交通事故はどこが多い?交通事故件数・死者数の都道府県別ランキング

交通事故には都道府県ごとの特徴があります。地域の交通事情や道路環境や気候などによって毎年交通事故が多い都道府県と少ない都道府県があるのです。
この記事を参考に、交通事故が多い都道府県に住んでいる方には注意深い運転を心がけていただきたいと思います。
また交通事故が少ない都道府県の方には、これからも油断せずさらに交通事故を減らす取り組みを続けてください。
ただ、事故件数は少ないが事故リスクが高いという逆転現象も起きているので、やはり運転する人全員が慎重な運転を心がける必要があります。
- 目次
交通事故が多い都道府県上位5位
2016年度の調査によると、交通事故が多い都道府県上位5位は以下のとおりでした。
- 愛知県 41,554件
- 大阪府 37,928件
- 福岡県 37,225件
- 東京都 32,489件
- 静岡県 31,545件
これらの都府県で「なぜ交通事故が多いのか」は明確にはわかっていませんが、理由を推測することはできそうです。
1位 愛知県
愛知県には「世界のトヨタ」の本社と工場があり、自動車保有台数が全国1位です。自動車が多くなれば交通事故が発生する確率が高まるのは当然といえば当然です。
また免許保有人口全国4位や道路の総距離全国3位など、自動車台数以外でも交通事故の発生確率を高める要素があります。
そして愛知県は交通違反者件数がワースト5位になったことがあります。この数字から荒い運転をするドライバーが多いことが想像されます。
車線を無視した走り方を、地元の人は自虐的に「名古屋走り」と呼ぶことがあるそうです。
2位 大阪府
大阪府の交通事故の多さの原因としては「人口第2位の都会を抱えているから」という説明も可能ですが、それだと東京都より多い理由にはなりません。
そこで大阪独特の理由がないか調べたところ、「大阪市内には危険な交差点が多いからではないか」と指摘する声がありました。
高架道路や歩道橋などが交差点に死角をつくってしまい事故を誘発していると考えられています。
いずれにしても事故の多さの背景には都市問題(都会ならではの問題)がありそうです。
3位 福岡県
福岡県の交通事故の多さも都市問題といえるかもしれません。というのも、県内の2大都市である福岡市と北九州市だけで県内の交通事故件数の半数以上を占めているからです。
また運転マナーも関係しているかもしれません。実は、福岡県は2010年の飲酒運転の事故件数が全国でワースト1位だったのです。
これにより、2011年にJAF(日本自動車連盟)が「飲酒運転事故ワースト1、飲んだら絶対運転しないで」と呼び掛けたこともあります。
参考:交通安全ふくおか「JAFご当地情報」
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4位 東京都
東京都は「日本1の都市問題」を抱えていそうですが、交通事故件数の多さではワースト4位でした。とはいえまったく喜べる順位ではありません。
東京は実は、1世帯あたりの自動車普及台数が最も少ない都道府県なのです。しかし、何しろ世界的な大都市なので自動車の流入量が多いのです。
自動車が増えれば交通事故の発生確率が高まることをここでも証明しています。
また東京23区内は高速道路と一般道路が複雑に入り組んでいるので、道に不慣れな人や運転が苦手な人は日々恐い思いをしているのではないでしょうか。
このような心理的な圧迫も交通事故につながるかもしれません。
5位 静岡県
温厚な県民性で知られる静岡県が交通事故の多い都道府県ワースト5位に入るのは意外かもしれません。
静岡には富士山をはじめ3,000メートル級の山々が連なるため、高地が多い特徴があります。高低差があると道路にカーブをつけなければならないので、必然的に運転しにくい危険な道路が多くなります。
そして東京と大阪・名古屋を結ぶ道路が静岡を通過しています。最近では東名高速道路に加えて新東名高速道路も開通しました。
スピードを出す自動車の交通量が増えると、交通事故の確率もアップしそうです。
交通事故が少ない都道府県上位5位
交通事故が少ない都道府県上位5位は次のとおりです。
- 鳥取県 988件
- 島根県 1,314件
- 福井県 1,844件
- 秋田県 2,177件
- 高知県 2,193件
このランキングをひと目見て、「人口が少なそうな地域は交通事故も少なそう」と感じるのではないでしょうか。ちなみに人口が少ないランキングは以下のとおりです。
- 鳥取県
- 島根県
- 高知県
- 徳島県
- 福井県
ちなみに交通事故が少ない都道府県で4位にランクインした秋田県は、人口が少ないランキングでは10位になります。
