交通事故に関する用語集
交通事故に関する専門用語について、発生から解決までの流れ順と50音順に分けて解説しています。突然起こってしまった交通事故に対して専門的な知識を持っている方はほとんどいらっしゃいません。状況に応じて参考にすることでスムーズな解決に役立てることができます。
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- 用語集(50音順)
1.交通事故発生
- 加害者
- 民法学では不法行為を行ったものを「加害者」とよぶ。
交通事故を起こした加害者が問われる法的責任は、「刑事上の責任」「民事上の責任」「行政上の責任」 - 過失
- 違法な結果を認識しているにも関わらず、注意を怠ってしでかす過ち
- 刑事責任
- 刑事責任とは、法律を犯した者に対して国により懲罰などの罰が与えられる責任のことです。交通事故の加害者が罰を受けることです。
- 好意(無償)同乗
- 交通事故を起こした際に好意・無償で同乗させていた他人にケガをさせてしまう場合を好意同乗といいます。
逆に運賃を支払って同乗することは非好意同乗といい、タクシーやバスのことを指します。
好意同乗であるだけで減額が認められるという例は少なく、同乗していた被害者に落ち度がある場合は、全損害額について減額されたり、慰謝料のみ減額されてしまう場合もあります。 - 交通事故証明書
- 交通事故や物損事故があったこと自体を客観的に証明するものです。
自動車安全運転センターが発行するもので、人身事故の場合は事故発生から5年、物損事故の場合は事故発生から3年の期限があります。
警察への届け出がないものに関しては、交通事故証明書の発行はできませんのでご注意ください。 - 自損事故
- 相手のいる交通事故ではなく、自動車に乗っている人が単独で起こした事故のことを言います。このような場合も、警察への報告義務はありますので必ず連絡はしておくべきです。報告が遅れると警察からあらぬ疑いをかけられたり、事故証明が取得しづらいなどの理由に繋がってしまいます。
- 実況見分調書
- 事故後の現場状況と、事故当事者や目撃者の証言が重要で、過失割合を決定する際に重要な書類となってくるので、作成時には事故当事者は最大限の注意を払って応じるべきことです。
- 人身事故
- 人が怪我したり、死亡する事故のこと。
- 全損
- 被保険自動車盗難されて戻ってこない場合と、交通事故などで被保険自動車が修理不可能な場合です。さらに修理不可能な全損は、「物理的全損」と「経済的全損」に分かれます。
「物理的全損」とは車両が物理的に修理が不可能な程まで損傷している状態。「経済的全損」とは、修理自体は可能だが修理費用が車両保険で支払われる金額以上になること。 - 調書
- 特定の事象についての調査内容を記載した文書
交通事故の場合は「実況見分調書」にあたる。 - 道路交通法
- 道路における危険を防止し、交通の安全と円滑を図ることを目的とし、
道路交通の基本的ルールを確立するとともに違反行為を罰する日本の法律である。 - 被害者
- 刑事法学では、「犯罪により害を被ったもの」と記載
- 物損事故
- 人が死亡や怪我がなく、器物の損壊のみの場合のこと
2.治療・通院
- 内払金
- 傷害事故で治療が長引いて支払いなどが困る人に10万円以上を支給する
制度である。 - 仮渡金
- 自賠責保険では請求に示談は必要ありませんが、調査等には時間がかかるため、事故の責任の有無を問わず一定の金額渡す制度が仮渡金です。最終的に支払われる保険金額より仮渡金の方が多い場合には差分を保険会社にわたす。
- 休業損害
- 「消極損害」の一部であり、本来貰えるはずの収入が交通事故で貰えなかった場合に加害者に請求する損害賠償請求。
- 高次機能障害
- 主に脳に損傷を負ったことで起こる様々な神経心理学的障害のことです。
意識不明の状態が続くと、他人の言葉が理解できない、人格が変わった、集中力が衰えたりすることなどがある。 - 死亡診断書
- 病院の医師が死亡の事由など検案について書き記し発行したもの
- 自由診療
- 健康保険や診療報酬が適用されない診療のこと。
交通事故では、仮にこちらの過失も問われた場合、自賠責保険の範囲で治療費や慰謝料、休業損害などが収まれば、一般的に負担は発生しません。これを超えた分から自分の過失が関わってきますので、その場合は自由診療ではなく健康保険を利用することで自己負担を減らすことができます。 - 治療費
