煽り運転は違法行為?定義や対処法を弁護士が解説

昨今大きな問題となっている煽り運転。ニュースで見る機会も多いかもしれませんが、大きな事故に繋がる可能性がある大変危険な行為です。では、実際に煽り運転に遭ったとき、ドライバーはどのように対処すれば良いのでしょうか。
また、煽り運転を行ったドライバーはどのような刑事罰に問われるのでしょうか。ここでは、煽り運転の罰則や被害にあった場合の対処法について弁護士が詳しく解説していきます。
煽り運転の定義
煽り運転については厳密な定義があるわけではありません。
ハイビームやパッシング、クラクションを鳴らすことにより前方の車に進路を譲るように強要すること・前方の車に異常に接近する・執拗に追い回わす・無理な割り込みをした上で急ブレーキをかける行為・幅寄せをするなど他のドライバーを威嚇したり、嫌がらせ仕返しをする行為全般を指します。
煽りを受けると、これを回避するために高速で走行しがちですが、ハンドル操作を誤って事故を発生させる危険が高まります。
煽りを回避する目的であったとしても大幅に速度超過をしている場合には刑事上の制裁を受けることになります。煽りを受けた場合に速度を上げることは回避しなければなりません。
煽りを受けて高速道路を走行することは、煽っている側を刺激することになり、両方の自動車が高速で接触事故を起こす危険性があります。
一般道でも周りの自動車や歩行者などを巻き込んだ重大な事故を引き起こすことになりかねませんので、このような意味でも速度を上げて回避することは避けなければなりません。
無理な割り込みを行い、追越車線にワゴン車を停止させ大型トラックがワゴン車に追突したことで、ワゴン車に乗車していた夫婦が死亡、2人の娘も負傷するという悲惨な事故も発生しています。
煽り運転は、死亡事故をも発生させる非常に危険な行為であることを改めて認識する必要があります。
煽り運転の罰則
安全な車間距離を取らずに走行するだけでも、高速道路では3か月以下の懲役または5万円以下の罰金、一般道では5万円以下の罰金が科されます。
以上の刑事罰に加えて、高速道路での煽り運転は、1万円、1万5千円または2万円の反則金が課された上に、2点の違反点数が加算されます。一般道での煽り運転でも、6千円、8千円または1万円の反則金が課され、1点の違反点数が加算されます。
また、煽りの態様によっては、進路変更禁止違反(反則金6000円、違反点数1点)、安全運転義務違反(反則金9000円、違反点数2点)、急ブレーキ禁止違反(反則金7000円、違反点数2点)となりますし、事故が発生していなくても将来、事故を起こす可能性が高いと認められた場合には最長180日間の免許停止を受けることになります。
そして、自動車が接触していなくても、他のドライバーを威圧する煽り運転は暴行罪が成立します。他のドライバーを死傷させた場合には危険運転致死傷罪として20年以下の懲役(加重された場合には30年以下の懲役)を科され、45から62点の違反点数が加算され免許取消(欠格期間5~8年)の処分を受けることになります。
先に紹介した追越車線にワゴン車を停止させて夫婦を死亡させ、娘2人にもけがを負わせた事例では、危険運転致死傷罪ではなく殺人罪が適用され16年の懲役が言い渡されています。
煽り運転を回避する方法や対処法
煽り運転を回避するためには、思いやり運転やゆずり合い運転、キープレフトなど他のドライバーを刺激しない運転方法を心がける必要があります。また、ドライブレコーダーを搭載し、それが第三者にも分かるように表示することでも煽り運転を回避することができます。
煽りを受けた場合には、ドライブレコーダーによる記録に加えて、ドライブレコーダーの死角や、煽り運転を行っている者やその同乗者をスマートフォンなどで撮影するようにしてください。
煽り運転がやまない場合には、絶対に挑発に乗らず、安全な場所に停車して110番通報するようにしてください。そして、ドアをロックして窓を閉め、警察官が到着するまで車外に出ないようにしてください。
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