確かに「人口が少ない県は交通事故も少ない」という傾向が確認できます。ただ秋田県が人口の少なさで10位なのに交通事故の少なさでは4位になっています。
このギャップはなんでしょうか。
そこで各都道府県の人口密度を調べてみました。人口密度とは、1キロ平方メートルに何人いるか、という指標です。2015年の人口密度低いランキングは以下のとおりです。
- 北海道 68.6人(最も低い)
- 岩手県 83.8人
- 秋田県 87.9人
- 高知県 102.5人
- 島根県 103.5人
- 山形県 120.4人
- 青森県 135.7人
- 福島県 138.8人
- 宮崎県 142.8人
- 長野県 154.8人
秋田県は人口密度の低さで2位でした。人口密度が低いということは「ごみごみしていない」ということなので、交通事故も起きにくいと推測できます。
交通事故死者数の状況
2017年の全国の交通事故死者数は3,694人で、前年より210人減りました。2年連続で4,000人を下回ったことは「よい兆候」といえるでしょう。
ただ、高齢者の死者数が全体の半数以上となる2,020人でした。高齢者の運転ミスが社会問題になっていますが、数字のうえからも深刻な状況がうかがえます。
まだまだ交通事故問題は大きな社会問題であるといえます。
交通事故死者数上位10位の都道府県
都道府県別の交通事故死者数の上位10位は次のとおりです。数字は2017年のものです。
- 愛知県 200人
- 埼玉県 177人
- 東京都 164人
- 兵庫県 161人
- 千葉県 154人
- 大阪府 150人
- 神奈川県 149人
- 北海道 148人
- 茨城県 143人
- 福岡県 139人
先ほど紹介した交通事故件数の多さのベスト5位はこうでした。
- 愛知県 41,554件
- 大阪府 37,928件
- 福岡県 37,225件
- 東京都 32,489件
- 静岡県 31,545件
この2つの数字から次のことがいえます。
そして意外に感じるのが、交通事故死者数8位の北海道ではないでしょうか。
「人口密度が低い地域はごみごみしていないから交通事故が少ない」という法則があるにも関わらず、人口密度がダントツに低い北海道は交通事故死者が多いのです。
これには、「北海道は信号がまったくない直線道路が多く、ついスピードを出しすぎてしまうので事故を起こしたときの衝撃が大きいからではないか」という説があります。
10万人当たりの交通事故死者数が多い都道府県
交通事故死者数を都道府県別に分析するとき、人口10万人当たりの交通事故死者数を見ておく必要があります。
なぜなら単なる交通事故死者数の比較では「人口が多いから仕方がない」という理由で説明できてしまうからです。これでは「リスクの高さ」を実感することができません。
人口10万人当たりの交通事故死者数を比較することで、いわば「都道府県民1人当たりの交通事故死亡リスク」がわかるわけです。
上位(10万人当たりの交通事故死者数が多い)5位は次のとおりです。
- 福井県 5.88人(最もリスクが高い)
- 愛媛県 5.67人
- 山口県 5.67人
- 岡山県 5.07人
- 香川県 4.94人
福井県は「交通事故が少ない都道府県3位」でした。それが10万人当たりの交通事故死者数でワースト1位になっているのです。
つまり福井県民は「交通事故の絶対数が少ないからといってまったく油断できない」のです。
続いて下位(10万人当たりの交通事故死者数が少ない)5位を紹介します。
- 東京都 1.2人(最もリスクが低い)
- 神奈川県 1.63人
- 大阪府 1.7人
- 宮城県 2.19人
- 埼玉県 2.43人
東京都、神奈川県、大阪府、埼玉県は、交通事故が多いランキングや交通事故死者数が多いランキングでは上位に入っていましたが、実は交通事故死亡リスクは低いのです。
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まとめ
全国の交通事故の発生件数は、2000~2006年ごろをピークに減少傾向に転じています。
これは「人々の交通安全意識が向上したから」と説明することもできますし、「警察などの行政機関の働きかけが奏功したから」ともいえます。
また今後は、安全走行が期待できる自動運転車が普及し始めるので、ますます交通事故が減ると予想されます。
しかし自動車を運転する誰もが「技術」に甘えることなく、安全運転を心がけ「事故ゼロ社会」を築いていきたいものですね。
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