- 交通事故で怪我を負い、被害者が入院や通院をした際に発生した費用のことです。交通事故負傷での治療費は基本的に示談が成立するまでは被害者が立て替え支払うことになっています。
3.症状固定
- 異議申し立て
- 不服に対して申し立てをする。自賠責保険会社に対して異議を申し立てるには、「被害者請求」と「事前認定」という2つの方法があります。この異議申し立ては何度でも可能ですが、自賠責紛争処理機構への申請は一度のみです。
- 後遺症
- 病気や怪我が治ってもそのあとまで影響が残る、その症状のこと。
- 後遺障害
- 交通事故によって、被害者が被った精神的・肉体的障害が将来的に回復が見込めない状態なことをいいます。その状態が医学的に証明できるか、労働能力の低下に関わってくることであることその損害が「自賠責基準の等級」に該当することという要件を充足していることが必要
- 後遺障害慰謝料
- 後遺障害に対して支払われる賠償金。後遺障害の与えられた認定等級により、請求できる金額が変わってくる。
- 後遺障害逸失利益
- 後遺障害がなければ、得られたであろう収入等、利益のこと
- 後遺障害診断書
- 正式には「自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書」と呼ぶ。
交通事故での後遺障害の認定手続きのために必要となる書類のこと。 - 後遺障害等級
- 後遺障害の重度を測る等級。等級に基づいて損害賠償金が決定するので漏れや、あいまいな部分がないように注意をする。保険会社に必要書類、資料を送付して審査を受けることができます。
- 症状固定
- このまま治療を続けても回復の見込みがない状態。症状固定後に残った症状については、等級認定をうけ後遺障害となるので損害賠償の対象となります。
4.示談交渉
- 赤い本
- 「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」のことであり通称「赤い本」と呼ばれている。
毎年2月に改訂版が発行されています。編集・発行所は公益財団法人 日弁連交通事故相談センター東京支部で、最新版は2016年版(第45版)です。 - 青本
- 「交通事故損害額算定基準」のことであり通称「青本」と呼ばれている。
隔年で改訂版が発行されており、編集・発行者は公益財団法人 日弁連交通事故相談センターで、2016年11月現在の最新版は、2016年2月に発行された25訂版です。
本書は、弁護士(裁判)基準の損害賠償額を調べるためには最も適した本とも言えます。交通事故による損害額の算定基準が細かく解説されており、全国の参考となる裁判例も掲載されています。 - 委任契約
- 依頼者が受任者にある特定の法律行為を委託し受任者が委託を受けることによって生じる契約です。
- 慰謝料
- 慰謝料とは、生命・身体・自由・名誉・貞操などが不法に侵害された場合に被った精神的損害に対する損害賠償金のことです。交通事故においては被害者や死亡事故の遺族に対して精神的・身体的苦痛を慰謝するために支払われる金額のことを指します。
- 逸失利益
- 債務不履行や不法行為による損害賠償のなかで、損害賠償の対象となる事実がなければ得られたはずの利益のことをいいます。交通事故においては、後遺障害によって労働能力が減少したことで交通事故にあわなければ得られたはずの将来の収入の減少を損害としてみたものを後遺障害逸失利益といいます。死亡事故の場合は死亡逸失利益といいます。
- 運行供用者
- 「自己のために自動車を運行の用に供する者」のことを運行供用者といい、自賠法3条によって規定されております。現在では、加害車両について運行支配と運行利益を有する者のことを運行供用者と考えられています。
- 家事従事者
- 自宅で家事に従事している人のこと。専業主婦などが該当し、休業損害を請求することが出来ます。
- 過失相殺
- 被害者が損害賠償請求をするとき、被害者にも過失があった場合に裁判所が被害者の過失の分だけ損害賠償金額を減額することを過失相殺といいます。
- 過失割合
- 過失割合とは、交通事故発生原因に対して、交通事故当事者のどちらにどれだけ責任があるかを割合にしたものです。追突事故のようなもらい事故の場合は、被害者の過失割合がゼロになることが多いです。
- 給与所得者
- 所得税における所得の区分の一つ。俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与。休業損害については、基本的には,事故前3ヶ月の給与支給額を基に算出。
- 近親者慰謝料
