交通事故は秋から冬に急増!原因と事故防止のために注意すべきポイント。

交通事故は12月に急増します。それは冬の道路や冬の環境が自動車の運転の障害になるからです。
さらに秋は事故が多い冬への「助走路」になっています。そして秋は行楽シーズンのため自動車で出かける機会が増えるので、やはり運転には注意しなければなりません。
交通事故はなぜ冬に多いのか、科学的に証明されている原因を解説します。そして秋冬の運転で注意すべきことも紹介します。
- 目次
年間を通して交通事故が多いのは12月
内閣府によると、2014年の月別の交通事故死者数と事故発生件数の推移は次のとおりです。
この表からは以下のことがわかります。
そのほかの年も、この2つの傾向は同じです。
つまり交通事故死者数も事故発生件数も「夏の終わりから徐々に増え始め、12月にピークを迎え、その後急速に減りますが再び春から夏、秋へと増え始める」という年間サイクルを繰り返すのです。
したがって、秋冬の事故原因を学んでおく必要があるのです。
秋冬の交通事故の原因と特徴は?
秋冬の交通事故の原因は、
といった季節的な理由と、
などといった心理的な要因が考えられます。 そして秋冬の交通事故は、
悲惨な結果をもたらす
という特徴があります。ひとつずつ詳しくみていきましょう。
日没が早い
交通事故は季節的な要因のほかに、日没前後の薄暮れ時が危ないという時間的な要因もあります。秋冬は日没が早いため、薄暮れ時が早く訪れます。
交通量が激増する帰宅ラッシュと日没が重なるため、交通事故の発生確率も高まるわけです。日没に事故が増えるのは、急に暗くなることが原因であると考えられています。
人の目は暗さに慣れるまでに時間がかかります。薄暮れ時の運転はいわば「昼間の目で夜の道を走っている」ようなものです。
またすっかり日が落ちて真っ暗になれば、運転者はヘッドライトを点灯することを迷いません。
しかし、日没のころは「まだヘッドライトをつけなくても大丈夫かな」という心理になります。
運送会社によっては、全ドライバーに日中の明るい時間でもヘッドライトをつけるよう指示しています。これはヘッドライトが対向車や歩行者の注意を引き、事故抑止になるからです。
つまり薄暮れ時にヘッドライトの点灯を躊躇(ちゅうちょ)すること自体、事故の確率を高めてしまうのです。
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路面の凍結と積雪
北関東や東北地方、北海道では、12月は凍結と積雪の時期に入っています。凍結した路面の運転には高い技術が必要です。
ですから、運転スキルが低いドライバーは頻繁に衝突事故を起こします。そして「冬道は慣れている」と高をくくっているベテランドライバーも事故を起こしています。
積雪の路面は凍結路面よりは安全に走行できるのですが、吹雪によって視界不良(ホワイトアウト)になることもあります。
この場合、目をつむって運転するのと同じなので危険度は一気に高まります。
忘年会による飲酒運転増加と年末ならではの浮かれムード
飲酒運転による死亡事故だけに限ると12月より初夏から夏にかけてのほうが多いです。しかし、飲酒による交通事故の月別の発生件数は12月が最も多くなります。
飲酒運転による悲惨な事故がこれだけ発生していても飲酒運転はなくなりません。
12月に入るとクリスマスと年末と年始の雰囲気が一気に街中に広がり、運転する人もしない人も浮かれムードに包まれます。
それで運転するときにスキが生まれ、事故件数の増加につながっていると考えられています。
冬の運転は注意力が散漫になる
冬は仕事納めやクリスマスなどイベントが多く、とても慌ただしくなる季節です。忙しさや慌ただしさは人の注意力を散漫にする傾向があります。
ですので、冬の運転では通常の運転時よりも、ゆとりを持って運転することが大切です。
冬場に自動車を運転する際は、あらかじめ以下のことをしておくと、ゆとりを持った運転につながります。
秋冬の交通事故は悲惨な結果をもたらす
秋のドライブは、家族や友人などが1台の自動車に乗る機会が増えます。多人数が乗車した自動車事故は被害者も加害者も増えます。
したがって、重大事故につながり、悲惨な結果になりやすいといえます。
秋冬の交通事故を防ぐためには
では秋冬の自動車運転では、どのような点に注意すればいいのでしょうか。
日没時の運転は危険!ヘッドライトの早期点灯を
日没時の運転を「昼間の運転の延長」と考えるか、「夜の運転のスタート」と考えるかで、運転中の緊張感が変わります。
日中より暗い日没時の走行は、夜の運転と同じくらいの緊張感をもってハンドルを握るべきです。ヘッドライトは「つけたほうがいいか迷ったらつける」習慣をつけましょう。
そしてヘッドライトを点灯させるときは、最も明るいライトにしましょう。ヘッドライトは段階的に明るくすることができ、全点灯の前段階にスモールランプがあります。
しかし「スモールランプが必要かも」と思ったら全点灯にしてしまって構いません。
年末ムードに流されない
忘年会の後に飲酒運転することは言語道断です。 飲酒運転は法律違反なので、「だからやらない」という人が多いと思います。
しかしここであえて、「アルコールは危険運転を助長することがわかっているから飲酒運転はしない」と認識してみてはいかがでしょうか。
「法律違反だからやらない」という気持ちだけだと「少しくらい法律を破っても大丈夫かな」という油断を生みかねません。
ですから、アルコールは気持ちを大きくしてしまうので飲酒して運転するとスピードの出しすぎや無謀運転に鈍感になってしまうことが科学的に証明されていることを知ってほしいのです。
そうすれば、理性のたがが外れることもなくなるでしょう。 そして運転するときは年末ムードに流されないようにしてください。
そのために、運転席に座ったら「スイッチを切り替える」癖を日頃からつけておきましょう。例えば、ながら運転をする癖をやめると気持ちのスイッチの切り替えも容易になります。
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凍結・積雪路面ではスピードを落とす
凍結路面、積雪路面、吹雪中の走行では、スピードを落としましょう。
スピードを上げるとブレーキの効力が減るので自動車をコントロールできなくなって事故を起こしやすくなります。
自動車教習所などで冬道走行講習会があったら積極的に参加してみてはいかがでしょうか。
最近は異常気象の影響で、これまでほとんど雪が降らなかった地域でもドカ雪に見舞われることがあります。
雪に慣れていない地域のドライバーこそ、冬道の知識を身につける必要があります。
普段より10分早く行動しよう
冬場に運転するときは普段より10分早く行動しましょう。そうすることで暖機運転の時間を確保することができ、車内が暖かくなります。
車内の温度が快適なら厚手のジャンパーを脱いで運転することができます。
もちろん暖機運転は温室効果ガスの排出や燃費の悪化を招くので「加減」が必要ですが、余裕を持った運転も大切です。
まとめ
自動車の運転は慢心しやすい特徴があります。なぜならハンドルに軽く手を添えて、アクセルに軽く足をのせるだけでスムーズに走ることができるからです。
最近は運転アシスト機能も充実してきましたし、これからは自動運転車も現れるでしょう。
しかし自動車は一歩間違えれば凶器になります。そして秋冬は、その凶器の殺傷能力を最も高めてしまうのです。
運転は1年中注意しなければなりませんが、特に秋冬は「全力で注意」しましょう。秋冬に慎重な運転を心がければ、その良い習慣が春にも夏にも継続されるはずです。
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