後遺障害の等級認定は被害者請求ですべき!保険会社任せでは損する理由

後遺症・後遺障害
後遺障害の等級認定は被害者請求ですべき!保険会社任せでは損する理由

交通事故でけがをして、寝たきりになってしまったり、身体の一部を損傷してしまったりした場合には、後遺障害が認められる場合があります。


後遺障害が認められると、後遺障害慰謝料や逸失利益が支払われます。


後遺障害慰謝料は、後遺障害を負ったことに対する慰謝料で、入通院慰謝料に上乗せして認められるものです。


さらに、後遺障害を負うことにより労働能力の一部または全部に支障が出るので、後遺障害を負わなければ得ることができた収入が逸失利益として認められます。


では、これらの具体的な金額はどのように決まるのでしょうか。


本稿では、どのような場合に後遺障害が認められるのか、認められた場合の慰謝料や逸失利益の計算方法、後遺障害の認定の方法などについて述べたいと思います。

目次
  1. 後遺障害とは
    1. 後遺障害とは
    2. 後遺障害等級とは
    3. 後遺障害慰謝料とは
  2. 後遺障害等級認定申請の方法について
    1. 事前認定(一括請求)と被害者請求
    2. 事前認定のメリット・デメリット
    3. 被害者請求のメリット・デメリット
  3. 被害者請求の手順
    1. 後遺障害診断書の作成
    2. 被害者請求に必要な書類
    3. 書類の提出先及び提出後の流れ
    4. 認定結果に不服がある場合
  4. おわりに

後遺障害とは

後遺障害とは

後遺障害とは、下記の5つの条件を満たすものをいいます。

  • 交通事故が原因で受傷した肉体的・精神的な障害であること
  • 将来的に治療続けても回復が見込めない状態であること(症状固定)
  • 労働能力の喪失をともなうこと
  • 自賠責保険の等級認定に該当すること
  • 当該症状が医学的に証明または説明できること


たとえば、交通事故でケガをして骨折と診断された場合で説明します。治療によって、ケガをする前の状態に戻る場合もあります。


しかし治療・入院をして骨折自体が治癒した場合であっても、事故に遭う前の状態には戻らず通常の生活を送るのに支障が出ることもあります。この場合は後遺障害が認定される可能性があります。


後遺障害が認められると治療費の支払いが終わります。その代わりとして、後遺障害慰謝料後遺障害逸失利益が支払われることになります。


後遺障害慰謝料とは、後遺障害が残ったことによる精神的な損害を補償するものです。後遺障害逸失利益とは、交通事故によって後遺障害が残らなければ得られたと思われる利益をいいます。

後遺障害等級とは


後遺障害は損害保険料率算出機構から等級認定される必要があります。後遺障害等級は1~14級まであり、症状が重い方から1級、2級となり、最も症状の軽い等級が14級になります。


後遺障害の具体的な症状については下記の記事を参考にしてください。

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後遺障害慰謝料や逸失利益は、認定される後遺障害等級によって金額が変わります。後遺障害逸失利益については下記記事を参考にしてください。

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後遺障害慰謝料とは

後遺障害が認定されたら、後遺障害を負った精神的苦痛に対する損害の補填として後遺障害慰謝料が認められます。後遺障害慰謝料は、後遺障害等級によって金額が変わってきます


裁判基準
による後遺障害慰謝料の金額は以下の通りです。裁判基準とは、交通事故の損害賠償請求の裁判で認められる損害賠償の算出基準のことです

表1.裁判基準による後遺障害慰謝料の金額

裁判基準による後遺障害慰謝料の金額

後遺障害等級認定申請の方法について

事前認定(一括請求)と被害者請求

後遺障害等級の認定申請には、事前認定(一括請求ともいわれます)と被害者請求の二つの方法があります。

事前認定とは、加害者が加入している任意保険会社が後遺障害認定申請に必要な書類を取りまとめて自賠責保険会社に提出する方法をいいます。

被害者請求は、被害者が後遺障害認定申請に必要な書類を取りまとめて自賠責保険会社に提出する方法をいいます。

事前認定のメリット・デメリット

事前認定のメリットは、後遺障害認定申請に必要な書類は任意保険会社が取りまとめてくれるので、被害者自身で必要な書類を収集する手間が省ける点にあります。

他方で、事前認定のデメリットは、任意保険会社が申請をする際に被害者に不利な意見書などを提出されるおそれがある点です。また、手続の進捗状況が不透明である点もデメリットと言えるでしょう。

被害者請求のメリット・デメリット

被害者請求のメリットは、後遺障害認定申請に必要な書類は被害者自身で取りまとめるので、被害者に有利になります。また、手続の進捗状況が自分で確認できるという点もメリットと言えるでしょう。