- 不法行為の被害者の近親者が被害者を失ったことによって受けた精神的苦痛に対する慰謝料のことをいい、民放711条に規定されています。
- 公正証書
- 国や地方公共団体の機関または公務員が職務上作成する文書のことを公文書といい、そのなかで公証人法に基づいて法務大臣に任命された公証人が作成する公文書のことを公正証書といいます。
- 交通事故紛争処理センター
- 交通事故の被害者と加害者が契約している保険会社又は共済組合との示談をめぐる紛争を解決するため、被害者と保険会社等との間に立って法律相談、和解あっ旋及び審査手続きを無料で行っています
- 財産的損害
- 財産的損害とは、損害賠償の対象となる損害のひとつで、交通事故がなかったときと交通事故に遭ったときの財産状態の差のことをいいます。
- 裁判所基準
- 過去の裁判の判例をもとに東京三弁護士会の交通事故処理委員会が公表しているもので、別名「弁護士基準」とも呼ばれています。「民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準」(通称:赤い本)と「交通事故損害額算定基準」(通称:青本)を基準として慰謝料を計算しています。交通事故の3つの慰謝料基準のうちのひとつで、最も高額な基準といわれています。
- 事業所得者
- 所得税における課税所得の区分の一つである。農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得(山林所得又は譲渡所得に該当するものを除く)をいう(所得税法26条1項)。
- 示談
- 示談とは私法上の争いを民事裁判の形式をとらずに当事者による合意で解決することをいいます。示談は民事上の「和解」契約ですので、成立すると示談書の作成が必要になります。
- 示談交渉
- 示談交渉とは、損害賠償金額を話し合いによって決めることをいいます。交通事故の場合、約90%程度が示談交渉で解決しているといわれています。
- 示談書
- 示談書とは、交通事故の事実と示談内容を記載した書類のことです。交通事故の当事者双方がそれぞれ署名・捺印をおこないます。
- 自動車損害賠償保証書
- 「強制保険」とも呼ばれており、自動車(バイク・原付を含む)の持ち主が必ず加入を義務づけられている自賠責保険の保険証のことです。自賠責保険は、車の運転手ではなく車にかかる保険です。
- 自賠責基準
- 交通事故で傷害などの損害を負ったとき、法令で定められた最低限の補償をおこなうことを目的とした基準です。交通事故の3つの慰謝料基準(自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準)のなかでもっとも低い金額となります。
- 自賠責保険
- 自賠責保険とは、自動車やバイクを運転する際、自動車損害賠償保険法により加入が義務付けられている保険です。未加入の場合は罰則があります。
- 死亡慰謝料
- 被害者が死亡した場合、遺族に支払われる慰謝料のことをいいます。死亡慰謝料は、亡くなった被害者本人に対する慰謝料と、被害者遺族に対する慰謝料のふたつに分かれています。
- 就労可能年数
- 事故に遭わなかった場合に就労することが出来たであろう想定する年数のことを言います。
- 車両保険
- 車両保険は、契約者本人の車の損害を補償する保険です。車両保険は補償金額に対して保険料が割高な傾向にあるため、加入するかどうかを総合的に判断する必要があります。
- 消極損害
- 消極損害とは、事故にあわなかったら将来被害者が得られたはずの財産的利益のことをいいます。交通事故では、被害者が交通事故に遭って傷害を負ったり死亡したことで発生する減収などの経済的不利益をいいます。
- 生活費控除力
- 死亡事故で、損害賠償における逸失利益を計算するとき、死亡した被害者の生活費相当分を被害者の年収金額から控除することをいいます。被害者が死亡すると、収入がなくなることになりますが、生存していれば生じたはずの経費は発生しません。この不要となった生活費分を被害者の年収から差し引くことになります。
- 精神的損害
- 交通事故の損害の中のひとつ。文字通りに肉体的または精神的苦痛を被ったことを損害として考えているということです。精神的損害に対する賠償請求金のことは「慰謝料」と表現します。
- 積極損害
- 財産的損害のなかのひとつ。交通事故に遭ったことによって被ることになった財産的支出のことです。代表的なものは、「診療費・治療費」「付添看護費」「入院雑費」「通院交通費」「葬儀費用」等があります。
