交通事故の示談後に後遺症が出たら

交通事故に遭ったらまず示談交渉をおこないます。被害者が傷害を負った場合、基本的には治療終了後に示談交渉をおこなうのですが、示談交渉の際にはなかった後遺症が示談終了後に現れることもあります。このようなときどのように対処すればよいでしょうか。
- 目次
示談終了後に後遺症が出たら
どんなに気をつけているつもりでも、交通事故はいつ誰にどのような状態で起こるかわかりません。さらに、交通事故では予想できないほどの衝撃が体にかかることもあります。
したがって、交通事故が起きた段階でどんなに精密な検査をしても、あとになって予測ができない症状が出る可能性があります。
では、示談の段階では予測できなかった新たな症状が示談終了のあとに出た場合、示談を撤回したり、やり直したりすることはできるのでしょうか。
基本的に示談はやり直せない
通常、交通事故の示談書には「これ以外に一切請求いたしません」という内容の文言が記載されています。
したがって、原則として示談書を取り交わしたあと、この示談で受け取った示談金以上の請求をおこなうことはできないのです。
これは交通事故以外のさまざまな示談書の場合でも同様です。ですから、安易に示談書を取り交わすべきではありません。
ただし、全く例外がないというわけではありません。では、どのような場合に示談のやり直しができるのでしょうか。
示談のやり直しができる場合とは
原則として示談はやり直しができませんが、以下のような項目が満たされている場合は例外として示談をやり直すことができる可能性があります。
・新事実が、示談成立当時に予測できなかった場合
・新事実とその交通事故との間に因果関係が認められる場合
裁判の考え方として、示談の内容は示談締結時に予想していた損害についてを対象としています。したがって、示談締結当時に予想できなかった損害については新たに賠償請求ができるというわけです。
ただし、実際に示談交渉後に発生した後遺症で新たに賠償請求をおこなうためには、新たに発生した後遺症と交通事故との因果関係が医学的に証明できることが必要になってきます。
したがって、あまりに交通事故から時間が経ち過ぎてしまうと示談をやり直すことは難しくなってきます。
示談終了後に後遺症が出た場合の対処法とは
示談終了後に後遺症が発生した場合、具体的には以下のような流れで対応することになります。
1)新たな症状が発覚
2)医師の診察をうける
3)医師に診断書作成を依頼
4)交通事故を専門とする弁護士に相談・依頼
5)示談のやり直しを打診する
実際に示談のやり直しをするとなると、被害者が個人で対応することは非常に困難ですので、交通事故に強い弁護士に相談をすることをお勧めします。
示談後のトラブルを避けるために
ここまで、示談が終了した後に後遺症が出たらどのように対応すればよいか述べてまいりましたが、そもそもこのようなトラブルを避けるための対処法はないのでしょうか。
例えば、示談の際に将来的に発生する後遺症のことも踏まえて「今後、本件交通事故が原因で後遺症が発生した場合には、その損害賠償については別途当事者同士で協議する」という内容の一文を入れておけば、示談後に後遺症が出た場合にも被害者側に有利に働く可能性があります。
ただし、このような内容の示談書は、加害者側がなかなか署名してくれない可能性もありますので、交通事故に強い弁護士とよく相談し、どのような示談書を作成するのかを決めるのがよいでしょう。
まとめ
基本的に、一度示談を締結してしまうと示談終了後に新たに後遺症が発生したとしてもやり直すことはできません。ですから、安易に示談書を取り交わすべきではありません。
ただし、新たに発生した後遺症が示談成立当時に予測できなかった場合であって、交通事故との因果関係が医学的に認められる場合は、示談をやり直せる可能性があります。したがって、交通事故からあまりに時間が経ちすぎてしまうと示談のやり直しは難しくなってしまいます。
万が一、示談のやり直しすることになった場合、被害者が個人で対応するのは非常に困難ですので、交通事故を得意とする弁護士に相談することをお勧めします。
また、根本的にこのような示談終了後の後遺症によるトラブルを避けるために、示談の段階で将来的に発生する後遺症のことも踏まえ、どのような内容の示談書にするのがよいか、交通事故を得意とする弁護士とよく相談して決めていくことをお勧めします。
- 都道府県から弁護士を探す
交通事故の後遺症・後遺障害のよく読まれているコラム
-
1位後遺症・後遺障害2018.10.15うつ病は後遺障害に認定される?交通事故による精神障害で慰謝料を獲得する方法。交通事故でケガをした被害者のなかには、身体のケガが回復した後も精神的な不調に長く...
-
2位後遺症・後遺障害2018.10.09労災の後遺障害認定方法とは。自賠責の後遺障害診断書との違いと注意点。交通事故は人体に大きな影響をおよぼします。交通事故の被害にあった方のなかには、交...
-
3位後遺症・後遺障害2017.03.08交通事故の後遺障害で適正な慰謝料を獲得する3つの方法交通事故でケガをすると後遺症が残る場合があり、程度によって後遺障害等級に認定され...
-
4位後遺症・後遺障害2017.09.20後遺障害の等級認定は被害者請求ですべき!保険会社任せでは損する理由交通事故でけがをして、寝たきりになってしまったり、身体の一部を損傷してしまったり...
-
5位後遺症・後遺障害2018.03.26後遺症と後遺障害の違いとは?損害賠償への影響や正しい認定法を解説交通事故にあった後、後遺症に悩まされることがあります。交通事故においては、「後遺...
新着の交通事故コラム
-
基礎知識2019.06.03交通事故問題にかかる弁護士費用の相場は?交通事故に遭うと、程なくして相手側との話し合いが始まります。話し合いは保険の加入...
-
基礎知識2019.05.28煽り運転は違法行為?定義や対処法を弁護士が解説昨今大きな問題となっている煽り運転。ニュースで見る機会も多いかもしれませんが、大...
-
基礎知識2019.05.07弁護士が解説する交通事故に強い弁護士の選び方・探し方交通事故の話し合いは、弁護士に依頼することがお勧めです。それは、精神・肉体的な労...
-
基礎知識2019.05.07危険運転致死傷罪とは?罰則や適用される場合とは飲酒時、薬物服用時、疾患がある場合など、運転が困難な状況での走行や、ルールを無視...
-
基礎知識2019.04.23交通事故を行政書士や司法書士ではなく弁護士に相談すべき理由交通事故をスムーズに解決するためには、法律の知識や適切な対応をおこなうことが重要...
交通事故問題で悩んでいる方は、まず弁護士に相談!
交通事故の損害賠償額は弁護士に相談すると増額の可能性も!
保険会社の損害賠償提示額では損をしている可能性があります。弁護士に相談して正当な金額を受け取りましょう!
交通事故被害者の悩みを弁護士が解決します!
交通事故に遭った方が抱える様々な悩みを弁護士に相談して多くの人がメリットを得ています!