運転中にイヤホンで音楽を聴いたら違反?事故を防ぎ音楽を楽しむために。

松任谷由実さんの名曲に「中央フリーウェイ」があります。この曲は、歌詞に東京と神奈川、山梨、愛知などをつなぐ高速道路の風景を盛り込んだものになっています。この曲はこの道路を通ったことがある人の郷愁をそそります。
このようなユーミンの音楽を適切なボリュームで流しながら自動車を運転することはなんら問題がありません。しかし、節度を守らない曲の聴き方をすると交通反則切符を切られることもあります。
なぜなら過度な音楽は運転の集中力を低めてしまうからです。事故の危険すらあります。では運転中は音楽を我慢したほうがいいのかというと、そうでもないのです。
音楽以外の要因で集中力が低下したときに「ちょっといい音楽」を流すと、的確な運転ができるようになるという海外の研究もあるのです。
音楽を楽しみながら安全に運転するために、音楽と自動車の運転の「ちょうどいい関係」についてみてみましょう。
大音量で音楽を聴いていると最大7,000円の反則金払うことも
各都道府県は道路交通法施行細則を定めており、運転中に音楽を聴くときのルールも定めています。
例えば、東京都や大阪府などでも自動車の運転中にイヤホンなどで音楽を聴くことを禁止しています。警察が基準にしているのは、下記の音が聴こえるかどうかといわれています。
こうした音が聴こえないくらいの大音量だと道交法違反とみなされるのです。
そのため、片耳イヤホンでも大音量をかけていてクラクションなどが聴こえなければ違反の対象になります。
また、イヤホンではなく車に内蔵されたスピーカーで音楽を聴いていて、車外の音が聴こえにくくなっている場合も交通反則切符を切られる可能性があります。
さらに、耳をすっぽり覆うタイプのヘッドホンは、より周囲の音が聴こえにくいとみなされ、警察官に見つかったらすぐに交通違反切符を切られる可能性もあります。
大音量で音楽を聴くことは道路交通法第71条第6号などに違反し、5万円以下の罰金に科されます。ただ実際は、交通反則切符で処理されることが多くなっています。
反則金は、
となっています。またよほどのことをしていなければ基礎点数をつけられることはありません。このルールは自動車だけでなく二輪車の運転でも適用されます。
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「音楽を聴いて死ぬ場所は自動車のなかだけ」?
イスラエルの音楽心理学の教授が、
誤った音楽を聴いて死ぬことがある場所は世界中で自動車のなかだけ
と、刺激的なことを言ったことが話題になっています。
もちろんこれは外国人特有の言い回しであり、教授は運転中に聴く音楽がときにドライバーに悪影響をおよぼし、死亡事故を起こすこともあると警鐘を鳴らしているのです。
この教授とは、イスラエル南部にある国立ネゲヴ・ベン=グリオン大学芸術学部のウォーレン・ブロツキー氏です。
教授が指摘する「誤った音楽」とは、クラシックやロックなどの音楽の種類のことではありません。
どのジャンルの音楽でもかまわないのですが、ドライバーの心理とシンクロすると事故リスクが高まるというのです。
幸せな気持ちになったり、悲しくなったり、いわゆる「ノッている状態」になって感情が揺さぶられると、運転に必要な集中力が低下するというのです。
ただ運転と感情の関係でいうと、アメリカの保険会社は、
死亡事故の62%は「ただぼんやり空想していた」などの注意散漫が原因で発生している
と公表しています。
音楽だけでなく注意をそらす行為・行動は運転に悪影響をおよぼすのです。
さらにイスラエルの心理学の教授も、
ある音楽で揺さぶられた心理が、別のジャンルの音楽を聴くことで落ち着くこともある
と述べています。つまり音楽は絶対悪ではない、ということです。
運転中は集中力が大切
自動車の車内は周囲の環境と遮断されていて、音楽を大音量で聴くには最高のシチュエーションのように思えます。
それでも節度を持った聴き方をしなければならないのは、安全運転にはそれだけ集中力が大切だからです。
そのため、道路交通法施行細則では、携帯電話やスマホなどを操作しながら運転することも禁止しています。
画面に触れたり、画面に映し出されたメールを読んだだけでも違反の対象になることがあります。
ドライバーたちが運転に集中しなければならないのは、走行中の自動車は一瞬にして凶器になるからです。
わずか時速40キロで走っていても、1秒注意をそらしただけで自動車は11メートル走ってしまいます。つまり時速80キロで2秒注意をそらしたら、44メートル走ってしまうのです。
40メートルは、10階建てのビルに相当します。それだけの距離を無意識に走ってしまう危険性は誰もが理解できるはずです。
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運転中に聴く曲は精神面に大きな影響を与える
さて、嫌な話はこれくらいにして、節度を守って音楽を聴いた場合のよい効果をみていきましょう。
イギリスの研究機関の調査によると、人の心臓の鼓動に似たテンポの曲を聴くと、リラックスして運転できるそうです。
鼓動に近いということは、1分間に60ビート程度ということになります。 テンポだけでなく、音程も大きな変化がない曲のほうがよいそうです。
この研究機関の運転中の推薦曲は、
などです。いずれの曲もユーチューブで聴くことができるので試聴してみてください。
ザ・サイエンティストはスローバラードなので、少し疲れているときに聴くと眠くなってしまうかもしれません。
カム・アウェイ・ウイズ・ミーはさらにスローで、さらに眠くなりそうです。タイニー・ダンサーもしっとりした曲です。
ですが、イギリス人の運転しやすいと感じる曲と日本人好みの曲は少し違うかもしれません。マイ集中ソングを探し出してみるといいかもしれません。
まとめ
以上、理想をいえば音楽を聴かずに運転したほうがよさそうです。
しかし自動車はレジャー目的で運転することもあり、そうなると自動車のなかで音楽を聴きながら楽しく移動したいと思う人もいるはずです。また運転自体を楽しむ人もいます。
スポーツカーやオープンカーは、まさに快適にドライブするための自動車です。快適なドライブに音楽は付き物と思う人は多いです。
そのように考えるスポーツカーのオーナーから音楽を取り上げるのは酷な話です。
それで警察行政でも、スマホ操作は絶対的に禁止しているのに、音楽を聴くことはある程度許容しているわけです。
当たり前のことですが、運転中は運転に支障がない適切な音量で節度を守って聴きましょう。
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