- 損害賠償
- 違法行為によって他人に与えた損害を補填することを損害賠償といいます。適法行為によって他人に与えた損害を補填する場合は損失補償といいます。
- 損害保険料率算出機構
- 「損害保険料率算出団体に関する法律」に基づいて設立された損害保険料率算定会と自動車保険料率算定会が2002年7月に統合してできた日本で唯一の料率算出団体で、損害保険業の健全な発達と保険契約者等の利益の確保を目的としている。
- 遅延損害金
- 遅延損害金とは、金銭債務が不履行であったとき、期限が経過したことにより債務者が債権者に損害賠償として法律上支払う必要のある金銭のことをいいます。交通事故では、事故日を起算日として賠償金支払い日までに損害額に対して年間5%の金利を加算して加害者は支払わなければなりません。
- 着手金
- 着手金とは弁護士費用の一部で、結果の成功・不成功に関わらず、弁護士がその案件に着手するために支払う費用のことをいいます。交通事故では「相談料」や「着手金」が無料という弁護士が増えてきています。
- 通院慰謝料
- 通院慰謝料とは、交通事故で怪我を負った場合の怪我の痛みや治療に対する苦痛を金額に換算したものです。基本的には通院期間を基準とし、通院頻度が少ない場合は減額される可能性があります。
- 任意保険
- 任意保険とは、自賠責保険で補償されない部分を補填する保険です。任意保険の加入は任意ですが、最近ではほとんどの人が加入しています。任意保険のことを自動車保険ということもあります。
- 任意保険基準
- 任意保険基準は、3つの慰謝料基準のうちのひとつです。自賠責基準よりも高い金額とされていますが、過去の判例を基にした弁護士基準と比較して非常に低い金額といわれているうえ、保険会社によってもその基準がばらばらで、公開されていないために確認することができません。
- 被害者請求
- 被害者請求は、後遺障害等級の申請方法のひとつで、被害者自身で申請をおこなうことをいいます。被害者が自分にとって有利になるように書類を準備して申請することができ、より正確な等級申請ができます。
- 弁護士会算定基準
- 弁護士会算定基準は、交通事故の3つの慰謝料基準のひとつで、もっとも高額な基準といわれています。過去の裁判の判例をもとに東京三弁護士会の交通事故処理委員会が公表しているため、別名「裁判基準」とも呼ばれています。「民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準」(通称:赤い本)と「交通事故損害額算定基準」(通称:青本)を基準として慰謝料を計算しています。
- 弁護士費用
- 弁護士に依頼をした時の費用、内訳としては、相談料・着手金・成功報酬金・手数料などが主
- 弁護士費用特約
- 交通事故に遭った被害者が、費用面の負担を解消するために弁護士費用を保険会社が負担することです
- 法テラス
- 法の専門家に依頼したいけれど、経済的に余裕がないというお悩みの方を支援しています。法制度に関する情報を無料でご案内しています。
- 民事裁判
- 民事裁判とは、2種類の裁判のうちのひとつで、金銭の貸し借りや知的座三権、個人間の争いといった民事事件を解決する裁判です。交通事故の損害賠償請求なども民事裁判で扱います。
- 無保険車傷害保険
- 無保険車傷害保険とは、対人賠償保険などに未加入の自動車と事故に遭い、被害者の車に搭乗している人が傷害や死亡した場合、加害者から十分な補償を受けられないときに支払われる自動車保険です。保険金は対人賠償保険と同額が支払われます。
- 免責証書
- 免責証書とは、事故の解決内容を記載した書類のことです。示談書は当事者双方の署名捺印が必要ですが、免責証書は被害者側の署名捺印だけでよく、書類の取り交わしがスピーディーになります。免責証書と示談書の効力は変わりません。
- 約款
- 約款とは、不特定多数の契約に用いるためにあらかじめ契約の内容や条件を一律に定めた契約条項のことです。
- ライプニッツ係数
- ライプニッツ係数とは、長期的に発生する介護費用や就労の機会を喪失した場合の逸失利益のように、時間と関係のある損害賠償金を前倒しで受け取るために控除するための指数です。交通事故では後遺障害逸失利益と死亡逸失利益を算定するときに使用します。
- 労働能力喪失期間
- 労働能力喪失期間とは、交通事故で後遺障害が残ってしまったことによる労働能力低下の影響が及ぶ期間のことをいいます。原則として、症状固定時の年齢から67歳までの年数とされています。
- 労働能力喪失率
