4対6になったりするのです。

また任意保険でも運転が禁止されている病気を持っている人がそれを隠して事故を起こした場合、自分や同乗者の補償をしてもらえないこともあります

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病気で免許が取り消されても二度と車を運転できないわけではない

運転が禁止されている病気を発症し、免許が取れなかったり、持っていた免許が取り消しになったからといって、もう二度と自動車を運転できないわけではありません。

運転に支障が出ないほど症状が改善すれば、手続きを踏むことで運転を再開することができます

例えば、てんかんを発症した人でも、次の条件を満たせば運転免許証が交付される可能性があります。

  • 過去5年に発作を起こしたことがなく、医師が今後も発作を起こすおそれはないと診断したとき
  • 運転に支障をきたす発作が過去2年に起きてなく、医師が、今後、一定期間は運転に支障をきたす発作を起こすおそれはないと診断したとき
  • 医師が1年間経過観察を行い、発作が起きたとしても意識障害や運動障害は伴わないと診断したとき
  • 医師が2年間経過観察を行い、発作は睡眠時に起きていて、今後も運転中に発作が起こるおそれがないと診断したとき

とてもきめ細かいルールといえます。てんかんの患者であっても安全が確保できるのであれば運転の機会を奪わないようにしようという考えがうかがえます。

また、てんかん以外の病気であれば、医師の診断結果によって一度免許証を取り消されても1年後に受診して医師から問題がないと診断されれば、免許を再取得できるかもしれません。

まとめ

深刻な病気を抱えているうえに自動車も運転できないとなったら、よりいっそう社会活動が制限されてしまうでしょう。とてもつらいことだと思います。

しかし自動車は一瞬で便利道具から殺人兵器に変わります。

時速40キロでも2秒間で22メートル進みます。普段、赤信号の手前22メートルでブレーキを踏み始める方は、2秒間気を失っただけで赤信号の交差点に突っ込んでしまうのです。

他人をひかないために、交通事故を起こさないために、そして自分自身を守るために、法律と医師の判断に従いましょう。

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