交通事故の慰謝料請求で裁判になる理由と解決までの流れ

裁判・調停
交通事故の慰謝料請求で裁判になる理由と解決までの流れ

交通事故に遭うと被害者側が加害者側に慰謝料請求をすることになりますが、場合によっては裁判までもつれ込む場合があります。ではそもそも慰謝料とはどのように決まり、どういう理由で裁判になるのかをご説明いたします。

目次
  1. 交通事故における慰謝料とは
  2. 慰謝料を決める3つの基準
  3. 裁判しなくても慰謝料はもらえる
  4. 示談が成立しなければ裁判に
  5. 裁判の判決には従わないといけない
  6. 交通事故の裁判の流れ
  7. 交通事故の裁判にかかる時間
  8. 裁判は弁護士に依頼するべき
  9. まとめ

交通事故における慰謝料とは

交通事故被害に遭ったとき、被害者に発生する損害には3種類あります。

1つは積極的損害と呼ばれるもので、壊れた車の修理費やケガの治療費、入院費など事故によって実際に財布から出ていったお金がこれに当たります。


もう1つは消極的損害といい、ケガが治るまで働くことのできなかった分の給料(休業損害)などの事故がなければ手に入っていたであろう利益のことをいいます。

消極的損害は逸失(いっしつ)利益(りえき)とも呼ばれます。


積極的損害と消極的損害を合わせて財産的損害と言います。


これらに対して精神的な損害に対する賠償がいわゆる慰謝料です。事故のために痛い思い、怖い思いなど嫌な思いをしたことへの賠償です。

慰謝料を決める3つの基準

慰謝料は、どのような被害が出たかを個別の事故ごとに判断して計算します。

慰謝料は精神的な損害を賠償するものです。積極的損害には領収書、消極的損害であれば今までの給料の額などが基準になりますが慰謝料にはそういうものがありません。


そのため、慰謝料の場合には自賠責基準、任意保険基準、弁護士基準の3つの基準を用いて算出することになります。

併せて読むと役立つ記事
交通事故の慰謝料の相場と基準について
慰謝料・損害賠償
交通事故の慰謝料の相場と基準について

交通事故に遭うと「被害者が加害者に慰謝料請求する」とよく耳にしますが、慰謝料はどの程度の金額相場になっていて…

裁判しなくても慰謝料はもらえる

慰謝料に限らず、交通事故のトラブルを終わらせる手段には大きく分けて2種類あります。それは、裁判で戦って終わらせるか、裁判をせずに終わらせるか(いわゆる示談)です。

示談というのは、事故の当事者双方が納得する形で和解することです。


加害者は被害者にいくら支払うという約束をすることで事件を解決することができます。その際に、上に挙げた3種類の損害を計算し、加害者が支払う額を決めます。

したがって、示談という形で事件を終わらせても慰謝料をもらうことは可能です。

示談が成立しなければ裁判に

交通事故のトラブルでは「裁判しないと慰謝料はもらえない?」記載の通りお互いが納得しなければ成立しません。


加害者の提示する賠償金の金額が低すぎて被害者が納得しなかったり、被害者の請求する賠償金の金額が高過ぎると加害者が納得しなかったりすると、示談は成立しないのです。

このような場合には、裁判によって解決するしかなくなります。つまり、当事者双方が納得しない以上、裁判所という機関に事件の結末の落ち着くところを見つけてもらうのです。