- 労働能力喪失率とは、交通事故で後遺障害が残ったときにどの程度の労働能力が失われたかを割合として計算したものです。具体的には後遺障害がない状態を100%として、後遺障害によって何%労働能力が減ったのかを計算します。
5.示談不成立・裁判
- 共同不法行為
- 複数の加害者によって1つの不法行為がなされたときのこと。行為の間に意思の共同はなくとも、客観的に連関があればよいとされている。被害者に対して直接的に損害を与えた者だけには限られません。交通事故を起こした自動車の運転手と所有者が違う場合には、自動車の運転手と所有者の間にも共同不法行為が成立していることになります。
- 時効
- 保険金(損害賠償額)を請求する権利は被害者が「損害及び加害者を知った時」から3年で時効となり消滅します(但し、平成22年4月1日以降の事故の場合です。それより前の事故は2年の消滅時効となります)。
- 敗訴者負担制度
- 自分が勝った場合に自分が支払う弁護士費用を相手方に支払わせることですが、現在弁護士費用において弁護士敗訴者負担制度はありません。
- 不起訴処分
- 起訴されないこと。不起訴処分となると刑事手続はその時点で終了します。
6.損害賠償の確定・支払い
ア
- 青本
- 「交通事故損害額算定基準」のことであり通称「青本」と呼ばれている。
隔年で改訂版が発行されており、編集・発行者は公益財団法人 日弁連交通事故相談センターで、2016年11月現在の最新版は、2016年2月に発行された25訂版です。
本書は、弁護士(裁判)基準の損害賠償額を調べるためには最も適した本とも言えます。交通事故による損害額の算定基準が細かく解説されており、全国の参考となる裁判例も掲載されています。 - 赤い本
- 「民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」のことであり通称「赤い本」と呼ばれている。
毎年2月に改訂版が発行されています。編集・発行所は公益財団法人 日弁連交通事故相談センター東京支部で、最新版は2016年版(第45版)です。 - 異議申し立て
- 不服に対して申し立てをする。自賠責保険会社に対して異議を申し立てるには、「被害者請求」と「事前認定」という2つの方法があります。この異議申し立ては何度でも可能ですが、自賠責紛争処理機構への申請は一度のみです。
- 慰謝料
- 慰謝料とは、生命・身体・自由・名誉・貞操などが不法に侵害された場合に被った精神的損害に対する損害賠償金のことです。交通事故においては被害者や死亡事故の遺族に対して精神的・身体的苦痛を慰謝するために支払われる金額のことを指します。
- 逸失利益
- 債務不履行や不法行為による損害賠償のなかで、損害賠償の対象となる事実がなければ得られたはずの利益のことをいいます。交通事故においては、後遺障害によって労働能力が減少したことで交通事故にあわなければ得られたはずの将来の収入の減少を損害としてみたものを後遺障害逸失利益といいます。死亡事故の場合は死亡逸失利益といいます。
- 委任契約
- 依頼者が受任者にある特定の法律行為を委託し受任者が委託を受けることによって生じる契約です。
- 運行供用者
- 「自己のために自動車を運行の用に供する者」のことを運行供用者といい、自賠法3条によって規定されております。現在では、加害車両について運行支配と運行利益を有する者のことを運行供用者と考えられています。
カ
- 加害者
- 民法学では不法行為を行ったものを「加害者」とよぶ。
交通事故を起こした加害者が問われる法的責任は、「刑事上の責任」「民事上の責任」「行政上の責任」 - 家事従事者
- 自宅で家事に従事している人のこと。専業主婦などが該当し、休業損害を請求することが出来ます。
- 過失
- 違法な結果を認識しているにも関わらず、注意を怠ってしでかす過ち
- 過失相殺
- 被害者が損害賠償請求をするとき、被害者にも過失があった場合に裁判所が被害者の過失の分だけ損害賠償金額を減額することを過失相殺といいます。
- 過失割合
- 過失割合とは、交通事故発生原因に対して、交通事故当事者のどちらにどれだけ責任があるかを割合にしたものです。追突事故のようなもらい事故の場合は、被害者の過失割合がゼロになることが多いです。
- 仮渡金
- 自賠責保険では請求に示談は必要ありませんが、調査等には時間がかかるため、事故の責任の有無を問わず一定の金額渡す制度が仮渡金です。最終的に支払われる保険金額より仮渡金の方が多い場合には差分を保険会社にわたす。
