交通事故の裁判を起こすときの注意点って?
交通事故で裁判を起こすときの注意点
交通事故が起こったとき、損害賠償などの問題解決をおこなうには、まず示談交渉をおこないます。交通事故の問題解決については、ほとんどの場合、この示談交渉で解決しますが、なかには示談がまとまらず裁判に発展する場合もあります。
日本の民事裁判では、本人訴訟をおこなうことが可能ですが、実際は弁護士に依頼するケースがほとんどです。ただし、弁護士に依頼する場合であっても、被害者自身も交通事故で裁判を起こす際の注意点を認識しておく必要があります。
過失割合
過失割合とは、交通事故が起こったときに、当事者のどちらがどれだけ悪かったかということを割合にして示したものです。裁判を起こした段階で、被害者に過失割合があると認められた場合、既に加害者側から支払われている治療費などについても過失相殺が適用されるため、結果的に被害者が獲得できる損害賠償金額が減額する可能性もあるため、注意が必要です。
遅延損害金
交通事故の民事裁判では、交通事故が起こった日から損害賠償金の支払い日まで、損害金額に対して年間5%の金利(遅延損害金)が加算されます。したがって加害者側は、交通事故発生日から実際の損害賠償金支払い日までの期間に応じた遅延損害金を損害金額に加算した金額の支払い義務を負うことになります。
裁判の費用
民事裁判を起こす場合、まずは訴訟の手数料が発生します。この金額は加害者側に請求する金額が高くなればなるほど高額になります。訴訟手数料は提訴する際に収入印紙の形で訴状に貼り付けて提出します。
また、裁判所から原告や被告、証人などへの郵送費用として予納郵券が必要となります。さらに民事裁判の手続きでは、証人を呼ぶ場合の旅費日当も当事者が負担する必要があります。旅費日当は、証人がどこから来るかによって金額が変わりますが、平均して1万円/日といわれています。
これに加えて裁判所の記録を謄写する費用というのも必要になります。この場合、裁判所内の専門業者を利用しなければならず、謄写費用は一般的なコピー機を利用した場合よりも非常に高額(20円~40円/枚)となります。
このように、交通事故で民事裁判をおこなう場合は、弁護士費用以外に高額な費用がかかるケースがあることに注意しましょう。
弁護士費用
弁護士に依頼をすれば、当然弁護士費用がかかりますが、最近では相談料無料の法律事務所も増えていますので、このようなところを利用して直接弁護士に確認するのがよいでしょう。なお、現在の日本の法制度では「敗訴者負担制度」が存在しておりませんので、原則として弁護士費用は、依頼をした訴訟当事者各自の負担となることに注意しましょう。
本人訴訟の注意点
日本の民事裁判では、弁護士に依頼せず本人訴訟をおこなうことができます。実際に、請求額が小額の交通事故の場合は、弁護士費用を節約するために本人訴訟を起こすケースもあります。しかし、裁判の手続きは非常に複雑で専門的な内容が多くあります。
したがって裁判を起こす本来の目的を考えると、弁護士に依頼するほうが裁判を有利に進めることができる可能性があります。特に裁判をおこなう相手側に弁護士がついているような場合は、本人訴訟では太刀打ちできないと考えておいたほうがよいでしょう。
まとめ
交通事故の問題解決をおこなう際、示談がまとまらずに裁判に発展する場合もあります。このとき、過失割合によっては被害者が最終的に獲得する損害賠償金額が減額する可能性もあります。さらに、裁判を起こす場合には手数料や弁護士費用などさまざまな費用がかかることにも注意が必要です。
この弁護士費用は原則として自己負担となります。また加害者は、交通事故発生から損害賠償金の支払いまでの期間が長くなればなるほど、遅延損害金を損害賠償金額に上乗せして支払う必要があることに注意しましょう。
交通事故の民事裁判では弁護士に依頼することが一般的ではありますが、損害賠償請求額が小額な場合は弁護士費用を節約するために本人訴訟を起こすケースもあります。
しかし、裁判の手続きは非常に複雑で専門的な内容が多くあるため、請求額が小額でない場合には、裁判を有利に進めるためにも弁護士に依頼することを検討してみてはいかがでしょうか。
- 都道府県から弁護士を探す
交通事故の裁判・調停のよく読まれているコラム
-
1位裁判・調停2018.04.04民事調停の流れ。裁判との違いやメリット・デメリットを徹底解説。交通事故の被害にあったとき、その解決手段としてまず思いつくのは示談です。そして示...
-
2位裁判・調停2017.10.18交通事故のレアケース!実際にあった珍しい判例まとめ昨今、日本では数多くの交通事故が発生しています。平成28年には、全国で49万9,...
-
3位裁判・調停2017.10.04交通事故裁判の判決に納得できない!上訴のすべてを徹底解説交通事故の被害者が、相手方又は相手方の加入する保険会社との間で損害賠償の交渉がう...
-
4位裁判・調停2018.08.21加害者が無罪?目撃者がいない死亡事故で遺族が泣き寝入りしない方法。交通事故が起きて、加害者が生存し、被害者が死亡し、さらに目撃者がいなかったとしま...
-
5位裁判・調停2017.08.07本人訴訟は難しい!交通事故の裁判を個人で起こすと損する理由交通事故の被害者が相手方の保険会社と交渉をしても、示談案が全然まとまらないことも...
新着の交通事故コラム
-
基礎知識2019.06.03交通事故問題にかかる弁護士費用の相場は?交通事故に遭うと、程なくして相手側との話し合いが始まります。話し合いは保険の加入...
-
基礎知識2019.05.28煽り運転は違法行為?定義や対処法を弁護士が解説昨今大きな問題となっている煽り運転。ニュースで見る機会も多いかもしれませんが、大...
-
基礎知識2019.05.07弁護士が解説する交通事故に強い弁護士の選び方・探し方交通事故の話し合いは、弁護士に依頼することがお勧めです。それは、精神・肉体的な労...
-
基礎知識2019.05.07危険運転致死傷罪とは?罰則や適用される場合とは飲酒時、薬物服用時、疾患がある場合など、運転が困難な状況での走行や、ルールを無視...
-
基礎知識2019.04.23交通事故を行政書士や司法書士ではなく弁護士に相談すべき理由交通事故をスムーズに解決するためには、法律の知識や適切な対応をおこなうことが重要...
交通事故問題で悩んでいる方は、まず弁護士に相談!
交通事故の損害賠償額は弁護士に相談すると増額の可能性も!
保険会社の損害賠償提示額では損をしている可能性があります。弁護士に相談して正当な金額を受け取りましょう!
交通事故被害者の悩みを弁護士が解決します!
交通事故に遭った方が抱える様々な悩みを弁護士に相談して多くの人がメリットを得ています!