交通事故で刑事裁判になってしまった!刑事罰を軽くする方法とは

裁判・調停
交通事故で刑事裁判になってしまった!刑事罰を軽くする方法とは

交通事故を起こすと、場合によっては警察に逮捕されてしまったり、検察官から起訴されて刑事事件になってしまうことがあります。このようなとき、加害者にはどのような刑罰が科される可能性があるのでしょうか?
もし加害者となってしまったら、なるべく処分を軽くするために、どのような対応ができるのかも押さえておきたいところです。
今回は、交通事故で刑事裁判になってしまった場合の問題や、知っておきたい知識についてご紹介します。

なお、本記事は加害者側に立った記事となっております。被害者が加害者に刑事罰を与える方法については、「加害者が許せない!交通事故の加害者に刑事罰を与える方法」に詳しく解説をしてありますので、参考にしてください。

目次
  1. 交通事故が刑事事件になることがある
  2. 交通事故で成立する犯罪とは
    1. 自動車運転過失致死傷罪
    2. 危険運転致死傷罪
    3. 危険運転致死傷罪が成立した場合の刑罰
  3. どのような場合に刑事事件になるのか?
  4. 逮捕された後の手続きの流れ
    1. 勾留決定されるまで
    2. 勾留後起訴されるまで
    3. 刑事裁判の流れ
  5. 逮捕されなくても起訴されることがあるの?
  6. 略式起訴・略式裁判って何?
  7. 罰金刑でも「前科」になる
  8. 罪を軽くしてもらうには示談が効果的!

交通事故が刑事事件になることがある

交通事故というと、被害者になったケースばかりが注目されますが、自分が加害者になってしまうこともあります。加害者になると、「刑事裁判」になることがあります。

刑事裁判とは、裁判の中でも、被告人が有罪であるか無罪であるかを判断し、有罪の場合には適用する刑罰を決めるための裁判です。

民事裁判は、民間人がお金の請求のためなどに裁判を起こすものですが、刑事裁判は、検察官が犯罪を追及するための裁判ですから、手続きの目的も内容も全く異なります。

そして、交通事故でもこのような刑事裁判になってしまうことがあるのです。

交通事故を起こしたら、すぐに警察に逮捕されてしまうケースもあります。


交通事故が原因でも、裁判で懲役刑を適用されたら、交通刑務所という刑務所に行かないといけません。また、たとえ罰金刑であっても一生消えない前科がついてしまいます。

そこで、交通事故を起こしたら刑事裁判になるかどうかについても十分注意しなければならないのです。

交通事故で成立する犯罪とは

それでは、交通事故を起こしたらどのような犯罪が成立するのでしょうか?交通事故の犯罪には、自動車運転過失致死傷罪危険運転過失致死傷罪の2種類があります。

自動車運転過失致死傷罪

通常の交通事故では、自動車運転過失致死傷罪が適用される可能性が高いです。


これは、過失によって自動車を運転して人にケガをさせたり死亡させたりしたときに成立する犯罪です。


過失の内容は幅広く、前方不注視があった場合、脇見運転していたときや巻き込み確認をしなかったとき、方向指示器を使わずに進路変更したことなどが「過失」と認定されます。

過失運転致死傷罪が成立すると、7年以下の懲役もしくは禁錮または100万円以下の罰金刑が科される可能性があります。

アルコールを摂取しているのに、それを隠そうとして逃げたり、さらにアルコールを摂取して誤魔化そうとしたりした場合はさらに刑が重くなり、12年以下の懲役刑となります。

危険運転致死傷罪

人を死傷させるおそれの高い危険な運転によって人を死傷させた場合には、より罪が重くなり、危険運転致死傷罪という犯罪が成立します。

危険運転致死傷罪が成立するのは、以下のような場合です。

✔ アルコールや薬物の影響で、正常な運転ができないのに運転をしていたケース

✔ スピードを出しすぎて、制御不能な状態で自動車を運転していたケース

✔ 自動車を適切に運転できる技能がないのに、運転して交通事故を起こしたケース

✔ 危険なスピードで運転しながら、人や車の通行を妨害しようとして、自動車の直前に入ったり、人や車に接近したりして事故を起こしたケース

✔ 危険なスピードで運転しながら信号無視をしたケース

✔ 通行禁止場所を危険なスピードで運転して事故を起こしたケース

危険運転致死傷罪が成立した場合の刑罰

傷害事故の場合には15年以下の懲役刑となり、被害者を死亡させてしまったときには1年以上の有期懲役刑となります。

過失運転致死傷罪のケースでも危険運転致死傷罪のケースでも、無免許運転をしているとさらに刑が重くなります。

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どのような場合に刑事事件になるのか?