他方で、被害者請求のデメリットは、後遺障害認定申請に必要な書類を被害者自身で準備するため、準備に手間と時間を要するという点が挙げられます。

被害者請求の手順

後遺障害診断書の作成

後遺障害は、「症状固定後に身体に残された精神的または肉体的な毀損状態」ですので、まずは症状固定になることが必要です。

そして、症状固定になったら医師に後遺障害診断書を作成してもらいましょう。後遺障害診断書は、「自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書」という自賠責保険専用の後遺障害診断書の用紙で作成してもらいましょう。


この用紙は、保険会社のほか、病院にもありますので、保険会社に送ってもらうか、または病院で説明をすれば用紙を準備してもらえます。

後遺障害診断書の作成に当たっては、これまでの治療や検査の際の所見のみならず、追加で検査をすべき場合があります。

このような場合は、医師と相談のうえ通院し、追加で検査を受けてください。また、自覚症状についてはできるだけ具体的かつ詳細に医師に伝え、後遺障害診断書に記載してもらいましょう。


傷病名・検査結果・障害についての見通しなども、漏れなく記載してもらいましょう。記載に漏れがあると、事実通りの認定結果が出ない可能性があります。

被害者請求に必要な書類

後遺障害認定の被害者請求に必要な書類は以下の通りです。

  • 交通事故証明書
  • 後遺障害診断書
  • 診断書及び診療報酬明細書
  • レントゲンやCTなどの画像データや検査資料
  • 支払い請求書兼支払い指図書
  • 事故発生状況報告書
  • 請求者の印鑑証明書
  • 代理人による請求の場合は実印を押した委任状及び印鑑証明書
  • 自動車車検証の写し

書類の提出先及び提出後の流れ

後遺障害認定申請に必要な書類の提出は、加害者側の自賠責保険会社へ対して行います。そこから損害保険料率算出機構に書類が送付され、損害保険料率算出機構の調査事務所で後遺障害の有無および等級について調査が行われます。

そして、後遺障害認定申請から結果が出るまでは、特に問題がなければ1~2か月程度ですが、調査中に疑問点などが生じた場合には、被害者が入通院した医療機関へ照会を行ったり、追加の質問書を送付したりすることになります。


このような場合は、結果が出るまでに申請から数か月かかることもあります。

後遺障害等級認定結果が出ると、後遺障害等級の有無・認定後遺障害等級・認定理由が開示されます。この認定結果に不服が無ければ、認定された後遺障害等級を前提として示談交渉をすることになります。

認定結果に不服がある場合

認定結果に不服がある場合は、

  • 自賠責保険会社に対して異議申し立てを行う
  • 一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構において調停を行う
  • 訴訟で争う


という3つの手段で認定結果を争うことが考えられます。


異議申し立ては回数制限がなく、また費用も掛からないためリスクが無く認定結果を争うことができます。

一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構は、自賠責保険の支払について被害者と保険会社の間で生じた紛争に対し、解決を目指して公正な調停を行うことで被害者の保護を図るために設立され、国から指定を受けた紛争処理機関です。

一般財団法人自賠責保険・共済紛争処理機構は、専門知識のある紛争処理委員が審査を行い、手続費用はかからず、保険会社は調停結果を遵守することになるという特徴があります。


もっとも、紛争処理機構の調停に対しては不服申し立てができないため、この方法でも解決しない場合には、訴訟で争うことになります。

訴訟は、後遺障害認定結果に対する最終的な争う手段となります。


自賠責保険の認定結果と裁判所の判断では、認定結果が異なるケースが少なからずありますから、異議申し立てや紛争処理機構の調停では解決できない場合、最終手段として訴訟を選択することも考えられます。

おわりに

後遺障害の認定申請手続きは、自己に有利な意見書を作成して提出するなど、提出書類を自分で検討できるという点で事前認定よりも被害者請求をする方が被害者にとって有利ですので、できる限り被害者請求をすべきです。

もっとも、被害者請求は被害者自身が必要書類を収集しなければならないので、手間と時間がかかります。また、意見書の作成は専門的な知識を要するものです。

さらに、後遺障害は、後遺障害の有無及び後遺障害の等級の違いによって慰謝料及び逸失利益が大きく異なってくるため、被害者と相手方及び保険会社との争いが生じやすいところです。

このような場合、被害者自身で後遺障害認定申請手続きをするのは難易度が高く、困難を伴います。

そこで、専門知識を持った弁護士へ依頼することにより、被害者請求の手間と時間を省くことができます


また、専門的な観点からの意見書の作成も依頼できますので、認定手続きを有利に進めることができるので、弁護士に依頼することをおすすめします。

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