しかし、裁判には時間とお金がかかります。示談が成立するのにわざわざ裁判をする人はいないでしょう。

交通事故の慰謝料請求で裁判になるケースの一番の原因は、示談が成立しないことと言えるでしょう。


また、ここで気を付けなければならないことがあります。それは、示談が成立すると基本的にもう裁判をすることができないということです。

どういうことかというと、例えば交通事故の被害にあったとき弁護士などに相談する前に相手と示談してしまい、慰謝料として100万円をもらったとします。


しかし、本来なら500万円をもらってもおかしくないような事故だと後から知っても、相手に400万円を請求することはできません。

示談とは、それほど重要なことなのでしっかり考えてから決めましょう。


もちろん例外もあり、示談の後に追加で支払いを請求できることもありますが、簡単なことではないということを覚えておきましょう。

裁判の判決には従わないといけない

慰謝料請求を裁判ですると、かなり大変な作業となります。


慰謝料請求などに関する訴訟(裁判)を民事訴訟といいますが、民事訴訟では訴える人(原告)と訴えられた人(被告)とが証拠を持ち合って裁判所にどちらの言い分が正しいかを判断してもらうことになります。

この交通事故によってどんな損害が生じたのか、加害者の人はいくら払うべきなのかを自ら証拠を集めて提出することによって、裁判所(国)に認めてもらうのです。


この証拠を集める作業というのは、とても大変な作業です。自分で行なうことも可能ですが、想像するよりもずっと大変な作業になるでしょう。

裁判で勝つことができれば、相手は慰謝料を支払うことを拒むことはできません。逆に裁判で負けてしまうと、慰謝料の額はとても少なくなってしまうこともあります。

併せて読むと役立つ記事
交通事故の裁判を有利に進める方法【完全保存版】
裁判・調停
交通事故の裁判を有利に進める方法【完全保存版】

交通事故の示談がまとまらなかった場合、訴訟をすることもあります。では、実際に自分で訴訟をする際にどういうことが…

交通事故の裁判の流れ

では、実際裁判を起こすとどういう手続きが必要になるのか見ていきましょう。

まず、相手を特定することが必要です。事故を起こした相手が見つからない限り、裁判を起こすことはできません。


また、相手が見つかっていてもその人がどこに住んでいて何という名前なのか分からなければ、裁判のために裁判所に呼び出すことができません。


この相手がどこの誰なのか特定する作業は、警察はやってくれませんので、自分で行う必要があります。

次に、裁判を起こすための書類などを用意します。


このとき、自分が相手に「何を」「どれだけ」「どんな理由で(どんな法律に基づいて)」請求するのかをまとめた「訴状」という書類を裁判所に提出しなければなりません。


どこの裁判所に提出すればいいかも決まっています。交通事故の場合は被害者・加害者の住所か、事故の起こった場所のどちらかです。

それと、交通事故の場合は、「1.交通事故における慰謝料とは」で述べたような損害が出ていることを、証拠(領収書や給料の額など)を提出して証明しなければなりません。


証明できなかった場合、損害はなかったという扱いを受けます(もっとも、自動車事故の場合、自動車損害賠償保障法という法律のおかげで証明しやすくなっています)。

また、相手も同じく損害がなかったことを証拠を提出して証明しようとします。裁判(民事訴訟)は、このように証拠を出し合って戦うのが基本です。


お互いに証拠を出し合い、主張を終えると、裁判所がどちらの言い分が正しいかを判断します。裁判所が出す結論のことを判決といい、この判決が出ると裁判はひとまず終わりです。