交通事故を起こしても必ずしも刑事裁判になるわけではありません。


危険運転致死傷罪が成立する場合にはほとんど必ず裁判になりますが、それ以外のケースでは実際には裁判にならないことが多いです。

それでは、交通事故で刑事裁判になりやすいのはどういったケースなのでしょうか?

1つは結果が重大なケースです。たとえば、死亡事故を起こしてしまったときや、被害者が重傷を負った場合などには刑事事件になりやすいです。


死亡事故を起こすと、その場で逮捕されることもあります。

2つ目は反省がないケースです。加害者が道路交通法違反をして交通事故を起こしながら加害者が全く反省していないような場合には、起訴されてしまいやすいです。

3つ目は道路交通法違反があるなど、事故態様が悪質な場合です。


結果は重大にはならなかったけれども、スピード違反などの危険な運転をしていたら、刑事裁判になる可能性が上がってきます。


自動車を運転するときには、くれぐれも安全運転を意識しなければなりません。

逮捕された後の手続きの流れ

交通事故で加害者となって逮捕されてしまったら、その後はどのような手続きの流れになるのでしょうか?

交通事故の場合でも、普通の窃盗犯や傷害事件の犯人や痴漢の犯人などと同じ扱いになり、「交通事故だから」という理由で特別扱いしてもらえることはありません。

勾留決定されるまで

逮捕されると、その後48時間以内(2日以内)に検察官に身柄を送られることになります。


その後、検察官は、24時間以内に「勾留」請求を行います。裁判所が勾留を認めたら、引き続き警察で身柄を拘束され続けることとなります。

検察官が勾留請求をしない場合や裁判所が勾留を許可しなかった場合には、身柄を解放してもらうことができます。

勾留後起訴されるまで

勾留が続いてしまう場合、その後10日間、警察の留置場に入れられて取り調べなどを受けることになります。

10日経っても捜査が終了しない場合には、さらに10日間勾留が延長される可能性があります。


勾留延長は1回しかできないので、交流が始まってから20日後には検察官は必ず起訴するかどうかを決定しなければなりません。

検察官が起訴したら刑事裁判になりますし、起訴されなければ刑事裁判にはならず身柄を解放してもらうことができます。

刑事裁判の流れ

刑事裁判になると、裁判所に連れて行かれて審理が行われます。ここでは、検察官や被告人の弁護人が提出した証拠などを調べたり、関係者の尋問を行ったりします。

最終的に、被告人に質問をして、検察官と弁護人が最終意見を出し合い、それをもとに裁判官が判決を下します。

逮捕されなくても起訴されることがあるの?

以上は逮捕された場合の手続きの流れですが、逮捕されなくても起訴されることはあります。勾留をしなくても捜査を進めることは可能だからです。

勾留せずに捜査を進めるタイプの事件のことを、在宅事件(在宅捜査)といいます。

在宅事件になると、被疑者となってもそれまで通り普通に生活をすることができます。会社に通勤することもできますし、会社に知られることもありません。

ただ、あるとき突然検察官から呼出を受けて取り調べを受けることになります。

その後、検察官が起訴すると決めたら刑事裁判にされてしまいますし、不起訴の決定が出たら刑事裁判にはならずに済みます。

在宅事件の場合、刑事裁判になったら期日には自分で出頭しなければなりません。

出頭しないと「逃亡のおそれがある」などとされて勾引(無理矢理裁判所に連れて行かれること)などをされて大変なことになってしまうので、決まった期日には必ず出頭しましょう。

略式起訴・略式裁判って何?

刑事裁判というと、「法廷に行って裁判官が壇上に座っていて、横に検察官がいて、審理が開かれる」というイメージが強いかもしれませんが、交通事故の裁判ではこうした通常裁判にならないことが多いです。

それは「略式裁判」(略式起訴)という手続きが利用されるためです。

略式裁判とは、実際には期日を開かずに、裁判所が書類審査だけで判決を出してしまう手続きです。100万円以下の罰金刑の場合にのみ利用することができます。

略式裁判が行われるときには、裁判所での手続きは行われないので、被告人は裁判所に行くことがありません。もちろん呼出状も届きません。


そのまま普通に自宅で生活をしていたら自宅宛に罰金の納付書が届くので、その支払をしたら手続きが終了しますし、刑を終えたことになります。

略式裁判になるときには本人の承諾が必要です。


そこで、検察官からの取り調べの際に「略式でいいですか?」などと聞かれて、書類に署名押印(指印)します。すると、略式で裁判が行われて、裁判所で罰金の支払い命令が行われて、被告人宛に通知します。