- 休業損害
- 「消極損害」の一部であり、本来貰えるはずの収入が交通事故で貰えなかった場合に加害者に請求する損害賠償請求。
- 給与所得者
- 所得税における所得の区分の一つ。俸給、給料、賃金、歳費及び賞与並びにこれらの性質を有する給与。休業損害については、基本的には,事故前3ヶ月の給与支給額を基に算出。
- 共同不法行為
- 複数の加害者によって1つの不法行為がなされたときのこと。行為の間に意思の共同はなくとも、客観的に連関があればよいとされている。被害者に対して直接的に損害を与えた者だけには限られません。交通事故を起こした自動車の運転手と所有者が違う場合には、自動車の運転手と所有者の間にも共同不法行為が成立していることになります。
- 近親者慰謝料
- 不法行為の被害者の近親者が被害者を失ったことによって受けた精神的苦痛に対する慰謝料のことをいい、民放711条に規定されています。
- 刑事責任
- 刑事責任とは、法律を犯した者に対して国により懲罰などの罰が与えられる責任のことです。交通事故の加害者が罰を受けることです。
- 好意(無償)同乗
- 交通事故を起こした際に好意・無償で同乗させていた他人にケガをさせてしまう場合を好意同乗といいます。
逆に運賃を支払って同乗することは非好意同乗といい、タクシーやバスのことを指します。
好意同乗であるだけで減額が認められるという例は少なく、同乗していた被害者に落ち度がある場合は、全損害額について減額されたり、慰謝料のみ減額されてしまう場合もあります。 - 後遺症
- 病気や怪我が治ってもそのあとまで影響が残る、その症状のこと。
- 後遺障害
- 交通事故によって、被害者が被った精神的・肉体的障害が将来的に回復が見込めない状態なことをいいます。その状態が医学的に証明できるか、労働能力の低下に関わってくることであることその損害が「自賠責基準の等級」に該当することという要件を充足していることが必要
- 後遺障害慰謝料
- 後遺障害に対して支払われる賠償金。後遺障害の与えられた認定等級により、請求できる金額が変わってくる。
- 後遺障害逸失利益
- 後遺障害がなければ、得られたであろう収入等、利益のこと
- 後遺障害診断書
- 正式には「自動車損害賠償責任保険後遺障害診断書」と呼ぶ。
交通事故での後遺障害の認定手続きのために必要となる書類のこと。 - 後遺障害等級
- 後遺障害の重度を測る等級。等級に基づいて損害賠償金が決定するので漏れや、あいまいな部分がないように注意をする。保険会社に必要書類、資料を送付して審査を受けることができます。
- 高次機能障害
- 主に脳に損傷を負ったことで起こる様々な神経心理学的障害のことです。
意識不明の状態が続くと、他人の言葉が理解できない、人格が変わった、集中力が衰えたりすることなどがある。 - 公正証書
- 国や地方公共団体の機関または公務員が職務上作成する文書のことを公文書といい、そのなかで公証人法に基づいて法務大臣に任命された公証人が作成する公文書のことを公正証書といいます。
- 交通事故証明書
- 交通事故や物損事故があったこと自体を客観的に証明するものです。
自動車安全運転センターが発行するもので、人身事故の場合は事故発生から5年、物損事故の場合は事故発生から3年の期限があります。
警察への届け出がないものに関しては、交通事故証明書の発行はできませんのでご注意ください。 - 交通事故紛争処理センター
- 交通事故の被害者と加害者が契約している保険会社又は共済組合との示談をめぐる紛争を解決するため、被害者と保険会社等との間に立って法律相談、和解あっ旋及び審査手続きを無料で行っています
サ
- 裁判所基準
- 過去の裁判の判例をもとに東京三弁護士会の交通事故処理委員会が公表しているもので、別名「弁護士基準」とも呼ばれています。「民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準」(通称:赤い本)と「交通事故損害額算定基準」(通称:青本)を基準として慰謝料を計算しています。交通事故の3つの慰謝料基準のうちのひとつで、最も高額な基準といわれています。
- 財産的損害
- 財産的損害とは、損害賠償の対象となる損害のひとつで、交通事故がなかったときと交通事故に遭ったときの財産状態の差のことをいいます。
- 事業所得者
- 所得税における課税所得の区分の一つである。農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業で政令で定めるものから生ずる所得(山林所得又は譲渡所得に該当するものを除く)をいう(所得税法26条1項)。