しかし、完全に終わるわけではありません。日本の裁判は三審制と言って、三段階まで裁判を続けることができます。

そして、階級が上の裁判所は、下の裁判所が出した判決を取り消すことができます。


つまり、最初の裁判で勝っても次の裁判(控訴審といいます)で負けると、勝ったことにはなりません。逆に、最初の裁判で負けても次の裁判で勝てば勝ちということです。

もちろん、控訴・上告という次の裁判へ進む手続きをしない場合もあるので、これらがされなければ、裁判は終わりということになります。

裁判が終われば、解決のようにも思えますが、それは少し違います。裁判で確定するのは、事故によって相手が支払わなければならない金額だけです。


どういうことかと言うと、裁判所は、「○○は××に△△円払え」という命令をくれるだけで、実際に支払わせることには手を貸してくれません。

つまり、相手が裁判に負けたのに払わないと言っている場合、強制的に支払わせるための手続きが必要になります。これが、いわゆる強制執行というものです。


強制執行とは、国の権力によって強制的にお金を支払わせる方法のことです。

このように、裁判が終われば事件が解決するわけではありませんが、事件を解決するためには必要な手続きです。

交通事故の裁判にかかる時間

裁判というのは、非常に時間がかかります。早くても数か月かかるものがほとんどです。


なぜこんなに時間がかかるのかというと、裁判は1日みっちり話し合うというものではなく、30分~1時間程度の細かい話し合いを何度も重ねていくようなものだからです(数分で終わる回もあります)。

また、「6.裁判の流れ」で述べたように控訴や上告が行われると、さらに時間がかかります。


裁判が長引くかどうかは事故内容にもよりますが、少なくとも数か月、長くて年単位の時間を要することを念頭に置くべきでしょう。  

裁判には、お金もかかります。裁判を起こすためには裁判所にお金を払う必要があります。


このお金も加害者に請求することができますが、相手が払うまでは自分で立て替えておかなければなりません。

裁判所に支払う金額は相手に請求する額によって決まりますが、相手に100万円請求する場合1万円、500万円請求する場合3万円です。


詳しくは裁判所のホームページでも確認できます。

裁判は弁護士に依頼するべき

刑事訴訟(有罪無罪を決める裁判)と違い、民事訴訟は弁護士に頼まずに自分で行うこともできます。強制執行などの手続きも同様です。


しかし、裁判となると「裁判はどれくらい時間がかかるの?」で述べた通り非常に時間がかかります。

しかも、交通事故であれば通院や入院で体を動かすことの負担が大きい場合が少なくありません。請求する金額が大きいこともあるので、プロである弁護士の力を借りる方が無難でしょう。


また、示談する場合でもやはりプロの意見を聞いておく方がいいでしょう。

それに、弁護士に依頼すれば強制執行の手続きも行なってもらえるので、より安心出来ます(裁判のやり方を間違えると、強制執行をするために、もう一度裁判が必要になります)。

弁護士に頼むとなると、弁護士費用が気になるところではありますが、交通事故の被害にあった場合、裁判をした際の弁護士費用も相手に請求することができます。

併せて読むと役立つ記事
交通事故の弁護士費用はいくら?初回相談が無料の弁護士も
示談交渉
交通事故の弁護士費用はいくら?初回相談が無料の弁護士も

交通事故の対応を弁護士に依頼すると、示談金の増額や精神的・身体的な負担の軽減など様々なメリットを得ることが…

まとめ

ここまで、交通事故の慰謝料請求で裁判になる理由と解決までの流れを見てきました。要点をまとめると、

✔ 示談がまとまらず、お互いの納得する結論が出ないと裁判になる。 

✔ 裁判には時間とお金と手間がかかる。

✔ 裁判が終わっても解決ではない。きちんと支払ってもらって初めて解決。 

✔ 交通事故被害の後に自分で裁判手続きを行うのは負担大。早めにプロに相談を。

といった具合になります。


今回見てきて分かるように、裁判の手続きは非常に大変です。そして、どこかで失敗すると正当な補償が受けられない可能性もあります。

交通事故の被害に遭った後はあれこれ考えるのは難しいと思います。だからこそ迷ったときには一度弁護士などの法律の専門家の話を聞くことが重要です。

都道府県から弁護士を探す

交通事故問題で悩んでいる方は、まず弁護士に相談!

交通事故の損害賠償額は弁護士に相談すると増額の可能性も!

保険会社の損害賠償提示額では損をしている可能性があります。弁護士に相談して正当な金額を受け取りましょう!

交通事故被害者の悩みを弁護士が解決します!

交通事故に遭った方が抱える様々な悩みを弁護士に相談して多くの人がメリットを得ています!

交通事故の裁判・調停のよく読まれているコラム

新着の交通事故コラム

TOPへ