【事故】放置したら当て逃げ!ガードレールにぶつかったときの対処法。

ガードレールに車をぶつけてしまった場合、「車やガードレールの修理にかかる金額は?」「誰も見ていないし逃げてしまおう…」「ガードレールにぶつけてしまったが、誰が被害者になるの?」とさまざまなことを考えると思います。
この記事では、主にガードレールに車をぶつけてしまった物損事故ではどのような対応が必要になるかを説明します。
- 目次
ガードレールについて
はじめに、ガードレールについて簡単に説明をします。ガードレールは車両用防護柵のひとつで、道路沿いに見かける白い波打った板状のものがそうです。
車両用防護柵は他にガードパイプ・ガードケーブル・ボックスビームなど形状が異なるものがありますが、この記事内ではこれらの総称を「ガードレール」として表記します。
ガードレールは何のために設置するのか
ガードレールは
ことを目的に設置されています。ガードレールは車がぶつかった際の衝撃を、凹んだり曲がったり変形することで緩和し受け止めます。
このような特性で作られているため、上に挙げた目的を果たすことができます。
一度変形してしまったガードレールは本来の機能を失っており次の事故を受け止められないので交換する必要があります。
ガードレールの所有者
ガードレールの所有者は、高速道路や国道・都道府県道・市町村道といった道路の区分に応じて以下の道路管理者になります。
ガードレールの規格と値段
ガードレールは強度や用途に応じて7種類の規格が定められています。強度はSSが最も高く、Cがその逆に最も低いです。
1メートルあたりの価格は概ね5,000円〜50,000円程度で高強度のものほど高くなります。
またガードレールは、1枚が2メートルや4メートル程度なので、1枚あたりの価格は上記の価格に長さを掛け合わせた額になります。
ガードレールに車をぶつけたら、まずやるべきこと
ここからは、ガードレールに車をぶつけてしまった場合にやることを
- 事故直後
- ガードレールの所有者から連絡があった場合
の流れに沿って見ていきましょう。
事故直後にやること
ガードレールに車をぶつけてしまった直後は、次の順に行動をしましょう。
- 被害状況の確認
- 負傷者の救護
- 危険防止措置
- 警察への通報
- 交通事故現場の記録
- 保険会社への連絡
- ガードレール所有者への連絡
このうち、「①被害状況の確認」から「⑤交通事故現場の記録」については次の記事に詳しくまとめてあります。こちらをご覧ください。
- 併せて読むと役立つ記事
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保険会社への連絡
任意保険に加入している場合は、保険金の請求をするかどうかに関係なく、ガードレールを破損した旨を保険会社に連絡しておくとよいでしょう。
ガードレール所有者とのやり取りを代行してくれます。
ガードレール所有者への連絡
破損状態にもよりますが、変形してしまったガードレールはその役目を終えており、次の衝突では本来の機能を発揮することができません。
したがって、次の事故が発生する前に交換する必要があります。そのためにはガードレールの所有者への連絡がいりますが、所有者が誰か分からないことがほとんどかと思います。
その場合、高速道路であれば国土交通省、一般道であれば事故を起こした市区町村役場に
「国道○○号××付近で交通事故を起こし、ガードレールを破損してしまいました。どのように対応すればよいですか?」
など問い合わせをするのがよいでしょう。管轄内であればそのまま対応してくれます。
自治体によってはホームページ上に、ガードレールを破損した場合の対処の仕方や連絡先を掲載していることもあります。
このようなページは「○○市 ガードレール 事故 連絡先」などのキーワードで検索すると見つけられる場合があります。
参考:広島市「交通事故を起こして、ガードレールや街路灯などを壊してしまった」
ガードレールの所有者から連絡があったらやること
事故後しばらく経ってから、ガードレールの所有者から修理費用の概算見積もりや諸手続きについての連絡があります。基本的には連絡でされた指示に従い対応をしましょう。
ガードレールの所有者に応じて求められる対応は異なりますが主に
などが挙げられます。なお、これらの対応は任意保険に加入しており、事故後にガードレールを破損した旨を連絡しているのであれば保険会社が代行してくれます。
ガードレールとの接触事故Q&A
警察へ報告する必要はある?
単独の物損事故であれば「誰も見ていなければ、届出をしなくても良いだろう」と考えてしまうかもしれません。
しかし道路交通法72条1項で次のように定められているため、人身事故、物損事故に関係なく届け出をすることが義務になっています。
交通事故があったときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ち に車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。
この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、 警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項 において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並 びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなけれ ばならない。
届け出を怠った場合は当て逃げとなります。
当て逃げが発覚した場合は安全運転義務違反で2点、危険防止措置義務違反(当て逃げの付加点数)で5点の計7点となり、前歴がなくても30日間の免許停止となります。
また「1年以下の懲役又は10万円以下の罰金」という罰則が科されます。
これらは届け出さえすれば無縁の話で、物損事故であれば罰金や点数が引かれることも通常はありません。
また、届け出しなかった場合は道路交通法違反となる以外にも、交通事故証明書が発行されず、結果として任意保険が利用できない可能性が高くなります。
保険会社は交通事故証明書がないと、何が原因でガードレールや車が破損したかを判断できないためです。
ガードレールとの接触事故では
などにお金がかかります。
これらが高額になりそうな場合でも、任意保険に加入していれば対物賠償や車両保険、搭乗者傷害特約でまかなえます。任意保険を使用するためにも届け出はしっかりとしておくべきです。
ガードレールの修理費用はどれくらいかかる?
ガードレールを修理するために必要なものは大きく次の2種類になります。
これらを合計すると、一般道での事故であれば10万円〜15万円の範囲に収まることが多いようです。
また、ガードレールに擦り傷ができただけなど軽度の事故であれば、ガードレールの機能は損失していないため修理不要となることもあります。
以下では、それぞれの費用の内訳を説明します。
ガードレール自体の費用
事故により変形してしまったガードレールは全て交換する必要があるため、その枚数分のガードレールを用意することになります。
ガードレールは上にも書いた通り複数の規格があり、概ねその規格によって単価が決まるので、それに枚数をかければガードレールを購入するのにかかる費用がわかります。
ガードレールは連結されて設置されていることが多く、ぶつけたものの周囲も一緒に変形してしまうため、思ったよりも交換枚数が多いと感じるケースがあるようです。
設置交換工事にかかる諸費用
ガードレールを設置交換するためには、施工費や作業員やガードマンの人件費がかかります。
車線規制の必要性や、作業時間が深夜に限定されるなどの諸条件によって人員や安全対策の程度が変わるため、費用はケースバイケースとなります。
任意保険未加入だけど、自賠責で修理はできるの?
自賠責保険は「基本的な対人賠償を確保することを目的」としている保険のため、物損事故では使用できません。任意保険の対物賠償か自己負担のいずれかとなります。
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となり、保険料の割引率が下がって(1〜3級となった場合は割増率が上がって)しまいます。
修理費がさほどでもない場合は、任意保険の使用有無や将来の保険料支払いをシミュレーションしたうえで判断してみてもよいでしょう。
まとめ
ガードレールにぶつけてしまった場合の対応は、被害者が国土交通省や自治体になる以外には他の交通事故を起こしてしまった場合とほとんど変わりません。
警察、ガードレールの所有者への報告を怠らないようにし、なるべく早く解決していきましょう。
また任意保険に加入していれば金銭面の不安や、ガードレールの修理に関するやり取りなどから解放されます。任意保険未加入の方は何かあった時のために一度加入を検討してみてください。
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