- 時効
- 保険金(損害賠償額)を請求する権利は被害者が「損害及び加害者を知った時」から3年で時効となり消滅します(但し、平成22年4月1日以降の事故の場合です。それより前の事故は2年の消滅時効となります)。
- 示談
- 示談とは私法上の争いを民事裁判の形式をとらずに当事者による合意で解決することをいいます。示談は民事上の「和解」契約ですので、成立すると示談書の作成が必要になります。
- 示談交渉
- 示談交渉とは、損害賠償金額を話し合いによって決めることをいいます。交通事故の場合、約90%程度が示談交渉で解決しているといわれています。
- 示談書
- 示談書とは、交通事故の事実と示談内容を記載した書類のことです。交通事故の当事者双方がそれぞれ署名・捺印をおこないます。
- 実況見分調書
- 事故後の現場状況と、事故当事者や目撃者の証言が重要で、過失割合を決定する際に重要な書類となってくるので、作成時には事故当事者は最大限の注意を払って応じるべきことです。
- 自動車損害賠償保証書
- 「強制保険」とも呼ばれており、自動車(バイク・原付を含む)の持ち主が必ず加入を義務づけられている自賠責保険の保険証のことです。自賠責保険は、車の運転手ではなく車にかかる保険です。
- 自損事故
- 相手のいる交通事故ではなく、自動車に乗っている人が単独で起こした事故のことを言います。このような場合も、警察への報告義務はありますので必ず連絡はしておくべきです。報告が遅れると警察からあらぬ疑いをかけられたり、事故証明が取得しづらいなどの理由に繋がってしまいます。
- 自賠責基準
- 交通事故で傷害などの損害を負ったとき、法令で定められた最低限の補償をおこなうことを目的とした基準です。交通事故の3つの慰謝料基準(自賠責基準・任意保険基準・弁護士基準)のなかでもっとも低い金額となります。
- 自賠責保険
- 自賠責保険とは、自動車やバイクを運転する際、自動車損害賠償保険法により加入が義務付けられている保険です。未加入の場合は罰則があります。
- 死亡診断書
- 病院の医師が死亡の事由など検案について書き記し発行したもの
- 死亡慰謝料
- 被害者が死亡した場合、遺族に支払われる慰謝料のことをいいます。死亡慰謝料は、亡くなった被害者本人に対する慰謝料と、被害者遺族に対する慰謝料のふたつに分かれています。
- 車両保険
- 車両保険は、契約者本人の車の損害を補償する保険です。車両保険は補償金額に対して保険料が割高な傾向にあるため、加入するかどうかを総合的に判断する必要があります。
- 自由診療
- 健康保険や診療報酬が適用されない診療のこと。
交通事故では、仮にこちらの過失も問われた場合、自賠責保険の範囲で治療費や慰謝料、休業損害などが収まれば、一般的に負担は発生しません。これを超えた分から自分の過失が関わってきますので、その場合は自由診療ではなく健康保険を利用することで自己負担を減らすことができます。 - 就労可能年数
- 事故に遭わなかった場合に就労することが出来たであろう想定する年数のことを言います。
- 症状固定
- このまま治療を続けても回復の見込みがない状態。症状固定後に残った症状については、等級認定をうけ後遺障害となるので損害賠償の対象となります。
- 消極損害
- 消極損害とは、事故にあわなかったら将来被害者が得られたはずの財産的利益のことをいいます。交通事故では、被害者が交通事故に遭って傷害を負ったり死亡したことで発生する減収などの経済的不利益をいいます。
- 人身事故
- 人が怪我したり、死亡する事故のこと。
- 生活費控除力
- 死亡事故で、損害賠償における逸失利益を計算するとき、死亡した被害者の生活費相当分を被害者の年収金額から控除することをいいます。被害者が死亡すると、収入がなくなることになりますが、生存していれば生じたはずの経費は発生しません。この不要となった生活費分を被害者の年収から差し引くことになります。
- 精神的損害
- 交通事故の損害の中のひとつ。文字通りに肉体的または精神的苦痛を被ったことを損害として考えているということです。精神的損害に対する賠償請求金のことは「慰謝料」と表現します。
- 積極損害
- 財産的損害のなかのひとつ。交通事故に遭ったことによって被ることになった財産的支出のことです。代表的なものは、「診療費・治療費」「付添看護費」「入院雑費」「通院交通費」「葬儀費用」等があります。
- 全損