罰金刑でも「前科」になる

交通事故の被疑者や被告人は、他の犯罪と違い「自分が犯罪者」であると思っていないことが多いです。世の中には「ただの交通事故でしょう」というような意識もあります。

特に、在宅事件になったり略式裁判になったりすると、ほとんど警察や検察庁、裁判所などに行くこともないので、被疑者は、「自分が刑事手続にかかっている」という意識を持ちません。

罰金を払っても、交通違反の反則金を払ったのと同じような感覚で、すべてが終わったと思ってしまうことも多いです。

しかし、略式裁判も立派な裁判の1種ですし、罰金刑も正式な前科です。交通事故の前科だからといって他の事件との違いはありません。


いったん前科がつくと、それは一生残ってしまいます。

前科は捜査機関の専門のデータベースで管理されるので、一般人には見ることができませんが、何かあったら警察や検察はすぐに調べることができるのです。

たとえば、警察は被疑者を逮捕したらすぐに前科照会を行います。すると今までの前科がすべて出てきます。


警察はその内容を参考にしながら被疑者に対してどのような処分をするのかを判断します。

このことは刑事裁判の場合も同じで、裁判をされるとき、同種の前科があったら刑罰は重くされることが多いです。

交通事故の場合でも、1回目は罰金で済んだとしても、その前科があると2回目に交通事故を起こしたときには懲役刑になってしまうかもしれません。

このように、たとえ略式裁判で罰金刑になっただけのケースでも軽く考えてはいけません。

自動車を運転するときには、裁判になったら前科がついてしまうおそれが高いことを意識しながら、常に注意を払っておく必要があります。

罪を軽くしてもらうには示談が効果的!

交通事故で加害者となり、刑事裁判をされてしまったら、懲役刑などの重い刑罰が適用されてしまうことがあります。

刑事裁判にならない方法や、裁判になったときに刑を軽くしてもらう方法はあるのでしょうか?

実は、このとき被害者との「示談」が非常に重要となります。

示談ができていると、刑事手続きの各場面で有利にはたらくためです。


起訴前であれば、示談ができていると起訴されずに不起訴処分にしてもらえる可能性が上がります。不起訴になったら、もはや刑事裁判になることがないので、前科がつくおそれもなくなります。

もし起訴されてしまったとしても、被害者と示談ができたら刑を軽くしてもらうことができます。

たとえば、懲役刑になるところ、示談ができていたら罰金刑になることもありますし、懲役で実刑になるところ、示談ができていたら執行猶予がついて刑務所に行かなくて良くなることも多いです。

そこで、交通事故で加害者の立場になってしまったら、なるべく早めに被害者と示談をしてしまうことをおすすめします。

加害者側の示談交渉は保険会社に代行してもらうのが普通なので、保険会社を通じて被害者に謝罪をして、早めに示談交渉を進めましょう。


刑事弁護を依頼している弁護士に、被害者とのコンタクトを依頼することも可能です。

示談ができたら、「示談書」を作成します。


これを検察官(起訴前の場合)や裁判所(起訴後の場合)に提出したら、それぞれの場面において、処分を軽くしてもらうことができます。

刑事事件になったら、弁護士が必要!

交通事故で刑事裁判になったら、弁護士の助けが必要になります。刑事弁護を依頼しなければならないからです。

弁護士がついていたら、今後どのような流れで手続きが進んでいくのかなどがわかって安心ですし、不利益を受けないための最善の対処方法をアドバイスしてくれます。


検察官や裁判所に対しても、被疑者・被告人に有利になるよう働きかけてくれます。

そこで、交通事故加害者になって不安があるなら、まずは一度、弁護士に相談してみることをお勧めします。

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まとめ

今回は、交通事故で加害者になってしまった場合の刑事裁判について解説しました。

交通事故でも、死亡事故など結果が重大な場合や、態様が悪質な場合などには、刑事裁判になってしまうおそれが高いです。

そうなると、捜査中に身柄拘束されることもありますし、判決で懲役刑になってしまうおそれもあります。


こうした不利益を最小限に抑えるためには、弁護士に対応を相談し、依頼することが大切です。

今回の記事を参考にして適切な対応を行い、なるべく不利益を受けないように賢く行動しましょう。

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