- 被保険自動車盗難されて戻ってこない場合と、交通事故などで被保険自動車が修理不可能な場合です。さらに修理不可能な全損は、「物理的全損」と「経済的全損」に分かれます。
「物理的全損」とは車両が物理的に修理が不可能な程まで損傷している状態。「経済的全損」とは、修理自体は可能だが修理費用が車両保険で支払われる金額以上になること。 - 相続人
- 亡くなった人の配偶者や子供、父母、兄弟です。ただし、配偶者は必ず法定相続人になれますが子供、父母、兄弟にはなれる順番が決まっています。第一順子供、第二順父母、第三順兄弟となります。
- 損害賠償
- 違法行為によって他人に与えた損害を補填することを損害賠償といいます。適法行為によって他人に与えた損害を補填する場合は損失補償といいます。
- 損害保険料率算出機構
- 「損害保険料率算出団体に関する法律」に基づいて設立された損害保険料率算定会と自動車保険料率算定会が2002年7月に統合してできた日本で唯一の料率算出団体で、損害保険業の健全な発達と保険契約者等の利益の確保を目的としている。
タ
- 治療費
- 交通事故で怪我を負い、被害者が入院や通院をした際に発生した費用のことです。交通事故負傷での治療費は基本的に示談が成立するまでは被害者が立て替え支払うことになっています。
ナ
- 任意保険
- 任意保険とは、自賠責保険で補償されない部分を補填する保険です。任意保険の加入は任意ですが、最近ではほとんどの人が加入しています。任意保険のことを自動車保険ということもあります。
- 任意保険基準
- 任意保険基準は、3つの慰謝料基準のうちのひとつです。自賠責基準よりも高い金額とされていますが、過去の判例を基にした弁護士基準と比較して非常に低い金額といわれているうえ、保険会社によってもその基準がばらばらで、公開されていないために確認することができません。
ハ
- 敗訴者負担制度
- 自分が勝った場合に自分が支払う弁護士費用を相手方に支払わせることですが、現在弁護士費用において弁護士敗訴者負担制度はありません。
- 被害者
- 刑事法学では、「犯罪により害を被ったもの」と記載
- 被害者請求
- 被害者請求は、後遺障害等級の申請方法のひとつで、被害者自身で申請をおこなうことをいいます。被害者が自分にとって有利になるように書類を準備して申請することができ、より正確な等級申請ができます。
- 不起訴処分
- 起訴されないこと。不起訴処分となると刑事手続はその時点で終了します。
- 物損事故
- 人が死亡や怪我がなく、器物の損壊のみの場合のこと
- 弁護士会算定基準
- 弁護士会算定基準は、交通事故の3つの慰謝料基準のひとつで、もっとも高額な基準といわれています。過去の裁判の判例をもとに東京三弁護士会の交通事故処理委員会が公表しているため、別名「裁判基準」とも呼ばれています。「民事交通事故訴訟・損害賠償額算定基準」(通称:赤い本)と「交通事故損害額算定基準」(通称:青本)を基準として慰謝料を計算しています。
- 弁護士費用
- 弁護士に依頼をした時の費用、内訳としては、相談料・着手金・成功報酬金・手数料などが主
- 弁護士費用特約
- 交通事故に遭った被害者が、費用面の負担を解消するために弁護士費用を保険会社が負担することです
- 報酬金
- 成功の結果に応じて支払う弁護士費用のこと。
wどのような結果になると、いくらくらいが相場か事前に確認しておきましょう。 - 法テラス
- 法の専門家に依頼したいけれど、経済的に余裕がないというお悩みの方を支援しています。法制度に関する情報を無料でご案内しています。
ヤ
- 約款
- 約款とは、不特定多数の契約に用いるためにあらかじめ契約の内容や条件を一律に定めた契約条項のことです。
ラ
- ライプニッツ係数
- ライプニッツ係数とは、長期的に発生する介護費用や就労の機会を喪失した場合の逸失利益のように、時間と関係のある損害賠償金を前倒しで受け取るために控除するための指数です。交通事故では後遺障害逸失利益と死亡逸失利益を算定するときに使用します。
- 労働能力喪失期間
- 労働能力喪失期間とは、交通事故で後遺障害が残ってしまったことによる労働能力低下の影響が及ぶ期間のことをいいます。原則として、症状固定時の年齢から67歳までの年数とされています。
- 労働能力喪失率
- 労働能力喪失率とは、交通事故で後遺障害が残ったときにどの程度の労働能力が失われたかを割合として計算したものです。具体的には後遺障害がない状態を100%として、後遺障害によって何%労働能力が減ったのかを計算します。